石原慎太郎氏「三国人」発言 作家・加藤直樹さん「私は我慢できなかった」
11/18(水) 11:00配信
関東大震災の朝鮮人虐殺を巡るヘイトスピーチについての分析を語るノンフィクション作家の加藤直樹さん=東京都千代田区の毎日新聞東京本社で2020年9月11日、後藤由耶撮影
1923年の関東大震災が引き金となった朝鮮人虐殺。背景にデマがあったことははっきりしている。だが近年のヘイトスピーチ(憎悪表現)は、明確な史実を真っ向から否定して繰り広げられる。ノンフィクション作家の加藤直樹さん(53)は「100年前と同じ差別意識が残っている」と指摘する。どういうことか。【南茂芽育、後藤由耶】 ――「トリック 『朝鮮人虐殺』をなかったことにしたい人たち」の著者として、虐殺を正当化する言説がインターネットを中心に飛び交っている現状をどう見ますか。
関東大震災の際、横浜市の税関倉庫が武装した日本人に襲われました。でも、かといって「横浜市民全体が暴徒だから殺していい」と言う人はいないでしょう? にもかかわらず、朝鮮人ならば「暴動を起こしたから殺す」と言うのを「なるほど」と受け止める人がいる。100年前と同じ差別意識が残っているということです。 そもそも「朝鮮人が暴動を起こした」などの言説は断片的なデマに乗っかった当時の報道を根拠にしたものです。殺人や強盗、放火の罪で起訴された朝鮮人は一人もいません。
――問題に関心を持ったきっかけは? 石原慎太郎元東京都知事の「三国人」発言(三国人は主に台湾出身の中国人や朝鮮人を指す差別的な言葉)です。2000年に「地震が起きたら三国人が暴動を起こす可能性があるので自衛隊にも出動してもらいたい」と述べました。私は、中国人の友人が自衛隊に銃を向けられるところを想像し、我慢できなかった。こういう発想が朝鮮人虐殺を引き起こしたのかと思い、調査を始めたのです。 ――保守系団体による朝鮮人虐殺を巡る発言について、都がヘイトスピーチだと認定しました(ことば参照)。
朗報です。虐殺を否定することが差別を扇動することになると認定したわけです。ありもしない歴史の偽造をやって、朝鮮人は「悪いやつだ」と叫ぶのは、ヘイト集会でよく見られる光景です。それをきちんとヘイトスピーチと位置づけたのは意義があります。 ――飛び交うデマとどう向き合ったらよいのでしょう。 信じないことです。災害時には外国人にまつわるデマがよく発生するようです。東日本大震災の時は、被災地で外国人の窃盗が横行しているというデマが流れました。そういう話を聞いたときに、「単なる差別的な妄想ではないか」と考える感性をどれだけ持てるかが大切だと思います。
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