梶山ななえさんのピアノ伴奏で、子どもも大人も奮って出演しました。会場には、地域の方がたくさん参集してくださった。いつになったら晴れるのやら、作物は中々育たなくて困りますが、子どもたちはしっかり育っていますね。
歌・ダンス「さんぽ」「パプリカ」「USA」
ドラム「オブラディ・オブラダ」「Hey Jude」
リハーサル風景
二つの詩の朗読
1、本年、第三七回現代詩人賞を受賞した詩集『夕焼け売り』より、詩人自ら朗読、梶山ななえさんの(ショパン前奏曲第4番)の伴奏でお届けした。2011年3月11日、南相馬市小高での被災体験から産まれた詩、会場からは拍手が鳴り止まなかった。
夕焼け売り 齋藤 貢
この町では
もう、夕焼けを
眺めるひとは、いなくなってしまった。
ひとが住めなくなって
既に、五年余り。
あの日。
突然の恐怖に襲われて
いのちの重さが、天秤にかけられた。
ひとは首をかしげている。
ここには
見えない恐怖が、いたるところにあって
それが
ひとに不幸をもたらすのだ、と。
ひとがひとの暮らしを奪う。
誰が信じるというのか、そんなばかげた話を。
だが、それからしばらくして
この町には
夕方になると、夕焼け売りが
奪われてしまった時間を行商して歩いている。
誰も住んでいない家々の軒先に立ち
「夕焼けは、いらんかねぇ」
「幾つ、欲しいかねぇ」
夕焼け売りの声がすると
誰もいないこの町の
瓦屋根の煙突からは
薪を燃やす、夕餉の煙も漂ってくる。
恐怖に身を委ねて
これから、ひとは
どれほど夕焼けを胸にしまい込むのだろうか。
夕焼け売りの声を聞きながら
ひとは、あの日の悲しみを食卓に並べ始める。
あの日、皆で囲むはずだった
賑やかな夕餉を、これから迎えるために
2、いわき市小川町の詩人・草野心平のカエルの詩から、「おたまじゃくしたち四五匹」を保護者のみなさんで群読した。即興でしたが、それぞれ持ち味があり、なかなか好評でした。伴奏は梶山ななえさんの(ラヴェル水の戯れ)でした。監修:齋藤貢
おたまじゃくしたち四五匹 草野心平
どうしてだろう。
うれしいんだのに。
どうして。なんか。かなしいんだろ。
へんだな。
そういえばあたしもかなしい。
うれしいからなんだよ。
そうかしら。
そうだよ。きっと。
(みず。もやもやもや)
きみ。ひとりぼっち?
え?
わかんないなぼく。
ぼくはひとりらしいな。
どうかしらあたしは。
(みず。もやもやもや)
ちがうよ。
みんなぼくたち。
いっしょだもん。
ぼくたち。
まるまるそだってゆく。
まるまる。
ぼくたちそだってゆく。
(みず。もやもやもや)
きみもはなある?
あるよ。ふたつ。
ちっちゃなあな。
うふ。
からだ。ぼくたちべつべつだな。
ひとりずつね。
ひとりずつ。
ぼくたち。
まんるまる。
おおきくなる。
(みず。もやもやもや)
けど。
どうして。へんだなあ。
かなしいんだろ。
あたしかなしくないわ。
ぼくもかなしいなんて。てんでない。
へんだなあ。そうかなあ。
うれしいっていうことなんだよ。かなしいっていうことは。
そうかしら。
(みず。もやもやもや)
そうよ。きっと。
そうかな。
ひとりじゃないのね。
べつべつなんだけど。ひとりじゃない。
ほんとかな。
あんたいったわね。うれしいっていうことはかなしいっていうことって。
じゃ。かなしいことはうれしいこと?
(みず。もやもやもや)
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