全国地蜂連合会

全国の地蜂愛好会やグループで組織する、全国地蜂連合会のホームページです

地蜂 ヘボとは?

2008年06月10日 | 地蜂とは?
 

 私たちが研究(捕獲、飼育、放蜂)している地蜂は主に「シダクロスズメバチ」です。俗名(地方名)には、いろいろな呼び名があります。ヘボ、スガレ、スガリ、地蜂、ハイバチ、ジスガリ、タカブなどがあります。中でも最もポピュラーなのがヘボです。ここに挙げた呼び名はほんの一例で、それぞれの地方にいろんな呼び名があります。これだけ沢山の呼び名があるということは、それ程沢山の人に愛されていたという証ではないのでしょうか。「ヘボ」という呼び方は、成虫(ハチ)にも幼虫にも使います。ハチノコという言い方もありますが、この場合は一般的に幼虫を指す事が多いようです。

 このホームページでも「ヘボ」「クロスズメバチ」「シダクロスズメバチ」「ヘボ」「地蜂」「ハチノコ」「幼虫」「成虫」と、その時その時の内容、文章の流れや状況で呼び名を使い分けていますが、概念的には「同じもの」と御理解下さい。基本的には、多くの人が使っている「ヘボ」という呼称を使うようにしています。しかし、それぞれの地域の皆さんのこだわりや考え方を尊重して、表記の統一はしません。読み物としては、少しわかりづらくなっているかもしれませんが、地域の事情、愛好家達の深い熱意の現れとご理解いただき、お許しいただければと思います。

蜂追いは技術の結集

2008年06月10日 | 地蜂とは?
ヘボを捕らえるのが「蜂つけ(蜂追い)」です。餌にやってきたヘボ(働き蜂)に目印を持たせ、その蜂を追って、山を駈けるわけです。蜂つけは、蜂に目印を持たせる役と、蜂を追い掛ける役の最低2人でやるのが効率的です。やろうと思えば1人でも出来ますし、多くの人数でもできます。数人で無線を使ってお互いに連絡をとりながら、山肌を飛んでいく働き蜂を追う事が多く、調子のいい時は1日で10数個の巣を見つけることがあります。しかし、見つけた全ての巣を獲るようなことはしません。持って帰るのは必要最低限。それが自然を守るルールです。
 大の大人がいい年をして昆虫採集をして喜んでいる、と思われるかもしれませんが、この「蜂つけ」、一度やると誰もが病み付きになります。蜂の後を追いかけて山を駆け巡り、額の汗を木立から抜けてくる風が優しく拭う一時の爽快さ、そして山の中で食べる弁当の旨さ--は何ものにも替えがたいものです。

巣の生掘りの様子

2008年06月10日 | 地蜂とは?
 巣を見つけて掘り出す時は、巣を破壊しないように丁寧に、しかし素早く作業をします。使う道具は、稲狩り鎌、剪定鋏などです。以前は煙幕で蜂を失神(麻酔)させて刺されないようにしてから巣を掘り出し移巣箱へ移していました。しかし、最近は巣へのダメージを減らすために「生掘り」と言って、麻酔をせずにそのまま掘り出す方法が取られるようになってきました。刺されると致命傷になることも考えられますので、防護服で全身を覆って作業をするのですが、これはかなり熟練した人でないと危険です。煙幕を使うにしても、生掘りにしても、かなり危険である事は変わりがありません。蜂つけを初心者だけで行う事は、絶対におやめ下さい。

地蜂の巣

2008年06月10日 | 地蜂とは?
 かつては山に分け入って地中にある蜂の巣を探し、お目当てのヘボを取って食べるだけでした。しかし、開発により森林が減ってきたことや、心無い人達による巣の乱獲が原因で、ヘボは目に見えて減ってきました。そこで最近は、飼育して増やしながら、その一方で食べていくという方法が主流になってきました。自然を守りながら、また自分達の欲求を充たすという、一石二鳥の方法です。この、ヘボを増やして食べるための作業は、7月中旬に始まります。真夏、私たちは山へ入って、巣を(野球ボール程の大きさで、働き蜂が20数匹が理想)を探すのです。巣を見つけたら、巣を壊さないように掘り出し、移巣箱という箱に入れて飼育施設(ヘボハウス)に持ち帰ります。

巣を飼育箱で育てる

2008年06月10日 | 地蜂とは?
掘り採った巣は「移巣箱」に移してヘボハウスに持ち込み、そこに設置してある飼育箱に入れて育てます。飼育箱はヘボの神様「三宅尚巳名誉会長」が考案された「三宅式飼育箱」に、みなさん自分なりのこだわりの一工夫を加え、使っているようです。ヘボの巣からは、飼育箱に入れた翌朝早くから元気よく働き蜂が出入りする姿を見る事ができます。自然界ではヘボは、昆虫や小動物の肉を幼虫の餌として運んでいます。ですから、ヘボハウスでは働き蜂が遠くまで餌探しに行かなくても済むように、鶏のささ身や肝、魚肉、砂糖水などの餌を置いておきます。ヘボは意外にも美食で、新鮮な肉しか食べません。ヘボハウスには沢山の飼育箱が置いてありますので、その中に住む幼虫たちのために何時も新鮮な食べ物を用意しておかなければならないので、これはこれでかなり大変です。


地蜂の交尾

2008年06月10日 | 地蜂とは?
飼育を続けた巣箱の女王蜂は、ヘボハウスの中で交尾します。交尾時期が近づくと女王蜂が逃げないように、ヘボハウスの窓などは閉めてしまいます。巣を離れた女王蜂は天井や壁に静止し、そこへ何匹もの雄蜂が背後から交尾を試みます。最初、雄蜂が女王の背中から交尾をしていますが、やがて女王が交尾したまま体を入れ替え上下を逆転させ、雄蜂の背中(腰部)を噛み始めます。交尾を終えると雄蜂は女王から離れ、女王は30秒程体を休めた後、冬眠をする場所を探しに飛び立ちます。そして、ヘボハウスの壁などの隙間を見つけそこで冬眠する準備に入ります。(自然界では、木などの隙間を見つけ、そこで冬眠に入ります。)