ニューワールド

評価：★★★

オープニング、1607年、イギリスを出航した船が“ニュー・ワールド”北米バージニアに流れ着く時の原住民の目線として映している陸地からの映像と、そこに流れている音楽が、徐々にそしてゆっくりと双方の鼓動が高まっていく様子が非常に良く出ている。

全米各地からネイティヴ・アメリカンたちが集結し、祖先の偉大なる文化とスピリットを伝えるために出演しているところと主演のポカホンタスを演じた15歳の新人クオリアンカ・キルヒャーの絶対的な存在感が、より一層のリアリズムを映画の中で放っている。

クオリアンカ・キルヒャーは事実インディオのケチャ/ウアチャバリエ族、アラスカ、スイスの血を引いている。過去のハリウッド映画でこれほど見事に役にドンピシャであった女優はいなかったと思う。

ただ、逆に言えば、今後このような役ばかりのオファーで本人に嫌気が差し降板するという懸念もありますが。まあ余計な御節介なのかもしれませんが、過去にも自身のキャラクターを脱したくて苦労をしてきた俳優が、実に多かったことか・・・です。

ストーリー自体これまでに幾つかの愛に関する物語を見てきて、特に目新しいものではありませんが、引き裂かれる愛という部分からいえば、この物語が後の恋愛ストーリーのひとつの原点になっていることは確かだと思います。三角関係の原点（笑）

殆んど台詞がなく単語とナレーションだけで演出したテレンス・マリックの手腕には魅せられるばかり。映像は、雄大な景観とも相まって、まるで絵画の世界に踏み入れたような美しさである。現在でも、ここバージニア州はアーリントン国立基地にケネディ大統領の墓地、五角形のアメリカ国防総省（ペンタゴン）の建造物など美観に優れた住宅地が広がっている。

ネイティブ・アメリカンを描いている映画に外れなし。特に彼等に敬意を表しその生活の中に入り込んだ代表映画「小さな巨人」「ダンス・ウィズ・ウルブス」と「モヒカン族の最後」のリメイク作品「ラスト・オブ・モヒカン」など心を打つ名作が非常に多いなかで、この作品は？というと、意外と感動しなかったなぁ・・・

なぜだろう・・・？

それは異国の生活文化を超えた“男女愛”だったからかな？これが男同士の“信頼友情”であったなら、きっと感動していたと思う（笑）

もうひとつは王の末娘ポカホンタスがスミス大尉の命乞いをするに至った説明不足が原因だったと思う。

-------------------------------------------

監督：テレンス・マリック
脚本：テレンス・マリック
撮影：エマニュエル・ルベツキ
音楽：ジェームズ・ホーナー

出演：コリン・ファレル/クオリアンカ・キルヒャー/クリスチャン・ベイル/クリストファー・プラマー

『ニューワールド』オフィシャル・サイト
http://www.thenewworld.jp/