PRIMO信号処理研究所 / Synchro PRIMO Lab.

周波数測定、位相差測定に関する新しい数理。
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雑音の周波数

2018-07-17 13:23:08 | 信号処理

 2つの、異なる周波数成分を足し合わせても、「平均周波数」は振幅の大きい側に支配されることは以前述べました。今度は、成分が無限に含まれているとされる「雑音」について、周波数はどう表現できるかを考えてみたいと思います。

 私がいま考えている方法は、現波形と1サンプルずらした波形をリサージュ図に描画したとし、その「回転数」をみる方法です。厳密には確率的信号処理の考えで検討しなければならないのですが、ノイズのスペクトルの包絡線の違いでさまざまな計算値がでると思います。

 複数の周波数成分が「入り乱れている」信号の周波数領域の解析において伝統的にF0が重要視されますが、調波の構造が比較的単純でも「ミッシング・ファンフダメンタル」のような現象がおこると、高調波をすべて計測し、その構造からF0を推定するという厄介な作業となります。

 今回提唱している「平均周波数」(名前を工夫して、代表周波数みたいなものも可能)の定義と数理が明確になれば、いちいちフーリエ変換しなくても、かなりのことがわかるのではないかと思います。

 フーリエ変換は便利な手法であるため、広い領域で使われています。時間の区間が±無限であれば)任意の波形は成分に分けられる(=順変換)ということはたぶん成立するのでしょうが、逆に、任意の成分を用意すれば任意の波形は合成できる(逆変換)は 微分不能な波形を生成することがあります(リーマン関数など)。連続波形なおのに導関数が定まらないというケースです。 どう解釈してよいのか今の私には分かりません。

 私見ではありますが、フーリエ変換の原点にかえって「正しい使い方」をもっと知ってもらいたいなと思っています。FFTが考案されて以降、濫用されているような気がしてなりません。


連続スペクトルなるものの考察

2018-07-01 03:20:55 | 信号処理

「連続スペクトル」「スペクトル包絡」などという言葉がありますが、さらに意味を考えてみます。

 連続系の信号で、明らかに連続スペクトルになるものには、一例として、「インパルス」「ガウス関数(ガウシアン)」があります。インパルスの時間幅はゼロ・振幅は無限大・積分すると1という定義はともあれ、現実的には、一定の時間幅をもった矩形波で考えてもいいでしょう。

 では、インパルスは平坦な連続スペクトルなので、周波数がすこしずつ異なるサイン波を無限に重ねればインパルスを合成できそうです。。次の思考実験ですが、パルスをつかって三角関数は合成できるでしょうか。離散系では、sin関数であっても、δ関数の和として表現できます。ここで注意ですが、δ関数のスペクトルは平坦。そんなδ関数をつかって合成すると、1本の線スペクトルになります。この理由は、線スペクトルといっても、各周波数で位相角はきまっていて、位相まで含めて合計すると1本の線になってしまうということです。δ関数の連続スペクトルを合成するとさまざななスペクトルが表現可能、こういう見方も可能です。

 今度はガウス関数。フーリエ変換した結果もガウス関数という、面白い性質をもっています。 ガウス関数をつかって任意の波形が合成できるなら、フーリエ変換も同じような重ね合わせとなってしまうでしょう。この方法は・・・考え中です。

  現時点で悟っていることは、「厳密な連続スペクトルはパルスでしか得られない」、「線スペクトルはいくつ足し合わせても線スペクトルの塊」・・・有限和と無限和の境目がむずかしいです。