※ちゅうい:この記事のカテゴリは「空想」です。
舞台は大阪のどっかの小さな出版社です。どうしてそこの会社の内輪話を知ってるのかって?それは秘密。
ネイティブ(笑)でも関西弁を文章に起こすのは難しいですね。どうも頭の中にあるイントネーションが文字にならない。使い慣れた言葉ですらこうなんだから、「慣れない方言で小説を書くな」って話がありますけどあれは本当なんでしょうね……
今回の話とあまり関係の無いことなのだけど。
価値観なんて色々あるのだと思います。
いやな思いをして心に傷を負っている時に、今まで出会った事のない価値観というのは治療薬とは言わずとも鎮痛剤程度の役割は果たしてくれるように思います。人によってはそれを気休めと言うんですね。分かります。
インフルなのにこんな時間まで起きてちゃよくないね。
病んでる子は無駄口たたかずミカンでも食って寝ろってか。おやすみ。
とある出版社の経理部にて。水曜日の昼休み。 「どうせパソコンが壊れたままなんやろ?気にする事あらへんて」 「でもあいつ、俺が携帯に何度電話してもあかんのですわ。なんも返事がなくて……」 「困った奴やな、ホントに。課された分の仕事が出来ひんなら連絡くらいよこせや……」 「ったくこれやから新入りは……って、部長一体どこへ?」 「屋上。ちょいタバコ吸ってくるわ」 「……おい、お前上半期の売上成績まだまとまらんのか?」 「……すみません」 「家のパソコン壊れたって連絡よこす位やったら、なんで出社して続きさっさとやらへんねん」 「……すみません」 「大事な仕事任してるんや。そんないい加減な態度で臨むようやったら担当者変えるで」 「……もしかしたら、その方が的確かもしれません」 「は?」 「確かにこれって大事な仕事かもしれないけど、僕にしかできない仕事って訳じゃ、ないじゃないですか……」 「それ言い訳のつもりか」 「僕、本当は雑誌の仕事につきたくて……自分の書いた文章が本に載れば自分だけの仕事だって、胸をはれるじゃないですか。でもこんなお金と睨めっこしてばっかりの仕事、確かに大事だって分かってますけど、こんなの誰にだってできる仕事じゃないですか……」 「おい、仕事っちゅうもんをなめとるんちゃうか?」 「すいません。とても失礼な事を言っているのは分かってます。甘えたような事を言ってることも……でも、もし僕がいなくなってもこの職場で困る人は誰もいないんだろうなって思ったら、哀しくなって」 「アホか」 「すいません」 「代わりのいない人間なんてどこにもおる訳無いやろ。何のためにせっせと新しい赤ん坊が生まれてきとんねん。代わりなんていくらでもおるわ。誰がいつおらんようなっても困らんようにな。それが社会ってもんやろ?」 「……」 「けどな、誰やってお前いらんから別の奴と入れ替えるわって言われたら癪やろ。だからそんな事言われんように真面目にやるんや」 「……」 「自分の代わりなんておらんって言いたいなら、拗ねんと成果で見せることや。後二日待ったるから」 「部長、弁当冷めましたよ?」 「うわっ、惜しいことしたわぁ」 「……あいつ、大丈夫そうでした?」 「おお。今回も何とかなりそうや」 「誰かあいつの慢性五月病を治してくれんかなあ……」 「ま、そのうちどうにかなるやろ」 「そんな無責任な!」 笑う二人。 あと五分で昼休みが終わる。 席を空けていた社員たちが次々と帰ってくる。 10月14日。他の日と取替えっこできそうなくらい平凡で、何も無い秋晴れの昼下がり。 |
舞台は大阪のどっかの小さな出版社です。どうしてそこの会社の内輪話を知ってるのかって?それは秘密。
ネイティブ(笑)でも関西弁を文章に起こすのは難しいですね。どうも頭の中にあるイントネーションが文字にならない。使い慣れた言葉ですらこうなんだから、「慣れない方言で小説を書くな」って話がありますけどあれは本当なんでしょうね……
今回の話とあまり関係の無いことなのだけど。
価値観なんて色々あるのだと思います。
いやな思いをして心に傷を負っている時に、今まで出会った事のない価値観というのは治療薬とは言わずとも鎮痛剤程度の役割は果たしてくれるように思います。人によってはそれを気休めと言うんですね。分かります。
インフルなのにこんな時間まで起きてちゃよくないね。
病んでる子は無駄口たたかずミカンでも食って寝ろってか。おやすみ。
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