良く降りますね~。
栃木県もここ数日、梅雨らしいお天気です。肌寒い。
さて、久しぶりに整備ネタです。
よく「ミニは壊れる」と言われていますよね?
私の感覚だと、壊れるというか消耗品が多いと感じます。
基本設計が1950年代なので、その辺は許してあげて下さい。
今回、入庫したミニは1991~1992年にさらっと生産さた最後のキャブ。
1.3クーパー、いわゆる「キャブ クーパー」と呼ばれる生産台数の少ないミニです。
某老舗ミニ専門店で販売されていた車両です。オーナー様のM様とはミニ1000からのお付き合い。ミニ1000の車検をきっかけにキャブクーパーに乗り換えたいとの相談を頂きました。
M様がネットで、今回のミニを発見してコンディションを確認してボデーは良いし、ノーマルなので購入したいとの事。
某老舗ミニショップの整備に不安を抱いていたので、買って問題があったら修理を依頼したいと。
そして、待ちに待った納車。
その帰り道、私の所にメールが。
1.クラッチが切れない
2.ブレーキの効きがイマイチ
早速、点検のご依頼を頂きました。
少しお待ちいただき、代車を用意して入庫。
早速点検です。
クラッチ、確かに切れません。床まで力いっぱい踏んで何とかギアーが入る感じ。疲れますね。
全ての可動部分が、摩耗してガタが大きくなっていました。ガタが大きいので、適切なストローク量が確保できていません。
クラッチマスターシリンダーは新車から外した形跡がなく、ばらしてみたらプッシュロッドのクレビスピンが入る穴が楕円に摩耗しておりました。普通は交換だとおもいますが、クラッチマスターシリンダー 自体はオーバーホールすれば問題なく使用できるレベルなのでプッシュロッドの楕円に摩耗した穴は溶接して肉をもって削れば、まだ活躍してくれます。
レリーズレバーもプッシュロッドも、各クレビスピンも摩耗しきっていたので交換です。レリーズシリンダーは、かなり昔にオーバーホールされた形跡なので予防修理でオーバーホールさせて頂きます。ここが漏れるとクラッチが切れなくなるので走行できなくなるからです。エアコン&ブレーキサーボ付きのミニはレリーズシリンダーにアクセスすること自体が大変なのでバラす機会がある時はついでにオーバーホールするべきだと思います。
次に、ブレーキです。
ブレーキマスターシリンダーを点検したところ、ブレーキフルードが漏れてました(汗)
よってオーバーホールです。
写真は左から、クラッチマスターシリンダー、ブレーキマスターシリンダー、クラッチレリーズシリンダーをバラした所です。
外は、錆びてますが中は綺麗です。
この時代の、ミニの部品の素材は良いものを使っていたのでなるべく直して再利用します。
車検を取得しての納車だったので、まさかブレーキは大丈夫だと思ってました。
リアブレーキなんて、絶対に点検するから問題ないと思ったんですがこの様な状態なので点検させて頂く事に。
リアブレーキのホイールシリンダーからブレーキフルード漏れてました。
さらに、ビックリしたのは。
左右でメーカが違う、ブレーキライニング!
左がロッキード社、右がデルファイ社。のちにロッキード社はデルファイ社に吸収されるけど同じものではないというか、時代が全然違います!
ロッキード社のこのロゴ!リベットで止めていた時代のなごりのプレート。
懐かし過ぎます。
年代、走行距離から考えるとこのミニに装着されてたものではなく、片方だけホイールシリンダーからブレーキフルードもれが生じてライニングにブレーキフルードが付着してブレーキライニングがダメになり、コスト削減で年代物の中古のブレーキライニングを使ってしまったと推測します。
少なくても、1980年代前半に使用されていたブレーキライニングだと思います。
車検の時の検査では、低速での検査だから制動力に左右差が出ないかもしれないけど実際の走行速度、高速道路、山道、4人乗車などの状況になって制動力に左右差が生まれいないのか謎です。
フロントなら、ブレーキ踏んで制動力に左右差があればハンドルが取られるので誰でも異常が解ります。しかしリアは、まず解りません。わかる時は、スピンしているかもしれません。
当店は、リアのホイールシリンダーからブレーキフルード漏れが発生した場合は必ず左右セットで交換します。時間差で反対側も必ずブレーキフルード漏れが始まるからです。毎月、ブレーキばらして点検できるなら片方だけでも良いとは思いますが、そんな人はまず居ないと思いますので、必ず左右セットです。
新品のホイールシリンダーも必ずバラシて点検した後に耐熱のシリコングリスを塗布して組み直してから使用します。
ブレーキに、やり過ぎは無いと思いますので。
これらの、修理をしていたら工場の床に緑色の液体が・・・・。
ラジエターのクーラントです。
点検したら、ラジエターアッパーホースからの漏れでした。お金が掛からない場所で良かったです。
さらに・・・・。
良く見れば、エンジンアースが正規の場所はエンジンブロック~ボデー間で繋いであるんですが
エンジンブロック~ブレーキサーボ間で繋がれていました(汗)
なぜ?こんな事をするのかは理解に苦しみます。解りません。
セルモーターを回している時が、バッテリーの電流が一番多く流れます。(その時の為に、どの車も太いアース線を使用しています。)
その時になぜ?大電流をブレーキサーボに流すんでしょうか?
単純にセルを回す度に、ブレーキが危険に曝されていると思うんですが・・・。
エンジンアースと一緒の場所にある、ミニの要のブッシュ「ステディーブッシュ」もすでに寿命は過ぎている状態だったので交換させて頂きました。
全部ではないですが、これらの部品を交換しました。
他にも、故障個所ありますが予算に応じてコツコツ治して行きましょう。
最初に、戻ります。
ミニは壊れるんじゃなくて、壊れた状態で売っているんです。
ブレーキだけは、ちゃんと整備して欲しかったと思います。
それ以外は、価格も安かったしオーナーのM様も最初から「まともなミニ」は期待したおらず、「程度の良いベース車」という認識で購入したので販売店と揉めるような事も無いです。
仮に、当店の修理明細をもって販売店に苦情を訴えいるお客様なら私はこの仕事は受けておりません。
販売に特化したお店、整備に特化したお店。
それぞれに、やり方。個性があるからです。すべて正論をのべたら、おそらくミニは消えてなくなると思うので。
私は、あくまでも治す側の人間でいたいだけです。
このままでは、危険と判断する故障を見てしまった以上プロフェッショナルとしてお客様に説明し修理させて頂きます。無視はできません。
一般的に考えれば、車検に合格していれば2年間安全に乗れると思われると思います。
残念ながら国で定められた車検とは、そこまで検査はしておりません。
車検を受けている、その時だけ正常であれば良いのです。ブレーキパットが残り1mmで1か月も持てばいい程度でも車検は合格します。
私はオーナー様の年間走行距離、走る場所、使い方から2年持たないと判断すれば交換させて頂きます。
趣味の車で、年間走行処理が僅かなオーナー様であれば残り少なくて交換しないです。(1mmなら絶対に交換しますけどね。)
今回のミニも車検取り立てですが、この状態でも車検を通すだけは可能だと思います。
そして、ミニを乗った事ない方なら「こんなものだろう」と乗っていたと思います。
いよいよ、おかしいと思った時は保証期間は終わってますよね。それより、事故にならなくて良かったです。
全てのミニの専門店はこういう訳ではなく、もちろんきっちり整備してお客様にお渡ししていると信じています。
しかし、少しでも不安がある場合は取りえずドライブがてら相談にいらして下さい。
一人で切り盛りしている小さなお店ですので、不在の場合がございます。来店の際は電話またはメールにて問い合わせ頂けると幸いです。
★★★当店は、販売ではなく整備&修理、車検、カスタム&ドレスアップ、チューニング、板金レストアなど技術に特化したお店でございますので、個人売買、他店購入車、大歓迎でございます。実際の常連様の多くは他店で購入されたお客様ですのでお気軽にご来店して下さい。
ちなみに川と雪山と犬をこよなく愛する方も大歓迎でございます。
問い合わせ先
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