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アマチュア無線&鉄道旅行のログブック by taniyan / JH0HYX

鷹取工場と蒸気機関車

2009-01-18 21:29:00 | 鉄道

 1月17日。多くの方々が犠牲となった、阪神・淡路大震災から14年。鉄道関係も、JR東海道本線を始め、阪急、阪神など、各社が大きな被害を受けたことは記憶に新しい。このとき震災の被害を受けた鉄道施設の一つ、神戸市にあったJR鷹取工場。1900年に開設され、震災5年後の2000年に、その100年の歴史に幕を閉じた。

 

 鷹取工場と蒸気機関車とは、最後まで深い縁があった。1972年、日本の鉄道開業100周年を記念して京都に開館した梅小路蒸気機関車館。蒸気機関車が動態保存(車籍を保持し本線走行が可能な状態で保存)されている、日本でも数少ない施設の一つである。鷹取工場は、最後まで、梅小路に所属する蒸気機関車の、検査、修理を受け持ってきた。

 

 本線を走るための車籍を維持するためには、定期的に「全般検査」という、自動車でいうところの車検みたいなものを受けなければならない。梅小路開館当初は国鉄長野工場(現JR長野総車セ)がその役を担っていた。インターネットなど無かった当時、中学校の「鉄」仲間の情報をもとに、全検のため篠ノ井線を甲種回送されるC62 2を、深夜の村井駅で待ち伏せ、写真を撮ったのは、懐かしい思い出である。

 

 ところが、開館からわずか4年後の1976年に、長野工場の蒸気機関車用検査設備が廃止されることになり、梅小路のカマたちは存亡の危機に立たされることになる。しかし、検査設備廃止から数年後、この鷹取工場が長野工場の役割を引き継いでくれたおかげで、現在でも梅小路には、動態保存された蒸気機関車達が残っている。

 

 14年前の震災当日、SLやまぐち号でおなじみのC57 1も検査入場中に、鷹取で被災している。機関車ばかりでなく、工場自身もかなり大きな被害を受けたにもかかわらず、傷ついた貴婦人を、わずか3ヶ月足らずで修復し、ふたたび山口線での運用に復帰させた。当時の技師たちには、鉄道マンとしての魂と誇りを感じる。鉄道の未来を担う若い技師さんたち、是非その魂も受け継いでほしい。

 

 鷹取工場が閉鎖された後は、梅小路蒸気機関車館の中で全検ができる設備が整備され、自前で動態保存を維持できるようになった。スワローエンジェルこと、C62 2には、いまでもたまに京都まで会いにいく。1872年10月14日以来、日本の近代化を牽引し、いくつもの災害や争いに巻き込まれてきた蒸気機関車たちが、いま京都で静かに余生を送っている。もし梅小路に行く機会があったなら、こいつらにもそんな歴史とドラマがあったこと、思い出しながら眺めてやってほしい。

 

by taniyan

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