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英外相、海外市民旅券の香港人に「市民権も」。 国家安全法めぐり

2020-05-29 21:37:47 | 中国・中国共産党・経済・民度・香港

英外相、海外市民旅券の香港人に「市民権も」。国家安全法めぐり

2020/05/29 15時    BBC

香港では国家安全法をめぐる抗議デモが勃発している(5月27日)

 

イギリスのドミニク・ラーブ外相は28日、中国が反体制活動を禁じる「香港国家安全法」

の導入を停止しない場合、英国海外市民旅券を保有する香港人に対し、英市民権を獲得

する道を開く可能性があると述べた。

 

英国海外市民旅券(BNO)とは、香港がイギリスの植民地だった時代に香港人に対して

発行されたもので、イギリス人が保有する旅券とは異なる。

 

現在、約30万人の香港人がBNOを保有している。BNO保有者は、イギリスにビザなしで

最長6カ月間滞在できる。

 

イギリス、アメリカ、オーストラリア、カナダの4カ国は28日、同日に中国で採択された

国家安全法を批判する共同声明を発表。これに続くかたちで、ラーブ英外相の声明が

発表された。

 

国家安全法とは反逆や扇動、破壊行為などを禁止することを目的としたもので、中国が

独自の治安機関を香港に設置できるとの規定も盛り込まれている。

 

英米など4カ国は、国家安全法の導入によって、1997年の香港返還前に英中が合意した

「一国二制度」の枠組みを損なうと主張した。「一国二制度」は、2047年までは香港に

高度な自治を認めるほか、中国大陸にはない権利や自由を与えるというもの。

 

中国側はこうした国外からの批判を一蹴している。

 

ビザなし滞在を延長、将来的な市民権獲得も

ラーブ英外相は、英国海外市民旅券(BNO)をめぐる方針を変更する可能性を明らかに

した。

 

「中国が国家安全法導入という道を進み続け、実際に施行するのであれば、我々はBNO

保有者に認めているビザなしでの英国滞在期間を6カ月から12カ月に延長し、就労や

就学を申請するために英国へ渡航できるようにするだろう。また、滞在期間はさらなる

延長が可能で、それ自体が将来的な英国市民権を獲得する手段を与えることになるだろう」

 

BBCのジェームズ・ランデール外交担当特派員によると、中国政府は脅威が拡大して

いると捉え、強固な対応につながる可能性が高いという。また、中国は一部の民主化

活動家がイギリスへ逃れても気にしないかもしれないが、才能ある裕福なクリエイター

たちがいなくなることは懸念材料だろうと指摘する。

ラーブ英外相は、BNO保有者に認めているビザなしでの英国滞在期間の制限を廃止する可能性を示唆した

 

 

市民権の自動的付与を求める声も

一部の下院議員からは、自動的に市民権を付与する方法を求める声が上がっている。

下院外交委員会のトム・トゥゲンハート委員長(保守党)は、BNO保有者には自動的に

イギリスに居住し就労する権利が与えられるべきだと述べた。

 

英政府はこれまで、香港のBNO保有者に対し完全な市民権を与えるよう求める声を

一蹴してきた。

 

昨年、香港で10万人以上が完全な市民権を求める請願書に署名した。英政府はこれに

対し、英国市民と英連邦市民だけが英国内に居住する権限を持っているとし、BNO保有者へ

の完全な市民権の付与は、香港返還時の中国との合意違反になると説明した。

 

しかし1972年には、ウガンダの当時の大統領、イディ・アミン氏が国内のインド系や

パキスタン系などのアジア人約6万人を国外追放した際、イギリスはBNOを保有する

約3万人の亡命受け入れを申し出た。この時一部の英下院議員からは、インドが難民の

責任を負うべきだとの声が上がったが、当時のエドワード・ヒース英首相は同国には

難民を受け入れる義務があると述べた。

 

中国に対し強固な対応を

リサ・ナンディー影の外相は先に、イギリスは中国政府に対してもっと強固な対応を

しなければならないと述べていた。

 

ナンディー氏はBBCに対し、国家安全法は「我々が香港を中国に返還し、香港の特別な

地位を保護した時に中国と署名した、連合声明を損なおうとし始めている中国による

一連の試みの中の、直近の動きだ」と述べた。

 

「我々は、英政府が対応を本当に強化するところを見たい」

 

ジェレミー・ハント前外相は、香港で悲劇が起きるのを避けるために、各国と連携

すべきだと述べた。

 

ハント氏はBBCに対し、「英中の合意の観点から見ると、間違いなくこれまでで最も

危険な時期だ」と述べた。

 

「独特な法的状況を持つイギリスには、国際的に連携し、香港の人々を守るために自分

たちにできることをする義務がある」

 

ボリス・ジョンソン英首相の報道官は28日、「我々は香港の安全保障に関連する中国の

法律を深く懸念している」、「我々はこれまで、国家安全法が一国二制度の原則を損なう

恐れがあると、非常に明確に示してきた」と述べた。

 

「この件について、国際的パートナーたちと緊密に連絡をとっている。

また、ラーブ外相は昨夜、アメリカのポンペオ国務長官と話した」

 

さらに、「中国政府による措置は、英中の共同宣言を直接的な危険にさらし、香港の

高度な自治を損なっている」と付け加えた。

 

アメリカのマイク・ポンペオ国務長官は27日、香港は「高度な自治」を維持できて

おらず、アメリカが認めてきた貿易や投資における優遇特権の継続にもはや値しない

議会に報告した。

 

この優遇特権が取り消されれば、香港は今後アメリカから、貿易やそのほかの目的に

おいて中国と同じ扱いを受ける可能性がある。そうなれば、貿易の中心としての香港の

地位に大きな影響を与える恐れがある。

(英語記事 UK proposes rights for HK special passport holders

 


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