PRIMO信号処理研究所 / Synchro PRIMO Lab.

周波数測定、位相差測定に関する新しい数理。
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Synchro PRIMO 計算式が示唆する「周波数」

2019-01-10 03:13:01 | 信号処理

周波数は普通は0以上の実数です。しかし周波数変換・変復調をおこなうと計算上「負の周波数」が登場します。

では、複素数になったらどうなるか? 一応「複素周波数」というものはあり z = ρ + j*ωt  のように表現できます。実際の波形には1)振動項、2)減衰項が存在します。 

 波形を、f(t) = 1/2 { exp(z) - exp(z) } と考えると振動項・減衰項もあらわれ、なんとなく見えてきます。ただし、この式のzをどう呼べばいいのでしょうか。とりあえず「複素位相角」としておきます。

 Synchro PRIMO では、指数的に減衰しながら振動する波形の周波数は正しく求めることができます。上記の複素周波数がうまく処理できているからです。しかし、一般の振幅変調波形ですと、一定の値が計算できません。さあここからどうするか。

 振幅変調された信号の基本周波数は一定なのでしょうか? ここは直感的な理解と複素解析から得られる結果が一致しないことも覚悟して検討しなくてはなりません。 上記の「複素位相位相角 z」 の微分が「複素周波数」であるとすればよさそうです。そう仮定すると、σ=一定の減衰をともなう振動では、瞬時周波数の計算には影響しないことがなんとなく分かります。

 振幅変調波形の瞬時周波数を複素解析的にもとめる前に複素平面で位相角の動きをイメージしてみます。 複素位相 z は普通は虚数軸方向に「速度ωで走って」いますが、振幅変調がはいると、実数軸方向に「ぶれる」ことになり、瞬時的な速度=瞬時周波数は「一定でない」と考えられます。ここが盲点で、我々が無線工学でイメージしている周波数と変調された信号の瞬時周波数は厳密には異なるということが示唆されているのです。 

 Synchro PRIMOの計測(計算)では、指数減衰する三角関数の周波数は厳密に求めることができます。(指数形式で入力信号を与えると、計算式のLsを展開することで容易に証明できます)

 では正弦波で振幅変調された波形の瞬時周波数はどうなるか。log (1+m*sin(ωt)) (mは変調指数)に比例した変動ではないかと考えています。