作家の中沢けいさんのHP「豆畑の友」をどういう経緯で「お気に入りブログ」に入れたのか覚えていない。「伊藤製作所~豆畑支所~」のバナーをクリックして伊藤比呂美さんのブログにアクセスするために開くことの多いページだったのが、ここへきて俄然「大家さん」のブログ「コラム豆の葉」から目が離せなくなった。
店子の伊藤さんが「大家さんの心筋梗塞レポートがあんまりおもしろいので、自分のを書く気がぜんぜんしない」と書かれているのもむべなるかな。不謹慎なようだが私もおもしろすぎる「心筋梗塞レポート」に目を見張り手に汗握っているひとり、転んでもただは起きない作家魂に感嘆する。
生きるか死ぬかの瀬戸際のというものはこういうものなのか。自身の一大事に遭遇しながら作家としての冷静な目を持ち続けていることのすごさ。搬送の救急車の中で先にペンネームを名乗ってしまい、次に本名を伝えたので現場が混乱したというなんともリアルな顛末。そんなさなかにも「鍋蓋を押し付けられたような痛み」という比喩表現の出典を思いめぐらす。「深い井戸の底からぬっと顔を出して事情説明」なんていう表現もものすごい。
いやはや、恐れ入りました。切迫した事態が綴られているのになんともいえないおかしみがたちのぼる。常人にはとうていできない離れ業だ。中沢さんの「生還」をともに喜びたい気持ちでいっぱいだ。