大地震前兆に科学的根拠なし 東日本大震災、熊本地震…ネットで拡散「トカラの法則」 専門家「そもそも日本は多発地帯」
4/24(土) 23:00配信
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トカラ列島近海を震源とする地震が数多く観測されている悪石島
トカラ列島近海で9日から断続的に発生している地震は24日までに計265回に上る。インターネット上では、トカラ近海で地震が頻発した後、国内で大地震が起きるという“トカラの法則”なる言葉が話題になっている。専門家は「科学的根拠はない」と指摘する。 【写真】「トカラの法則」とされる例
「トカラ列島の群発地震→巨大地震で日本滅亡の前兆か!」-。ツイッターでは、2011年の東日本大震災や16年の熊本地震などの大地震とトカラ近海地震が因果関係にあるかのような投稿が相次いでいる。 実際、トカラ近海で11年1月13日から3月7日まで計27回地震があり、その4日後、東日本大震災が発生した。16年4月1日から8日には計9回地震があり、6日後に熊本地震が起きている。 気象庁のデータベースによると、トカラ近海で地震記録が残る1951年以降の71年間、一定期間に複数回起きた地震群は89件。このうち、収束から1カ月以内に国内でマグニチュード(M)6以上で震度5弱以上の大地震は36件あった。 “トカラの法則”が成り立つようにも受け取れる。しかし、トカラ近海では32年連続で地震が計998回発生(21日現在)し、全国でもこの32年、M6以上で震度5弱以上を139回観測している。 東日本大震災が起きた11年は、トカラ近海で計63回地震があり、地震群は6件。1カ月以内に発生した大地震は東日本大震災(最大震度7)のみだった。
熊本地震があった16年のトカラ近海地震は計157回で地震群は8件。その後に大地震があったのは、熊本地震(最大震度7)のほか、北海道浦河沖(同5弱)、鳥取県中部(同6弱)、福島県沖(同5弱)、茨城県北部(同6弱)の4件だった。 鹿児島大学の中尾茂教授(固体地球物理学)は“トカラの法則”を「そもそも東北や熊本はトカラ列島と地理的に離れ、地震に因果関係があるとは考えにくい」と指摘する。「日本全体が地震多発地帯。法則のように見えても根拠のない偶然」とした上で、「どこでも地震は起こり得る。備えだけは怠らないで」と呼び掛ける。
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