【将棋】山田定跡をひたすら称賛するブログ

居飛車急戦党が、日々の対局記録を綴ります。
活動場所はリアル(将棋道場)がメインです。
あと、本の感想が少々。

【局後反省】先手早石田対策

2024-01-18 21:59:27 | 将棋

私は後手を持った場合、原則として2手目は△3四歩とします。対抗系がほぼ確定しますからね。

つまり、相手方が居飛車なら自分は振飛車を指します。

山田定跡のマスターを目指す上では、敵(振飛車)の気持ちを理解するために、自らも振飛車を指した方が良いかと思いまして。

※振飛車党の皆様、言葉が悪くて申し訳ございません。

 

とはいえ、相手方が、山田先生が取り上げなかった戦法を指す場合もある訳で。

という訳で、上記の一つである先手早石田に対する対策を考えます。

 

後手は4手目で早くも作戦の岐路ですが、自分は△4二玉と指します。

これに対して先手は、▲6六歩と角道を止めるのが定跡[1]ですが、▲7八飛の乱戦狙いも有力だと思います。

今回はその▲7八飛を検討します。△8八角成、▲同銀、△4五角として・・・

これに対して、▲3六角として互いに馬を作る展開は、以下△6七角成、▲6三角成、△6二飛のぶつけがあって、▲同馬(※)、△同銀で、後手の馬だけ残って後手良し。

(※:▲8一馬は、△4九馬、▲同玉、△6九飛成まで)

なので、▲3六角に替えて▲6八金が本手とされており[2]、以下△2七角成、▲7四歩、△同歩、▲5五角、△3三桂と進み・・・

▲8二角成の飛角交換は後手十分。なので、替えて▲7四飛が本手とされており、以下△9八飛(※)、▲3四飛、△3二金で先手の攻めは一旦止まります。

(※後手は飛車を逃がさないと、▲8二角成、△同銀、▲7二飛打が厳しい)

次に後手は、△4五馬の飛角両取りを楽しみにする感じですかね。

ここまで並べて感じたのですが、やっぱり自分は形が決まっていない乱戦は苦手みたいです。

 

【参考文献など】

[1]中座真、「完全版 対振り飛車左美濃戦法」、マイナビ、p.80、2021年

[2]https://hibitonshi.com/2021-12-21-201000_1/#toc13、閲覧日:2024年1月18日


【局後反省】▲4五歩早仕掛けvs△四間飛車(その3)

2024-01-16 20:45:14 | 将棋

前回投稿の導入部の続きを書くためのネタとして、「ジョジョの奇妙な冒険」を読むつもりでしたが、仕事とプライベートの忙しさにかまけて読むことができませんでした。また今度書くようにします。

現在は第8部まであるみたいですが、読者の皆様は、第何部がお気に入りでしょうか?やはり、人気の高い第3部でしょうか?

私が第1部がお気に入りです。導入部であるだけに、「ジョジョ」のコンセプトが最も強調されているに感じるからです。

 

早速ですが本題に入ります。今回も▲4五歩早仕掛けを取り上げます(3回目)。

下図は、△1四歩が入っていること以外は、定跡形の進行です。

以下、△8八角成、▲同玉、△4五飛、▲2三角、△2五飛、▲同飛、△同歩、▲3四角成、△9五歩と進行しました。

手順中、定跡は△8八角成では無くて△4五飛ですが、本譜も有力な変化だと思います。

「振飛車から端攻め?これは強く取るべきだろう」と思って、▲9五同歩と応じたら、HoneyWaffle WCSC28[1]に悪手判定されました。

この後、自玉が意外と危険だなと思いながらを指し続けたため、何かおかしいと思い、後で上図を数値計算にかけた訳ですが。

そういえば、どの棋書だったか忘れてしまいましたが、居飛車が8八玉型の時に、振飛車が端攻めする順が載っていましたね。

端攻めの強さは、7八玉型なら居飛車>振飛車、8八玉型なら居飛車<振飛車なのでしょう。原則としては。

 

だから、▲9五同歩に替えて▲4一飛とするのが正着なのでしょう。

振飛車は△4三歩と受けて、以下、▲2一飛成、△9六歩、▲3五馬、△4四角、▲同馬、△同歩として、働きの悪くなった馬を駒台に戻してから▲9八歩と端を受けて・・・

居飛車は銀得を主張しつつ、次に▲6六角を狙うぐらいでしょうか。

将棋って難しいですね。▲4五歩早仕掛け一つ取っても、自分の知らない変化が沢山出てきますし。

 

【参考文献など】

[1]渡辺光彦氏Webページ、https://note.com/honeywaffleshogi/n/nf5ea34e9b00b#29dc1524-1ef9-4e74-bcf3-1308018a5617、参照日2023年12月24日

 

 

 


【局後反省】▲4五歩早仕掛けvs△四間飛車(その2)

2024-01-14 09:30:25 | 将棋

前回の投稿で、私は序盤上達法のスパイラルモデルなる大層なものを、チャート図でお示ししました。

実はこれ、学校の勉強方法を少し暗黙知に寄せただけです。なので、ウケは悪いはずです。

 

そういえば、又吉直樹氏の著書「夜を乗り越える」にもこんな一節がありましたね。

「「ガリ勉」とか「文化人」と呼ばれる人やそれに類する人を馬鹿にしていいという社会通念はなんなのでしょう。僕は創造性の高い表現にもっと触れていたいので、そういう人達が生き難い世界は嫌なんです。」

(又吉直樹、「夜を乗り越える」、小学館よしもと新書、2016年、p.80)

 

しかしそれは、又吉氏には恐れ多いのですが、もし「文化人」を馬鹿にしなければ、逆にそちらの人達の方が実社会で生き難くなるからだ、と私は考えます。

どの学問も多かれ少なかれ、仮説や信念などの基礎から出発して、合理的な推論によりその内容を豊かにしていくという要素を持っています。

しかし一方で、実社会は「合理的」でしょうか。むしろ、「非合理的(不条理)」だからこそ、カミュの「異邦人」[2]がベストセラーとなったのだと思います。

非合理的の例としては、「暴力」、「同調圧力」、「権威主義」、「プロパガンダ」などが挙げられます。

それらを受け入れた人々が「文化人」を馬鹿にしたくなるのは、人間の感情としては自然だと思います。

 

以上の考察より、私が示した序盤上達法のチャート図は、プロモーションの観点からは未熟と言わねばならないでしょう。

 

おしゃべりが長くなってしまいました。今回は、4五歩早仕掛けの変化を取り上げます(2回目)。題材はネット対局の一戦です。

△1四歩は、この局面ではあまり役に立たないと思いますが、だからといって咎めるのも難しいんですよね。将棋はなんて不条理なんだ(笑)。

以下、▲2四歩、△同歩、▲4四歩、△同銀、▲4五歩、△5三銀、▲3三角成、△同桂、▲2四飛、△4五桂、▲同桂、△同飛、▲2一飛成、△4四歩となりました。

手順中、▲4五歩に対して定跡は△同銀ですが、相手方はそれを外して△5三銀を選択されました。

△4四歩には、△3八角~△4七歩成からの2枚替えのネライがあります。

なので私は▲2三角と打ち、次に▲3四角成で飛車をいじめようとしましたが、相手方に△2五飛と先にかわされちゃった。

以下、▲1二竜、△2九飛成、▲5九香、△1九香成、▲3四角成となりました。手順中、▲5九香に替えて▲3四角成と指す勇気はありません(△8六桂~△8七角のヨリ筋のため)。

仕掛けで得られた成果が、馬を作っただけなのでは見合わないです。

山田道美将棋著作集によれば、振飛車の△4六歩に対しては、▲3七桂が本手とのことでした[3]。

以下、△4二飛、▲3三角のような展開が考えられます。

△3八角に対しては、▲4五歩で。振飛車が何もしなければ、▲4七歩以下で4筋を抑え込む方針で。

この局面では、後手の飛車の働きが悪いので、安易に飛角交換しない方が良いですね。

 

【参考文献】

[1]又吉直樹、「夜を乗り越える」、小学館よしもと新書、2016年、p.80

[2]カミュ著、窪田啓作訳、「異邦人」、新潮文庫、1954年

[3]山田道美将棋著作集、大修館書店、第二巻、p.112、1980年

 


【将棋方法論】序盤上達法のスパイラルモデル

2024-01-09 17:25:10 | 将棋

私は週一回、定期的に指導対局を受けております。

手前味噌ながら、その効果を最近実感しており、居飛車を持った時に仕掛けに成功したり攻めが繋がることが、以前より多くなりました。

尤も、振飛車の方は上達しておりませんが。指導対局で居飛車ばかり指すからでしょうね。

 

この指導対局について、山田先生の教えを見つけましたので、引用させて頂きます。

「私はけい古将棋で、定跡手順をあまり教えない。不親切のようだが、定跡は本にいくらでも書いてあるのだから、それで勉強すればいいという主義である。(中略)私は、その人に局面を正しくみる「目」、つまり正しい大局観を植え付けようとする。(中略)大局観ー局面を見る「目」は、手を考える(読み)のときの基礎になる。」

(初心ノート、「初心者のため」により[1])

確かに、私の先生の指導方法も、この教えと整合しています。

この山田先生の教えを、コンサル風にチャート図にしてみました(山田先生に怒られるかもしれませんが、今の時代ではこういうのが求められます)。

上図は私自身が意識していることでもあります。上達方法は一つに偏らせるのではなく、複数の方法をバランスよく採用しつつ、それらの相乗効果を意識するのが肝心だと思います。

特に、③自己反省には将棋ソフトを取り入れたいところです。まずは自分で指手を見つけるべきですが、もしそれを将棋ソフトが明らかな悪手判定をすれば、指導対局で試す価値は殆どありません。あなたの貴重な時間とお金を使って指導対局を受けるのですから、こういうチェックは必要です。ただし、たとえ将棋ソフトが好手判定しても、指導対局で有効である保証はありませんが。

 

それでは、上記①~③を実施するための環境が整っているかといえば、まだまだ課題が多いと言わざるを得ません。

・棋書は正しいことを書いているか?

・指導対局はアマチュアの大局観形成に主眼が置かれているか?

・将棋ソフトは、アマチュアの指手チェックとして有効に機能するか?

残念ながら、上記3つの具体的質問に対して、常に「YES」とは言えないのです。詳細な理由は差し控えますが、一つ言えるのは、将棋業界も商売で成り立っているということです。

すると、将棋業界のビジネスモデルは現状のままで良いのか?という疑問に行きつきます。どうやら、炎上リスクのために避けていた「経済」にまで、話が大きくなってしまいました。

 

以上は私の個人的な考えですが、将棋上達の一助になれば幸いです。

 

【参考文献など】

[1]山田道美将棋著作集、大修館書店、第六巻、pp.104 、1980年


【将棋】【個人研究】飛香落ちにおける上手の棒銀の受け方

2024-01-07 21:03:03 | 将棋

昨日、指導対局で4枚落ちを指したところ、先生から「その作戦は上手くいかないよ」とのご指摘を頂きました。

しかし、残念ながら私はそのご指摘を理解できなかったので、自宅で検討して2つの作戦を用意し、本日の指導対局(2回)に臨みました。

作戦の一つは、昨日の作戦に指し手の改良を加えたもの(作戦A)、もう一つは作戦自体が新しいもの(作戦B)です。

両作戦は序盤の指し手は同一ですが、48手目で分岐します。分岐時の評価値(※1)は、両作戦とも概ね同等です。

 

まず、結果から申しますと、作戦Aでは負け、作戦Bでは勝ちました。

内容的にも、作戦Aでは一手一手に苦慮しましたが、作戦Bでは必然と思える手が続いて指しやすかったです。

たった2回の指導対局では先生の真意に到達し得ませんが、今回の経験で「人間の目」というものの重要性をよりいっそう痛感させられました。

加えて、コンピュータ計算は現にアマチュア将棋に影響を与えているものの、それが上達のためのツールとして真価を発揮するには、まだまだ課題があることも再認識しました。

例えば評価値(評価関数)は、あくまでコンピュータが最善手を導くために設計されたものであって、人間が形勢判断に利用するのは設計意図から外れますから。

 

さて、今回は駒落ちで上手を持った時の対策を考えます。

読者はご存じかと思いますが、将棋道場のお客さんの棋力は様々なので、棋力差を埋めるためのハンデ戦として駒落ちの手合いにするのが通例です。

私が通う将棋道場の手合いは下表の通りです。

参考までに初形の評価値(※2)も示します。ただし、六枚落ちには必勝定跡があるので、評価値はあえて計算しません。

 

今回は飛香落ちの上手の対策を考えます。これは、私が1級時代に五段の相手方と取り組んだ、思い出深いものです。

代表的な作戦は、1筋の歩を入手した後で右四間飛車に構える指し方です[1]。下手は次に▲4五歩からの角交換~▲1一歩成でと金を作るのがネライです。

しかし、私が上手の場合は相手方は5級となりますが、この定跡を知っている方には出会いません。

ほとんどの方は平手と同じように指されます。攻め棋風の方は棒銀を採ることが多いです。

そこで、今回は飛香落ちの上手の棒銀の受け方を考えます。飛車落ちにも応用できますし。

なお、以降の局面は「私が作った」ものであり、実戦では無いことにご注意下さい。

 

以下は、下手が角道を閉じた居玉棒銀を検討します。後で分かるように、下手が角道が開けていても同じ手順が成立します。

下図の局面では、下手に右四間飛車の可能性が残っているので、上手はそれを念頭に置いて指します。

下手の▲1五銀をみて△3五歩と指す。次の△3四銀で2筋に効きを足すネライ。

駒落ちは下手の飛車を抑え込めば大体勝つので、下図では△同金と強くいきたいですね。

次に△2四歩を打てれば盤石。意外とあっさり・・・?

 

【注釈】

(※1)思考エンジンは水匠5[2]、計算ノード数は20億。

(※2)思考エンジン・計算ノード数は※1と同様。ただし、水匠5で駒落ちを計算するのは設計意図では無いことにご注意下さい。評価値はあくまで参考です。それでも興味深かったのは、香落ち上手は振飛車にするのが定跡ですが、水匠5ですら飛車を振ることです。

 

【参考文献など】

[1]所司和晴、「【新装版】駒落ち定跡」、日本将棋連盟、2023年

[2]たたやん氏Webページ、https://drive.google.com/file/d/1T-Go2KImMfKD_4m_j4fQFXrEfaGgAcS_/view、閲覧日2024年1月7日