月光館

ここはネット監視者、体育協会主催の『月光館』。電網問題、成年誌、電磁遊戯のペエジ、月光館。来たい奴だけ来い。

論点を間違えた『昭和史の論点』(文春新書、2000年)

2009年03月13日 19時00分14秒 | 書評
坂本多加雄、秦郁彦、半藤一利、保阪正康という著名人の書いた『昭和史の論点』という本がある。

すでにこの本が出て10年近くになるが、学生時代にこの本を読んだ時、非常にもやもやした感があった。

そのあとに、渡部昇一先生(学生時代から読んでいた。もっとも「国民の教育」が2000年に出て以降からの読者だが)とか中川八洋先生とか瀧澤一郎先生とかの本や論考を読むとさらにこの本が読む気が失せた。

で考えなおすとこの人達って、venona文書あたりの記録を持ち出すと「陰謀論」って騒ぐ人たちではないかと最近の言動ではっきりしてきた。

昔は、慰安婦論争で、慰安婦の強制連行はないという文書を見つけてきて、そう解釈した秦郁彦あたりはまともな歴史研究家だと思い込んでいて、「新ゴーマニズム宣言」(SAPIO連載版)あたりで真っ当な歴史研究家だと紹介されていたので信じていて、この手の本を読んだのだが……

ちょっと変な人だなと思ったのが前出の渡部昇一先生との騒動(後日詳述)を「国民の教育」と「ドイツ参謀本部」のwak出版の再販の序を読んでからで、そのあと瀧澤一郎先生が「チャンネル桜」の番組「防人の道」(2008年12月21日放送)で「秦郁彦という人は、変人で、あんまり使えないので大蔵省の資料室に放り込まれた」(私がそういう風に自己解釈したかもしれないので、映像で確かめてください)という趣旨の発言をうかがってから余計不信を深めた。

俺の勘違いかなと思って、上記の本をもう一回めくってみたら、ひどい文章があったので、確信した。

以下は同著作よりの抜粋

秦「南京事件の法的意味ですが、日本政府はサンフランシスコ講和条約で、東京裁判判決を受諾し、サインをしています。つまり、東京裁判の結論に政府として文句はいいませんという言質を取られているのです。日本政府の公式な立場としては、南京虐殺事件は、数の問題はべつとして、たしかに存在した、と確認しているわけです。」(83p)

秦「大戦略レベルの陰謀説をとる人に聞きたいのは、事変が起きる前から陰謀が公言されていた事実をどう考えるかです。コミンテルンの陰謀に乗ぜられるなという類の話は、当時から山のようにあるんです。もし、これを陰謀と呼ぶならば、これだけ警告されていたにもかかわらず、どうして日本政府や陸軍のトップがむざむざと騙されたのかという話になってしまいます。」(88p)


どういう思考回路なのか理解不能……

時代遅れになった「コミンテルン史 レーニンからスターリンへ」

2009年03月03日 09時43分18秒 | 書評
ずいぶん前に参考資料にあの"The Secret World of American Communism"(邦訳「アメリカ共産党とコミンテルン―地下活動の記録」五月出版、2000年、絶版)が引用されてるので買った、「コミンテルン史—レーニンからスターリンへ」

最近読み直したんだが、内容が陳腐化していて……

コミンテルンの最新研究で、まとまってると言えば国際的ベストセラーの"the black book of communism"の邦訳版で「共産主義黒書―犯罪・テロル・抑圧 コミンテルン・アジア篇」を読めば早い。

「コミンテルン史—レーニンからスターリンへ」の方の中共研究論文は百害あって一利なしの内輪話的論文(内容がすごく陳腐)

邦訳の問題は以前紹介したので今回は省く。

しかしこんな陳腐な本を授業の材料に使う大学教授があるとはねえ。


そのおセンセのHPから
「いわゆる「知的生産の技術」、たとえば論理的展開を理解し自らも論理的に考えをまとめて文章化する能力や情報・データの処理能力は、専門勉強に役立つし、また就職勉強にとっても基礎となるはずである。どの授業のレポートでも、よく調べ、よく考え、よく書けた学生は、必ずやその能力を専門勉強ではもちろんのこと就職勉強でも発揮するであろう