ベルト・バックル修理 革漉き・裁断 伊東金属製作所

革ベルトやバックルの修理、革漉き、革の型抜きその他、幅広く紹介して行きます。

研ぎ陣 千寿工房さんへ鋏研ぎを出してみました

2018-08-03 19:14:22 | 刃物

ネットで見つけて前から気になっていた研ぎ陣千寿工房さんへ、ハサミ研ぎを依頼してみました。
こちらの工房はネットで調べてみると、どうも浅草橋にある研ぎの学校の卒業生が、各地で開業しているみたいなのです。
浅草橋駅前にある学校は、私も何度か前を通ったことがあって、気にはなっていました。
弊社に来るお客様の中には、そこへ研ぎを出しているというお客様もいらっしゃいまして、一度行ってみようかなと思っていたのですが、どうも調べてみると、千住にもその卒業生が工房を開業していらっしゃるようです。
千住でしたら弊社から近いので、いつか行ってみようと思っていました。
何本か切れないハサミが溜まってきたので、試しにと言うか、様子見と言うか、ハサミ研ぎは非常に難しいと分かっていますし、自分でも研いでダメにしていますので、腕は確かなのかという部分を含めて出してみました。
試しているようで申し訳ございません。
でも刃物ですから、評判って気になりますよね。


月曜日に持ち込んで金曜日に仕上がってきました。
このハサミが研ぎに出した6本です。
糸きり鋏3本(マルシュー青鋼、庄三郎、無銘)と、24センチの裁ちばさみ(マルシュー刃物製)2本、19センチの細工鋏(京都有次)が1本です。
受け取る際には試し切りをさせてもらえます。
裁ちばさみは革を切るのに使うとは、研ぎに出した際にお話していましたので、革を切らせてくれます。
店頭で試し切りさせるなんて、自信がないとそんなことさせられないと思います。
もし試し切りして切れなければ、非常に恥をかくことになります。
ただ普通研ぎ屋さんだと、新聞紙に包まれたものを持ち帰るだけですので、試し切りをさせてくれるような所は初めてでした。
そのことからも自信の程が伺えます。

試し切りの結果、仕上がりはどれも満足のいくものでした。
かすかに先端が切りにくい個体が有りますが、これは元々の鋏の作りのようで、研ぎで調整出来る範囲の事はやっていただいています。
糸きり鋏も先端で糸がスパっと切れました。
満足です。

こちらの工房、全て手研ぎで作業しているらしいのです。
鋏というのは普通機械でやるのですが、手研ぎでハサミを研ぐというのは、非常に高度な技術だと思います。
包丁よりも難しいでしょうね。
浅草橋の学校では、かなりの時間を掛けて修業されて来たのだろうと想像できる腕前でした。
システム的にはフランチャイズのような感じがして、ちょっとどうなのだろうと不安になりますが、研ぎの技術は確かなものでした。


最後に工房の写真を撮らせてもらいました。
ハサミを研ぎに持ってきた時には、研ぎかけの刃物があったのですが、今日は全て片付けられていました。
明日は出張なので、今日は全て片付けてしまったということでしたので、ちょっと残念です。
次回は研いでいるところ収めたいです。

初めてのお店だったので半信半疑でした。
本当にごめんなさい。
でも確かな腕前でした。
また鋏持って行きます。
よろしくお願いします。


有限会社伊東金属製作所
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メッシュベルトカット 2回目

2018-08-03 09:14:32 | ベルト(他ブランド)

メッシュベルトのカットです。
実はこのベルト、2回目のカットになります。
またベルトが伸びてしまったか、お痩せになったかのどちらかでしょう。

夏になるとメッシュのベルトカット依頼が増えてきますが、これは涼しげな装いのメッシュのベルトが、夏には人気なのはもちろんですが、私が考えるのは、夏場の高温多湿です。
革は水分を含むと伸びやすくなりますし、温度が上がると柔らかくなります。
夏の気候は、メッシュのベルトが伸びるのに好条件です。
もちろんベルトを作る職人さんは、革が伸びるということは知っているので、革を裁断する際に伸びない方向に裁断します。
これが出来の悪いベルトですと、伸びる方向に裁断してしまうこともあるかもしれません。
できるだけ伸びなくするためには、裁断方向は牛の前後方向に裁断するしかないので、どうしても歩留まりが悪くなります。
一枚の革でより多くのメッシュのベルトを作ろうと思ったら、方向はある程度無視するかもしれません。

また、革もメッシュのベルトにはタンニンなめしの革がよく使われますが、タンニンなめしのほうが、水分を含んだ際に伸びやすいです。
化学薬品を使ったクロムなめしの場合は、水分の影響を受けにくいですが、タンニンなめしの場合は、なめしの成分である植物タンニンが、水分を含むと形状を維持できなくなります。
タンニンは水溶性ですので、それが溶け出して革は乾いた時の状態で形状が固定されます。
毎日ベルトを使用していると、湿度や汗でこれが繰り返されます。
これもメッシュのベルトが伸びる要因だと思います。
今回ご依頼のこのベルトもタンニンなめしの革で、イタリアンレザーを使った高級品です。
が、このように2度もカットするという結果に至っています。

良い革と言えば、まずイタリアンレザーや栃木レザーと言われていますが、これらはタンニンでなめしてますね。
一般的に良質と消費者の間では思われている革でも、使い方によっては万能ではないのです。

タンニンなめしとクロムなめしは、いわばレコードとCDの関係のように私は考えています。
古代からあるタンニンなめし、確かに使い方によっては味もありますし否定はしませんが、欠点もあります。
その欠点が改良されたのが、クロムなめしなわけで、こちらは近代的ななめしの方法になります。
どちらがよいかというのは、消費者が選ぶ問題であって、どちらが上質か?とい言う意味では、使い方によると思います。
ただタンニンのほうがコストが掛るので、上質と思われている部分はあるかもしれません。

じゃあ、高級車の本革シート、これはどっちなの?となった場合、水溶性のタンニンなめしの革だったら、汗かいて白シャツがタンニンの渋の茶色に染まってしまいます。

イタリアンレザーや栃木レザーに代表されるタンニンなめしの革、特にピット層で漬け込んだ時間をかけて作られた革が人気なのは、それは全て作り手側の好みの問題であって、これらの革はコバの仕上がりがきれいに仕上がります。
特に昨今、レザークラフトが人気ですが、ピット層のタンニンなめしの革を使えば、コバはより綺麗に仕上がります。
作る人にとっては満足感はあると思いますが、使う人にとっては、革が伸びたり、衣服が汚れてしまう方が大きな問題だと思います。

コバが綺麗なものであればあるほど、上質であるという昨今の風潮は、作り手側から作り出された流行であって、それでも使い方が合っていなければ、使い勝手のよくないことだと思っています。
ちなみに私はタンニンなめしよりもクロムなめしの方が好みです。
しなやかで柔らかいクロムなめしの革に出会うと、めちゃテンションあがります。

そうそう、タンニンの革は太陽光で変色もしますね。
これも欠点ですね。
使っているうちに古びれてくるのも私は好きではありません。
売り手側はこれをエイジングなどと呼んで、いかにも味のように表現していますが、はっきり言って薄汚れているだけで、ちっとも良いとは思いません。


さて、ベルトカットですが、さすがに2回縫い直すと、革がかなり傷んできます。
次は付け根の革を交換しないと厳しいかもしれません。

お送りしたベルトを受け取ったお客様から、今回も満足ですとメールをいただきました。
ご利用ありがとうございました。

修理受付は、メールかLINEで、画像送付の上、お申込みいただくようお願いしています。
お電話でのお問い合わせも受けておりますが、お電話のみでは状態が確認できませんので、お見積りはできません。
お電話いただく場合でも、まず画像をお送りいただいてからのお問い合わせであればスムースにお見積もり出来ます。

大体の価格感を知りたい場合は、弊社ホームページをご覧になってみてください。
こちらは価格を記載しています。
ブログだと年数経って価格改定した際に更新しきれないので、ブログには記載しないようにしました。


持込いただく場合、留守にするときもございます。
必ず事前にご予約ください。

土日はお休みですが、LINEの場合、時間があれば可能な限り返信してます。
私もお休みなので、即答は勘弁してください。
PCのメールは土日のチェックはほぼ行いません。
よろしくお願いします。



伊東金属製作所
03-3886-6271
info@itokinzoku.co.jp
東京都足立区足立2-34-2
LINE ID:itokinzoku




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