サウジ、汚職取り締まりで11.6兆円回収 56人は依然拘束
サウジアラビアの首都リヤドで開かれた会合に出席したムハンマド・ビン・サルマン皇太子(2017年11月26日撮影、資料写真)
【1月31日 AFP】サウジアラビアの司法長官は30日、王子や閣僚、大物実業家を対象にした大規模な汚職取り締まりの一環で、
これまでに4000億リヤル(約11兆6000億円)を回収したと発表した。また、依然として容疑者56人が拘束下で取り調べを受けて
いると明らかにした。
シェイク・サウド・モジェブ(Sheikh Saud al-Mojeb)司法長官は、容疑者381人に対する事情聴取を終え、56人の身柄を引き続き
拘束するとともに、残りを釈放することを決めたと表明。釈放されたのは、無実が証明された人々のほか、汚職容疑を認めた上で、
政府との間で解決金の支払いに合意した者らだとした。
サウジアラビア当局は昨年11月、前例のない規模の汚職摘発に乗り出し、王族や著名実業家、政府高官らを一斉に逮捕した。
取り締まりはムハンマド・ビン・サルマン(Mohammed bin Salman)皇太子(32)が主導したもの。
同皇太子は、自身が策定した「ビジョン2030(Vision 2030)」計画で、極めて保守的なイスラム教国であるサウジアラビアの
社会・経済改革を打ち出している。
同皇太子の動きには、資産や権力の強奪だとの批判が上がっている。一方、当局は一連の取り締まりについて、サウジアラビアが
ポスト石油時代に備える中、同国にまん延する汚職を根絶するためのものだと主張している。
「サウジのバフェット」アルワリード王子釈放 汚職容疑で拘束
サウジアラビアのアルワリード・ビン・タラール王子。スリランカのコロンボにて(2017年7月4日撮影)
【1月28日 AFP】サウジアラビアで27日、汚職容疑で過去3か月間近く拘束されていたアルワリード・ビン・タラール
(Al-Waleed bin Talal)王子が、当局との「調停」合意後に釈放された。
同王子は昨年11月の一斉検挙で拘束された大物実業家や閣僚の中で最も著名な人物。「サウジアラビアのウォーレン・バフェット
(Warren Buffett)」と呼ばれ、投資会社キングダム・ホールディング・カンパニー(Kingdom Holding Company)の所有者でも
ある。
同国に新設された汚職対策委員会は昨年11月4日以降、エリート層を対象に近年最大の一斉検挙を実施し、350人を首都リヤド
(Riyadh)の高級ホテル、リッツ・カールトン(Ritz-Carlton)に拘束したが、事態は収束に向かっている。
アルワリード王子は他の容疑者と同様、釈放条件となっていた同国政府との金銭的合意に達した後に釈放された。合意の詳細は
公表されていない。
サウジアラビア政府筋はAFPに「司法長官が今朝、アルワリード王子との調停を承認し」、釈放に向けた条件が整ったと述べたが、
調停の金額は明らかにしなかった。
同政府筋は、アルワリード王子には汚職の罪があるとする一方、同王子は現在もキングダム・ホールディング・カンパニーの
所有者かとの質問に対し、「確かにそうだ」と答えている。
同国では26日にも、メディア王と呼ばれるワリード・イブラヒム(Waleed al-Ibrahim)王子が釈放された。英紙フィナンシャル・
タイムズ(Financial Times)の同日の報道によれば、当局は同王子に対し、衛星テレビネットワークMBCの株式を引き渡すよう
命じていた。