米検察、ファーウェイを刑事捜査 企業秘密窃取の疑い
2019 年 1 月 17 日 07:24 JST
米検察当局は提携先の米企業から企業秘密を盗んだ疑いで、中国の華為技術(ファーウェイ)に
対する刑事捜査を進めている。米携帯大手TモバイルUSがスマートフォンをテストするのに
使用するロボティックデバイスに関する技術が含まれるもようだ。関係筋が明らかにした。
ファーウェイに対する民事訴訟が、刑事捜査へと発展するきっかけになったという。
シアトルの民事訴訟では、ファーウェイがTモバイルのロボティック技術を不正流用したとの
判断を陪審員が下している。捜査は進んだ段階にあり、近く起訴につながる可能性があると
関係筋は述べている。
司法省の報道官はコメントを差し控えた。
ファーウェイの広報担当もコメントを控えた。同社はTモバイルの訴訟で反論したが、
社員2人が不正行為を行ったことを認めている。
関係筋によると、Tモバイルが2014年にファーウェイを相手に起こした訴訟が、今回の刑事捜査が
開始される一因となった。
訴状によると、Tモバイルは当時、ファーウェイから携帯電話を調達する契約を結んでいた。
Tモバイルは販売した携帯電話の品質管理をテストするため、「タッピー」と呼ばれる試験ロボット
を開発した。
ファーウェイは取引を行う過程で、次第にタッピーの詳細情報について質問するようになったほか、
専有技術に関しての情報を繰り返し求めてきたという。
ファーウェイ社員はTモバイルの研究所で、許可なくタッピーの写真を撮影したほか、
監視カメラに映らないようタッピーの一部を隠し、ラップトップのバッグに入れて研究室から
持ち出そうとしたとTモバイルは主張している。
その後、そのファーウェイ社員は部品を持ち出したことを認めた上で、ファーウェイの
研究・開発(R&D)オフィスは、自社のロボット開発にその情報が役立つと考えていたと
述べている。
Tモバイルは「ファーウェイによる著しい契約違反、および違法な企業秘密の窃取により、
当社はかなりの犠牲を払って、ファーウェイとの携帯供給取引を停止せざるを得なかった」と指摘。
「ファーウェイは当社のロボット技術を流用し、数億ドル相当に上る商業上の優位性を不当に
得ていた」としている。
ファーウェイはこれに対し、タッピーは「ユーチューブ」などで簡単に見られるほか、
数々の特許で設計などの情報が公表されており、秘密ではないと主張。そのため、企業秘密の
窃取には当たらないと反論していた。
今回の刑事捜査により、ファーウェイへの圧力がさらに高まりそうだ。背景には、中国企業が
知的財産権を侵害し技術移転を強要しているとされる問題で、トランプ政権が取り締まりを
強化していることがある。
米国はスパイに利用される可能性があるとして、米通信網からファーウェイ製品を事実上、
締め出している。
ファーウェイを巡っては、カナダ当局が昨年12月、米国の要請でファーウェイの孟晩舟・
最高財務責任者(CFO)を逮捕した。同CFOはファーウェイのイラン事業に関して銀行に誤った
情報を提供し、米国のイラン制裁法に違反したとされる。
また、ポーランド当局は先週、中国政府に代わってスパイ行為を行っていたとして、
ファーウェイの現地社員幹部を逮捕した。ファーウェイ自体は不正行為を問われておらず、
12日に逮捕された社員を解雇している。
https://jp.wsj.com/articles/SB11375737385870584191404585066120533765224?mod=trending_now_5