SNSの権力に懸念、二極化増長も。トランプ氏永久凍結で
[ワシントン 11日 ロイター] - 5人の死者を出したトランプ米大統領支持者による連邦議会
議事堂乱入事件を受け、ソーシャルメディア各社が軒並みトランプ大統領のアカウント凍結に動く中、
共和党議員や言論の自由擁護グループなどからは、保守派を封じ込めることで米国の二極化をさらに
増長する恐れがあるという声が上がっている。
ツイッターは事件を受け、暴力を扇動するリスクがあるとしてトランプ大統領のアカウントを永久停止。
フェイスブックも、少なくとも政権移行が終了するまでアカウントを凍結する方針とし、アップルや
アマゾン・ドット・コムは、右派が集まる交流サイト(SNS)「パーラー」をアプリストアや
ウェブサービスから削除した。ソーシャルメディア各社によるトランプ大統領のコンテンツを巡る
対応としては、これまでで最も厳格な措置となる。
共和党のルビオ上院議員はFOXニュースに対し「われわれは選挙で選出されず、責任を負わない
4─5社が独占力を持つ国に住んでいる」と批判した。
デジタル関連の言論の自由擁護グループ、電子フロンティア財団は、ツイッターなどソーシャル
メディア企業には独自のプラットフォームを構築する権利があるとしつつも、意思決定を巡る
透明性や整合性の向上を要求した。
米国自由人権協会(ACLU)は「フェイスブックやツイッターなどの企業が、数十億人の発言に
不可欠となったプラットフォームからユーザーを排除するという絶対的権力を行使することは懸念だ」
との見解を示した。
また共和党のマッシー下院議員や、陰謀論を宣伝する集団「Qアノン」支持者で共和党を支援する
アンジェラ・スタントン・キング氏はパーラーにアカウントを移すよう支持者に呼び掛けたほか、
保守派のラジオホスト、ラッシュ・リンボー氏らはツイッターのアカウントを停止した。
トランプ大統領の側近や支持者はすでに、トランプ氏のメッセージ拡散に向け、「Gab(ギャブ)」
や「MeWe」などの利用にシフトしているという。
専門家によると、支持者にメッセージを発する能力が封じ込まれたトランプ大統領は残りの任期中、
FOXニュースやOANなど、親トランプ派の従来型メディアを通じ、支持者に呼び掛ける可能性がある。
米ツイッター株が12%急落、トランプ氏利用停止で規制観測強まる
[11日 ロイター] - 11日の米国株式市場で短文投稿サイトのツイッターが一時12%急落し、
時価総額が50億ドル近く吹き飛んだ。株価はその後も6%安で推移。同社がトランプ大統領の個人
アカウントを永久停止したことを受け、今後ソーシャルメディアに対する規制が強まるのではないか
という懸念が広がった。
ツイッターはトランプ氏のアカウント停止について「暴力をさらに扇動するリスクがあった」と説明。
ただ、一部の共和党支持者らは、今回の措置がトランプ氏の表現の自由を制限するものと批判して
いるほか、ドイツ政府も表現の自由には根本的な重要性を伴うことから、ツイッターの対応は問題だと
指摘している。
ツイッター上でトランプ氏のフォロワーは8800万人超に上っていた。TSロンバードの戦略部長、
アンドレア・チチョーネ氏は「トランプ氏が非常に大勢の忠実なフォロワーを抱えていたことを
考えると、トランプ氏の投稿が永久に制限されれば目玉の多くが失われることになる」と指摘した。
ソーシャルメディア各社は、大統領支持者による6日の議事堂乱入事件を受けてトランプ氏の
アカウントを規制。フェイスブックは、少なくとも政権移行が終了するまでは凍結する方針を示している。
フェイスブック株はこの日2.8%安。