PRIMO信号処理研究所 / Synchro PRIMO Lab.

周波数測定、位相差測定に関する新しい数理。
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「リサージュ外積」にあらわれる数学

2018-03-04 22:16:25 | 信号処理

 Synchro PRIMOのアイディア「リサージュ外積」の計算に現れる数学を紹介します。

別に公式というほどでもないのですが、解法には大学受験で覚えた三角関数の公式が登場します。

(余弦自乗差)・・・と勝手に命名.

 cos^2 nθ - cos^2 (n+1)θ = sinθ * sin (2n+1)θ 

 例として n=0 の場合、 1 - cos^2 θ = sinθ * sin θ となり正しいことが分かります。リサージュ外積 Ls = Xn-1 * Xn+1 - Xn-2 * Xn+2 をz領域にこじつけると、上の式が登場します。 (信号の積を使う非線形関数にz変換を使ってよいものか自信ないですが)

 右辺の正弦積は、1)自乗差を "和差の積" に分解、2)それぞれを"和積"の公式で展開。3)項を入れ替え倍角の公式を再適用 という手順求めることができます。 Synchro PRIMOは、「リサージュ図の面積はどうなるか」からスタートしていますが、実は 200年ほどまえ Pronyという数学者が同じようなことをやっています。下記はProny法をのべている数少ない論文です。

Prony法の周波数推定アルゴリズムに及ぼす雑音の影響

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasj/42/11/42_KJ00001454017/_article/-char/ja/

 Pronyの原著らしきものも入手したのですが、悲しいかなフランス語が読めないのと当時の数式の流儀が分からず手が出せていません。。。

 Synchro PRIMO法では、複素数を用いた連立方程式を回避し、離散波形の隣接5点の値からProny法とそっくりな計算式を導出しているのが特徴となっています。その基本となっているのが、「余弦自乗差」なのです。数IIIの演習にも使えそうな式ですね。