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韓国の反日が東京五輪に残したもの

2021-08-07 08:17:10 | 東京オリンピック

韓国の反日が東京五輪に残したもの

2021/8/7 01:00    産経新聞  久保田 るり子

 

悪化した日韓関係は東京五輪に濃い影を落とした。韓国は東京五輪をめぐり「汚染されたフクシマ」を

印象付けるさまざまなパフォーマンスを繰り広げた。選手村の宿舎に反日的な横断幕を掲げ、

「福島産の食材は危険」と自前の給食支援センターを設営し、ビクトリーブーケに福島産の花が入って

いることを「放射能の不安」と報じた。こうした動きにより、東京五輪での韓国選手の活躍はかすみ、

日本人の心情に不信感を残す結果となった。

 

大韓体育会が反日アイコン主導

開幕直前、韓国は自国選手団の宿舎に「抗日の英雄」として知られる16世紀の将軍、李舜臣

(イ・スンシン)の言葉をもじった横断幕を掲げた。国際オリンピック委員会(IOC)の要請で撤去

したが、次に現れた「虎が降りてくる」と書かれた垂れ幕は、朝鮮半島全体を牙をむく勇猛なアムール虎

の姿として描いたもので、実は李将軍の言葉より強烈な反日アピールの図柄だった。

 

韓国のスポーツ団体を統括し韓国オリンピック委員会を兼ねる大韓体育会は「韓国選手の挑戦精神を

虎に例えたもの」と説明したが、この絵の原画は「槿域江山猛虎気像図」といい、韓国でも北朝鮮でも

有名な反日の象徴だ。そもそも虎は朝鮮半島では神聖化されており20世紀初頭、日本統治に抵抗する

朝鮮の地形を朝鮮虎に象徴化して描かれた。土地には気脈が流れているという朝鮮の国土観に基づき、

虎の背骨が半島を貫く山脈を意味する図柄だ。

 

特に虎の牙が北朝鮮の聖地、白頭山(ペクトゥサン)の位置にあることから、北朝鮮は2017年3月に

この絵の記念切手を発行。同年5月には金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長(当時)の承認で、

朝鮮中央銀行から金貨50枚と銀貨100枚が発行された。選手村の垂れ幕は、五輪不参加の北朝鮮の

主張も代弁する〝反日の精神〟だったわけだ。

 

垂れ幕や福島県産食材忌避の給食支援センターの設置を行ったのは大韓体育会だ。日本統治時代の1920

年に設立され、朝鮮総督府の管理下に置かれた歴史から、大韓体育会は反日色が強い。2013年に韓国で

開催されたサッカー東アジア杯の日韓戦では、李舜臣と伊藤博文を暗殺した安重根(アン・ジュングン)

の巨大な肖像を描いた幕を掲げ、日本が遺憾表明している。

 

「フクシマ」がターゲットに

韓国は東京電力福島第1原発事故問題を日本攻撃のターゲットにした。関係筋によると、韓国はかなり

前から福島県産食材を危険視して選手用の自国食堂を設けるキャンペーンを各国のオリンピック委員会に

働きかけていたという。だが、「各国は取り合わず失敗した」。

 

韓国の黄熙(ファン・ヒ)文化体育観光相は「韓国政府は福島産の食材を避けるような指示はしていない」

と述べたが、給食支援センターには放射線測定器が持ち込まれ、日本国内で調達した食材の放射線検査の

模様が韓国で報じられた。韓国メディアはソフトボールの試合が福島県で行われたことを強調し、東電が

福島第1原発の処理水を希釈して魚介類の養殖を試すとの計画を「福島汚染水でヒラメ虐待」などと

報じた。

 

そして、メダリストたちに贈られるビクトリーブーケに福島産の花が入っていることを「メダルを取れば

福島産花束。放射能汚染の不安」と報じた。内堀雅雄福島県知事は「報道を拝見し本当に残念だ」と会見

で述べた。ブーケは福島産のトルコギキョウ、宮城産のヒマワリ、岩手産のリンドウなどで作られた。

日本オリンピック委員会(JOC)が復興五輪のシンボルとして「原発事故を乗り越える姿」と花々に

思いを託し準備したものだった。

 

この騒動を受け、立憲民主党の玄葉光一郎元外相(衆院福島3区)は衆院内閣委員会で「福島県民が失望

している」「ここまでくると侮辱的だ」と批判。「静観していれば風評被害は拡大する。IOCに抗議し

厳重注意を求めるぐらいはやったほうがいい」とJOCに要請した。

 

日本のスポーツジャーナリストは「韓国は政府系の非政府組織(NGO)が防護服を着た聖火ランナーが

走る五輪ポスターを作製するなど、東京五輪と福島第1原発を揶揄(やゆ)してきた。給食センターは

確かに各国が自国選手支援で食事の提供を行うことはあるが、今回の韓国のような露骨なやり方はしない。

明らかに嫌がらせとしかみえない」と述べている。

 

文政権の反日に連動

韓国の福島批判は19年7月から激化していた。日本は18年以来、各国に処理水の問題を丹念に説明

してきた。今年4月の海洋放出の正式決定を前に国際原子力機関(IAEA)や米国が日本の方針に

支持を表明したのは、この間の科学的論拠に基づく協議があったためだ。

 

だが文在寅(ムン・ジェイン)政権は、19年7月に日本政府の対韓輸出規制が厳格化されると、その

対抗策の中心に福島問題を据えた。韓国政府は同年8月、駐韓日本公使を外務省に呼び処理水への懸念を

表明、日韓外相会談でも福島問題を取り上げるなど「汚染水」のキャンペーンを始めた。

与党「共に民主党」は日本経済侵略対策特別委員会を党内に立ち上げ、「日本の放射能の危険が度を

過ぎている」と海洋放出を「深刻な犯罪行為」と言い始めた。このころから、韓国は東京五輪と

「フクシマ」を関連付け、「日本の泣きどころ」(韓国紙)だと攻勢をかけ始めた。

 

韓国はIAEAや国連、世界保健機関(WHO)、国際海事機関(IMO)などに「福島汚染水」問題を

提起。鄭義溶(チョン・ウィヨン)外相はフィリピンなど海洋国家の外相に海洋放出の反対に協力を

呼びかけている。大統領選を前に韓国では与党の大統領候補らが福島問題などを理由に「五輪ボイコット」

を主張。左派系労働団体など60余りの市民団体が「日本の放射能汚染水放出阻止共同行動」を発足させ

た。こうした韓国政府の姿勢が東京五輪に投影された。

 

五輪と国際政治

戦前の五輪ベルリン大会(1936年)はヒトラーの政治宣伝だった。ミュンヘン大会(72年)は

パレスチナ武装組織「黒い9月」がイスラエル選手団を襲撃し11人もの選手が犠牲となった。

五輪には戦争、ナショナリズム、民族、宗教などあらゆる様相が入り込むのは確かだ。

 

韓国は文大統領が2018年の平昌冬季五輪を南北和解に利用した。正恩氏の実妹、金与正(ヨジョン)

氏が訪韓し、その後の米朝首脳会談につながった。韓国は東京五輪で平昌の再現を熱望した。北朝鮮の

不参加が明確になった後も、文氏はレガシー(政治的遺産)作りの日韓首脳会談にこだわった。

東京五輪に政治を超えた日韓のスポーツマンシップを期待したのは日本だけではなかったはずだが、

日本には苦々しい思いだけが残った。

 


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