英徳くんがFbに沼田くんの記事を載せましたので、
ここにコピーします。
仙台市立病院(若林区)に入院していた女性患者が9月、息を引き取った。沼田律子さん。50歳だった。29歳の時に心肺停止で倒れ、20年と半年、ベッドの上で過ごした▼脳がダメージを受け、遷延性意識障害と診断された。手足は動かず、自分の意思を表すこともできない。「植物状態」とも呼ばれる極めて重い障害だった
▼夫の孝市さん(56)は「つらいこともありました」と遠くを見るような目で話す。寝たきりになった後も2度、心肺停止に陥った。常に死と隣り合わせの暮らしだった▼孝市さんはその間、遷延性意識障害の患者家族の会「宮城県ゆずり葉の会」代表として東奔西走。医師からは治療は終わったと見限られ、介護の現場からは重過ぎると敬遠される。そんな患者家族の窮状を訴え続けた
▼「『会のことを一生懸命やりなさい』と嫁さんが言っているようで」。ベッドの上で生を紡ぐ妻の姿が自分の生きる糧になった。会員は毎月、近況を報告し合う。絶望のふちに沈んだ人たちが「荒野」を共に歩いてくれる人を見つける。物言わぬ患者の存在が、人と人とをつなげる▼「倒れて10年後かなあ。声を掛けると顔を向けるようになったんです。人間ってすごい」。孝市さんは妻と歩いた年月をかみしめた。