小麦など主要穀物3種、温暖化で収量減不可避 研究
2017年08月16日 16:52 AFP
【8月16日 AFP】気候変動によって、小麦、コメ、トウモロコシなどの主要農作物の収穫量が減るのは避けられないとする研究結果が
15日、米科学アカデミー紀要(PNAS)で発表された。これまでに行われた地球温暖化と農業に関する研究70件を再検証した結果だ
という。
専門家チームは、さまざまな手法が取られた過去の研究を対象に再検証を行った。これらには、気温の変化が世界的/局地的規模
で農作物に与える影響のシミュレーション、天候と収穫量の過去データに基づく統計モデル、人工的に温暖化を発生させる実証実験な
どが含まれていた。
その結果、「気温上昇が、小麦、コメ、トウモロコシなどの世界の収穫量に悪影響を及ぼす可能性が高いことが示唆された」という。
論文では「世界の平均気温が1度上昇するごとに、小麦の収穫量が平均6%減少すると推定される」と指摘された。コメでは同
3.2%、トウモロコシも同7.4%の減少となるという。一方で、大豆では有意な変化はみられなかった。
人類が生き延びる上で極めて重要なこれら4種の農作物は、人が摂取するカロリーの約3分の2を占める。
研究によると、一部地域では、気温の変化により収穫量の増加が見込めるが、地球規模では減少することが考えられるという。
そのため、増え続ける世界人口の食糧供給を確保する上で、温暖化への対策は必須としている。
温暖化でコメや小麦などのタンパク質含有量が低下 研究
2017年08月02日 17:43 AFP
【8月2日 AFP】地球温暖化で二酸化炭素(CO2)排出量が上昇することによって、コメや小麦などの主要生産物に含まれる
タンパク質の量が大幅に減少し、社会的弱者が発育阻害や早死にの危険性にさられる恐れがあるとする論文が2日、発表された。
米ハーバード大学(Harvard University)の研究者らが英学術誌「エンバイロメンタル・リサーチ・レターズ(Environmental
Research Letters)」に発表したこの研究は、温暖化が作物のタンパク質含有量に与える影響を数値化した初の試み。
研究チームの計算によれば、CO2濃度の上昇によって2050年までに大麦のタンパク質含有量は14.6%減少し、コメは7.6%、
小麦は7.8%、ジャガイモは6.4%減る。
研究チームは、CO2の排出によってタンパク質をはじめとする植物の栄養素がどのような仕組みや理由で減少するのかは解明
できていないとする一方で、大気中のCO2濃度の上昇により2050年までに世界中で新たに1億5000万人がタンパク質欠乏症に
かかる恐れがあるとしている。
十分なタンパク質を摂取しないと、発育が妨げられ、病気にかかりやすくなり、早死にする危険性も非常に高まる。
論文は、「CO2濃度が予測通り上昇し続ければ、コメ、小麦、その他の主要生産物の栄養価が低下し、2050年までに18の国々で
食物から摂取するタンパク質の量が5%以上減少する恐れがある」と指摘している。
世界人口の76%は1日に摂取するタンパク質の大半を植物由来の食べ物に頼っており、特に貧困地域でその傾向が顕著と
なっている。