じんべえ時悠帖Ⅱ

今日も今日とて京都の話題

 現役時代、昭和二十年代に建てられた鉄筋コンクリートの

工場に新しい装置を入れる仕事があった。3階から地下まで

繋がる装置なので各階の床の開口や地下掘削が必要になった。

 地下のピット(穴)を掘り始めると、建物の基礎、その下に

何と「松杭」が見えて来た。整然と並ぶ太さ20センチほどの

松杭は築三十年後も真っ新(マッサラ)であった。

 水に強い松が杭材に使われたことは知っていても、実際に

目の前にして「さすがですね松は」と工事監理の設計事務所

のベテランもびっくりであった。

 本題は、京都祇園の真ん中に建つ「弥栄会館」の解体工事。

ここでは2度目となるNHK「解体キングダム」からである。

今日も画面映像を何枚かお借りする、NHKさんよろしく。

 弥栄会館は昭和十一年竣工の鉄筋コンクリート5階建て。

四年後の2026年に帝国ホテルとして生まれ変わる。普通の

解体なら何ということない工事。

 だが、正面と西側の壁だけ「残す解体」。面の皮一枚では

なく壁一枚残す難工事。周囲は普段通りの祇園の街が密着し、

万一の事故も許されない。

 周囲に余地はなく建物の中からの解体となるが、5階建て

の弥栄会館の壁の上まで届く重機が入らない。何と、建物の

2階まで土砂を埋め尽くし、その上に重機を据える。

 万一の重機の掴みミスを「想定」し鉄筋数本だけ残して

コンクリートを毀す匠技などの詳細は省くが、この3月に

無事解体を終了し、ホテルの建設が始まったという。

 番組では触れていないが、この弥栄会館の基礎の下にも

「松杭」があったのだろう。

 すぐ隣の「都をどり」の祇園甲部歌舞練場は、広い舞台と

客席を持つ築百年を越す大きな木造建築。これは「残す補強」

工事が進む。

  


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コメント一覧

jinbei1947
えめらるど様
近くに八坂神社、八坂の塔があるので私はてっきり「八坂会館」と思っていました。
隣の歌舞練場に都をどりも観に行っているんですけどね。
上高地の帝国ホテル、次回はリムジンでどうぞ。
jinbei1947
ワイコマ様
おっしゃる通り、景観条例で建て替えると高さ12メートルの制限がかかります。
苦肉の「改修」で五階建てのホテルになります。
外壁の横長レンガ、2万枚を綺麗に剥がして再利用、コスパ無視の大改修。
さぞかし高い宿代になるでしょうね。
eme
[弥栄会館]、読み方も知りませんでした。修学旅行では立ち入らなかった地域です。地図を開くと、百余りのお寺のマークが目に入りました。帝国ホテルについては、以前上高地の帝国ホテルまでドライブし玄関の近くが空いて居たので軽自動車を停めようとしたら、慇懃無礼なボーイが出て来て裏の勝手口へ誘導された嫌な思い出があります。
ykoma1949
京都の町は地域によって 景観条例や風致地区指定の制約を
沢山負わされて気軽に解体新築が難しいようです。
街の中の路地も 皆が不便と共に我慢しているんだ・・と
聞きます。世界遺産の街ですから 仕方ないですね~
そんな苦労を糧に、新技術と建築の知恵が発揮されるんですよね
帝国ホテルじゃあ私には縁がないが・・今年の3月この辺を
ぶらついたが・・知りませんでした (≧∇≦)
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