田辺聖子さんが文化勲章を受賞されることになった。そのニュースの発表される前日から朝日新聞夕刊の「人生の贈りもの」コラムで田辺さんのインタビュー記事の連載が始まり田辺節の健在ぶりを目にしたばかりだったので、うれしい驚きだった。
第一回「恋に大切なのはやさしさ」はこんな質問からはじまる。「最初に、失礼を顧みずお聞きしますが、女性にとって「美人」は幸せの条件でしょうか」これに対して田辺さん「なんでそんなアホなこと言うの。(中略)「美人、美人」って騒ぐ男性は、「パァ」よ。恋を知らない人たちよ」あのやさしくたおやかな口調でこんな啖呵を切る田辺さん!背中をどんと押された気分。
「恋の究極の姿とは?」と問われて「人間っていうのはもともと「人をなでなでして、自分をなでなでされるもの」だと思うの」とのお言葉。いや、まいりました。恋愛だけでなくすべての愛に共通する愛の「究極の姿」をこんなにもやさしく子どもにもわかる言葉で語れるなんて、田辺さん、すごい!
昨日の第二回では「年を取るということは、それだけ、言葉を獲得しているということなの」と。うーむ、わが身をかえりみて冷や汗が出た。覚えたのは弁解やカモフラージュの術ばかり、「自分の言葉」といえるものなんて持ってない!ブログを書きつつそのことを実感する毎日だからこそ身にこたえるものがある。「自分の言葉」には耳を傾けさせる力がある。そういうことはわかるのだけれど。