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習主席と李首相の対立鮮明に 経済で不協和音

2016-07-25 00:05:16 | 中国・中国共産党・経済・民度・香港

習主席と李首相の対立鮮明に 経済で不協和音

2016 年 7 月 22 日 14:41 JST THE WALL STREET JOURNAL

 

【北京】今月初め、中国の習近平国家主席と李克強首相はいずれも中国の国営部門をどう改革するか力強い指示を出した。

しかし、彼ら2人のメッセージは互いに矛盾するものだった。

  7月4日、中国国務院(内閣に相当)当局者たちは、

習氏が「より強く、より良く、より大きな」国営大企業の必要性を呼びかけたことを文書で知らされた。そ れら企業の管理で共産党が中

心的な役割を演じるという。

これに対し李氏は準備草稿で、国営企業を「スリムダウン」し、その再編には「市場のルールに従う」 必要性を強調した。

 党のインサイダーや中国の専門家は、このように相反するメッセージや、その他最近のエピソード(習陣営からの李氏の 政策に対す

るベールに包んだ批判を含む)は、中国指導部のトップ2人の間の不協和音が公の場にどんどん聞こえ出していることを示していると

みている。

中国 指導者たちが伝統的に提示しようと努めている統一戦線からの顕著な逸脱といえる。

 この分裂状態は短期的には、中国経済を再編するとの指導部の約束をめぐって不透明感を強める。

中国経済は最近数カ月間、停滞しているようにみえる。

  国営企業部門を監督している当局者らは最近数日間、会合を開き、7月4日のトップ2人の相反する指示の「精神を研究」しようとし

てきた。一部には依然とし て困惑している向きもいた。

会合に出席した国務院国有資産監督管理委員会(SASAC)の当局者は「トップからの明確な方向性が欠けている」と述べ、

「他 の人たちが何をするのか見極めようと誰もが様子見状態だ」と語った。

 SASACと国務院の報道担当官は、問い合わせに応じなかった。 より長期的な懸念は、分裂の政治的な影響があるかどうかだ。


指導部内部の対立は、文化大革命から1989年の天安門事件に至るまで、現代中国の最も激動し た期間の特徴だった。

党の正統性は、最高指導部で均一で分別ある政策決定のイメージを打ち出せるかどうかにおおむね左右されてきた。

 習氏は、直近の2人の指導者(江沢民と胡錦濤)と同じように、国家主席であり、党総書記であり、軍のトップでもある。

一方、歴代の首相は国務院を主宰し、最近40年間の大半にわたって経済を運営してきた。

他の任務はその他の党上級幹部の間で分担されてきた。

  習氏はそれまでの集団指導モデルを転換し、政策決定を習氏自身が主宰する幾つかの小委員会内部に集中させた。

それには経済問題も含まれている。習氏の支持 者たちは、党指導部は前政権下で弱体化し腐敗しており、

経済を改革する一方で一般の支持を得る強い中心人物がいまや必要だと述べている。

 

 これに対し、習氏に批判的な人々は、習氏が効率的な支配のためあまりにも多くの権限を掌握する一方、

李氏やその他のもっと有能な経済専門家から権限を剝奪 したと述べている。

これら李氏支持派は、李氏が過去2、3年間こうした処遇を甘受してきたが、最近数カ月間で同氏の立場はどんどん切り崩されていると

述べ ている。

 

 現在、党内部では、来年の主要党ポスト交代の際に李氏が解任されるのではないかとのうわさが広がっている。

党の最高機関である政治局常務委員会(7人の常務委員で構成)の中で、来年退職年齢に達しない委員は習氏と李氏の2人だけだ。

  不協和音の最初のエピソードは、今年5月だった。

共産党機関紙「人民日報」は「ある権威ある人物(氏名は不詳)」との長々とした1面のインタビュー記事を 掲載し、第1四半期の成長

促進のため信用(融資)の果たした役割が過度だったと批判した。

事情に詳しい関係者によれば、習氏の最高経済顧問たちは習氏の指 示の下にこの記事の草案を作成したという。

この関係者によれば、習氏は中国が1月から3月までに4兆6000億人民元(約6970億ドル)もの銀行融資が 行われたことに当惑し

た。それは2009年に金融危機が深刻だったころの刺激策の規模をも上回っていたからだ。

 関係者の1人によると、そこで習氏は債務と過剰生産能力を削減するという自らの計画の実現が「危うくなる」ことを懸念した。

記事は李氏を名指ししてはいなかったが、李氏の刺激策を公に非難する意図があったという。

 

 

加えて、その記事は李氏が3月に鳴り物入りで宣伝していた「債務の株式化(DES)」プログラムに冷や水を浴びせた。

(デット・エクイティ・スワップ、DES)を通じて、企業のレバレッジ(負債比率)を低下させること。債務者である会社は、借入金を返済しなくてもよいかわりに債権者に株式を発行します。他方、債権者は貸付金を回収できないかわりに債務者である会社の経営権を握ることができます。

そうしたプログラムは「ゾンビ」企業を存続させるために使うべきでないと指摘したのだ。

ゾンビ企業は生産能力が過剰な業界で赤字を出している企業だ。

  李首相を支持する人々は、李氏が単に指導部が設定した成長目標を達成し、経済改革成功のために必要な成長率を確保しようと

しているだけだと述べる。

一方、 習主席は改革を推奨しながら、目標通りの成長率を維持することを求めているが、市場の力を奨励するという、自ら立てた

2012年の誓約は撤回している。

例 えば、習氏が過去1年間で出した国営企業に関する法令は、(市場の力ではなく)党の管理を強化することに主眼が置かれている。 

 中国経 済に詳しいカリフォルニア大学サンディエゴ校のバリー・ノートン氏は今週発表した論文で、

「李氏は難しい立場に置かれている」と述べ、「経済政策は、李氏 の手元から習氏の手元へと場所をかなり移してしまった。李氏がこ

れに不満を持たないはずはない。こういった状況で習氏と李氏の関係がそのまま維持されるか は分からない」と付け加えた。

 中国を専門とする調査会社ガベカル・ドラゴノミクスの共同創設者であるアーサー・クローバー氏は、

政策の 不透明さから生じる大きなリスクについて、赤字工場の閉鎖など、必要とされている変革がストップすることだと述べる。

同氏は「中国の経済計画があまり首尾 一貫していないことがますます明確になってきている」と話した。

 先週発表された2016年第2四半期の経済成長率は6.7%と、第1四 半期と同じで、数多くの「逆風」があったにもかかわらず横ばい

を維持した。

これは指導部が、非効率への対応ではなく、信用と財政支出の拡大という古い刺激 策を使い続けていることを示す兆候だとみられて

いる。

 困惑している国営企業幹部もいる。上海にある国営船会社の幹部は、「われわれは大手の国営企業であると同時に黒字の企業でい

ることができるのか。実世界でそれをやるのは非常に困難だ」と話す。

これは面白い。習、李コンビ解消になる可能性が強いです。習氏は経済面でも実権を握ってしまいますね。

どこまで繕った経済を支えることができるでしょうか。支えきってもらわないと困ります。

 

<資料>中国版「債務の株式化」は急場しのぎの危険なゲーム

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