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主婦の書斎から<izzuco dialogue>

2005年6月にはじめたブログです。その間エキサイトブログ(ブックマークに記載)に居を移していた期間が2年ほどあります。

山崩し

2008-09-09 | 私のアルバム

子どもの頃けっこう好きだった遊びに山崩しがある。地面の砂をかき集めて作った山のてっぺんに棒をさす。その砂山を囲むようにしゃがみ順番に両手で砂をかき取っていく。自陣に運んだ砂の量ではなくて山に突き刺した棒を倒してしまった人が負けという単純な遊びなのに、飽きずに繰り返した覚えがある。


最初のうちは欲張ってできるだけ多くぶんどる。山の斜面が大きくえぐられていまにも棒が倒れそうになってくると息をひそめてちょっとずつかき取る。このあたりのかけひきがたまらない。刻々と近づくカタストロフィーに胸が高鳴る。


子どもは遊びのかたちで人生をシミュレーションしているようだ。ちょっとずつ人生の持ち時間が削られ砂山のてっぺんの棒の傾きが気になる今日この頃。しかし山崩しの勝負が面白くなるのはこれからのはず。山崩しの山が人生のメタファーになるなんて考えもしなかった、あの頃は。

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電気クラゲ

2008-08-08 | 私のアルバム

外房の海水浴場で毎年開かれていた中学の臨海学校に参加していたときのことだ。水色っぽい浮き袋が波間にチラリと見えたと思った瞬間手の甲に鋭い痛みを感じた。すぐに手当てを受けたけれどヒリヒリする痛みはひかない。今日はもう上がるようにと先生に言われてひとり宿舎に戻った。


みみずばれの痕跡はせいぜい2センチくらいなのに火傷のような痛みは一晩続いてよく寝られなかった。いわゆる電気クラゲ、正式にはカツオノエボシというとそのとき聞いた記憶があるけれど、刺されると死亡することもある恐ろしいクラゲだと今頃になって知った。そうだとすれば電気クラゲでは生ぬるい、電撃クラゲとでも呼んだ方がよさそうだ。


波間に一瞬見えたと思ったのも後から思えばあれがそうだったのかという感じで、目の前に見えたわけではない。浮き袋から垂れ下がる触手は平均10メートルくらいあるというからカツオノエボシであった可能性も捨てきれない。少なくとも5メートルは先の海面に浮かんでいたような気がする。


いずれにしてもなにかを見たと思った瞬間には刺されていたから、遭遇してしまったら危険を回避するのはかなり難しいと思う。カツオノエボシという名前はどことなくユーモラスだけれど、その正体は猛毒クラゲ。ウィキペディアによれば「カツオノエボシ1個体に見えるものはヒドロ虫が多数集まって群体を形成したもの」というからなにやら不気味。


クラゲでもアナフィラキシーショックを起こすことがあるらしい。ハチと同様、二度目以降が危ないそうだ。

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林間のせせらぎ

2008-08-03 | 私のアルバム

今年の夏は泊りがけの旅行には行けない、というか、行かないと決めた。避暑地に別荘とか海外旅行とかそんな大それたものではなく、ささやかな家族旅行でさえ、もろもろの条件が揃わないと実行は難しい。行けないとなると、こんこんと水が湧いてさらさらと清流の流れる、そんな別天地へのあこがれがわきあがってくる。


もう十五年くらい前のことになるが、ドライブ旅行の途中立ち寄った尾白川渓谷はまさにそんな別天地だった。何より驚かされたのが真っ白に輝く川床とトルコ石のような青みを帯びた水の色。川床の純白は細かく砕かれた花崗岩で、その上を澄み切った水がさらさらさらと流れている。林間をぬうように流れるせせらぎの美しさに思わず歓声を上げたのを覚えている。


幼い子どもたちを遊ばていることも忘れるくらいだった。また必ずここに来ようと思ってからずいぶんの年月がたつ。考えてみれば日帰りで行けない距離ではない。思い切って行ってみようかとも思う。光野桃さんの『スピリチュアル デトックス』の最初に「白州の癒しの水」として紹介されているのもここだ。

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源流

2008-06-23 | 私のアルバム

そこが源流であるとどうやって認定するのだろう。河口からいちばん遠く、いちばん高いところにある湧き水かなと勝手に想像している。一本の川は山間地にたくさんの根を這わせており、その源は川の根っこの先の先のようなものではなかろうか。最初の一滴はあっちからもこっちからもしたたりおちる。水は低きに流れ、集まって谷を下る。山の底流であったものが目に見える流れとなるころには川音も高くなっていることだろう。


源流踏破の旅は容易なことではなさそうだが、先の先をたしかめてみたい気持ちはある。川の産土(うぶすな)を手のひらにのせてみたい。

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最初のひとしずく

2008-06-22 | 私のアルバム

たしか昨日だったと思うが多摩川の源流をさかのぼる旅番組をやっていた。奥多摩の奥、山梨県は笠取山のちっぽけな湧き水だまりにポタポタたれる水滴が多摩川の源だという。登山道の途中に分水嶺の目印として三角の石柱が建てられている。三面のそれぞれに多摩川、荒川、富士川の文字が刻まれている。こりゃ大きく出ましたねと言いたくなるような佇まい。分水嶺と聞くとヒマラヤの山頂みたいなところを想像してしまうが、実はなんでもない山の中腹だったりするらしい。


ネットを探してみたら「多摩川最初のひとしずく」というページに分水嶺としずくの写真があった。写真でつづる手作りの登山日記。苔からこぼれ落ちる最初のひとしずくがなんともかわいい。

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