教習指導員@いんすくんのつぶやき

教官業と温泉と独身とセンチメンタリズムを足して4コマ漫画で割ったようなブログです凸合宿免許制教習所=自動車学校で強制労…

おしらせ

何か、サヨナラしたのにまだそこにいたの?って感じで恥ずかしいけど…皆様、ただいま漂流から何とか生還いたしました。 (7/13更新)

欲しの発作

2013-02-15 | 教習生色々

お鍋の美味しい季節ですね。

最近、後輩指導員たちと頻繁に鍋をするようになった。
ひとり暮らしが長いと、どうしても外食が増え、野菜不足に陥り、栄養バランスが偏ってしまう。
そうすると自然に身体が欲するのだろうか、最近、やけに野菜が美味く感じる。
「ただ単にお前がジジイになっただけだろ!」と皆は言うけど、そうでは無い。薄味の割下に泳ぐ野菜を頬張ると、優しさが身体に染み込んでいくのを確かに感じる。もっとだ、もっとだ、と身体が野菜を欲しがっている。ボクの思考とは別の所で、不足しているものを勝手に欲し補おうとする。人間の生命力とは不思議なものだ。

日夜、鍋に合う食材を探し出しては男だけで鍋を囲みキャッキャ言う。そんな充実した日々を送っている。

ちなみに最近ボクがハマッている食材は平茸だ。
シャキシャキのえのき茸が生娘なら、優しく舌にまとわりつく平茸は熟女といったところだろうか。出汁を良く吸い、そのうまみを増幅させ、口に含むと柔らかい印象だが、歯ざわりもしっかりしている。これはもう熟女以外では例えれない。
熟女の話はどうでもいい。いや、どうでも良くは無いけど。

デートとか、ずっとしてない。

昨年一年間を振り返ってみると、プライベートで女性と会ったのは一度だけ。いつぞやの奇跡の合コンの時くらいだろう。まぁあれはあれでとても有意義な合コンだったけど。
これだけ何も無いと諸先輩方に「もっと頑張れよ!」とかよくお叱りの言葉をいただきます。最近は後輩方からもいただいたりしてます。

しかし、ボクだってただいたずらに時を過ごしていたわけではない。

努力した。努力して努力して、それはもう他人には到底想像出来ないような血のにじむような努力をし続けて、それが実ってやっと最近、何とかなるようになりました。いや、ホント、以前のボクから考えると、自分でもよくやったなって思います。

もう、全然平気になった。

手を繋いで歩くカップルを見ても、ウンコ踏め!とか全然思わなくなったし、クリスマスの夜とかも場末の焼き鳥屋で男3人でキャッキャ言いながら楽しく過ごせたし、ひとり旅に出ても割と淋しく無くなってきた。バレンタインのこの夜もひとりシャンパンなんぞを飲みながらこうして無表情で記事を打っている。

努力と忍耐の末、達観の境地にたどり着いた。
ボクは孤独の壁の向こう側へ行く事ができたのだ。

「もっと頑張れよ!」

なるほど。頑張る、ですか…。ボクのことを心配してくれるのはありがたい。しかし、それは俗世の脅迫めいた言葉ではないでしょうか。それはそちら側に住む人間の考えであって、私のような壁を超越した者にとっては全く響かない言葉なのでございます。と、今度からこう返事をしようと思う。

確かに、恋愛をしていると日常に充実感が生まれるかもしれない。
ただ、恋愛をしていない=日常がつまらない、という考えはどうだろう?
これは必ずしもイコールではない。イコールと決め付けるのは大変危険だ。
「恋愛をしなくちゃ」とか「恋愛がうまくいかないせいだ」という考え方は、ある種の依存ではないだろうか。

多くを欲することなかれ。欲するからこそ満ち足りない。欲しなければそれで満ち足りるではないか。

うん、最後の言葉は自分でもよく分かんないけど。この調子で続けてたらボク、本当に出家してしまいそうで自分が怖くなってきたんで、ここらへんで止めときますけど。まぁとにかく、いつの間にかボクは欲さなくなったんです。ボクは欲しない。ボクが今欲しているのはお鍋の野菜だけだ。もう、全然平気。多分、これが精神が成熟した大人の男の余裕ってやつなのだろうな。

さて、久々に教習生のお話を。

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ジャスミン茶が好きだ。

あの香りが嫌いだと言う声もよく聞くけど、理由は自分でもよく分からないけど、
ボクはジャスミン茶が好きだ。

ハーブティー全般が好きというわけではない。
ハーブティーみたいな、美容に必死になる30オーバーの昼間の女子会みてぇな飲み物を、50オーバーみてぇな外見のボクが好き好んで飲んだりはしない。
でもジャスミン茶だけはいつからだろうか、コンビニやスーパーで手に取るようになった。最近は教習所の売店に置いてある、ウーロンとジャスミンのブレンド茶がいたく気に入って毎日欠かさず飲んでいる。

第二段階。担当したのは関東からお越しの、見た感じ二十歳くらいの女性。
とても我が強く、自由奔放に運転なさるんで、休憩に入った時に「キミはあれか?悠久の国インドかなんかに留学経験が長かった学生か?」って問いただしてみたら、「いえ、この間までハーブのお店で営業してましたよー」って答えが返ってきた。

まじすか?社会人っすか?
話し方や雰囲気が、そんな感じに全然見えなかったので、ボクはちょっと驚いた。
そして驚きついでにボクはさらに続けて失礼なことを言ってしまう。

「キミは…本当に営業とか出来てたのか?」

すると彼女は「もちろんですよー!ハーブのことなら何でも聞いてくださいよー!」とか言うんで、じゃあやってみますか、ボクお客さんやるから。つって小芝居が始まった。

「あのー、最近なんだか夜がなかなか寝付けないんですよー。」
「はい、それならカモミールがいいですよ。鎮静作用があってカモミールティーを飲むと寝つきが良くなりますよー。」

って彼女、ボクの質問に迅速に答えてきた。すげー。ちょっとカッコイイ。
しかし、こんなものはただのジャブだ。ハーブに詳しい者なら誰でも言える事だろう。
だから次は渾身の右ストレートを仕掛けてみることにした。

「実はですね、ついこの間大失恋をしまして、生きる気力を失ってるんです…」

ははは!どうだこの質問は!
失恋に効くハーブなんて聞いたことが無い。あろうはずが無いのだ。
確かに意地悪な質問だったかもしれない。しかしボクが見たかったのはプロの力量だ。お客さんの無理なニーズに何としてでも応える。プロならプロにしか出来ない仕事があるはずだ。ボクは彼女の答えを待った。
すると彼女はほんの少し考えた後、こう言った。

「うーん、そうですね、ジャスミンなんてのはどうでしょう?」

ジャスミン??

「はい。ジャスミンは女性ホルモンの香りと言われています。だから男性にも効果があるんです。ジャスミンの匂いで気分が落ち着いて失恋も癒されるかもしれませんよ。」

すげー!このひとプロだ!
ボクは彼女のプロフェッショナルな対応に感動して称賛した。

で、その後すぐにハッとして気付いたんですけど。

野菜と女とジャスミンと。
おれ、全然平気じゃなかった。むしろすっげー欲してた。

人生を背負った答え

2013-02-07 | 教官も色々

ボクたちは常に試されている。

ひとは問題を目の前にした時、今までの人生で得た知識や経験を元に解決を図ろうとする。
その解決方法を見ると、その人の思考や人柄をうかがい知ることが出来る。
逆に言えば、それは自分自身をさらけ出す行為ともいえるだろう。

日常の中降り注いでくるあらゆる問題に、ボクたちはいつも試されているんだ。

先日、同僚ふたりと一緒に鍋をしていたら、TVから、
「topの反対語は何でしょう?」
ってクイズ番組の問題が流れてきた。

多分「bottom=底」とかになるのかな、と思ったけど、ボクは口にしなかった。
他のふたりが「うーん…」とうなっていたからだ。
答えが分からない問題を解く時にこそ、その人の真価が問われる。

ボクはふたりの出方を待った。

そしたら人生の先輩であるMさんがしばらく考えた後、
「アンダー!」ってすげぇ力強く答えてきた。
どうだ!みたいなどや顔で。

知識と経験つーか、彼の熱い思いみたいなのが前面に出てて、なんだか彼の背負ってる人生が「アンダー!」に集約されてるみたいで、それが妙な説得力を生んでいた。
もしかしてアンダーで正解なのかと思っちゃったもん。
思わず「なるほど!」って言っちゃったもん。

「アンダー!」

まさに彼の思考というか、嗜好が垣間見えた瞬間だった。

ベトナム旅行記④ Heart on wave

2013-01-21 | 教習とは全くもって無関係な日記

いいすかね?今更になって去年の夏の話を持ち出してもいいすかね?
確か8月頃に書き始めた記事が、綺麗に年をまたいでたった今しがた完成しました。
こんなボクで良かったら皆様今年もよろしくお願いします。

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今まで3回に渡って更新してきたベトナム旅行記も今回で最後。
もっと長きに渡り皆さんにベトナムの魅力をお伝えできればいいんでしょうけども、なんせボクって記憶力がセミ並みの悪さなもんで。もうすでにベトナムでの出来事を薄っすらと忘れかけてる。
取り合えずめぼしい写真をUPしながら夏の思い出を簡単に振り返ってみます。

先ずはホーチミンシティの中央郵便局。





にいた花嫁のニーニャたち。
中央郵便局はフランス領時代のすごく綺麗な建物なので、周辺ではよく結婚式の前撮りが行われているそうです。



戦争博物館に展示された子供たちの絵。
ホーチミンの子供たちが平和をテーマに描いています。どれも明るく優しい色づかい。独特な色彩感覚が素敵です。



統一会堂(旧大統領官邸)。にいた知的ニーニャ。



団体ツアー客向けのお土産屋さん。にいた若手売り子ニーニャ。



続いてどっかのレストランで。
米粉を使用したベトナム風お好み焼き“バインセオ”



とフルーツ盛り合わせ。



とグラマラスニーニャ。



メコンデルタの島で大蛇をマフラーのように巻くM安さん。



メコンデルタの川下り。



と船頭の少女ニーニャ。



どっかのベトナムフレンチレストランの癒し系ニーニャ。



どっかの中華料理屋の回復系魔法使いみてぇなニーニャ





最終日の自由行動。
ボクがどうしても行ってみたかったベトナム料理屋ホアン・イエンの生春巻きとあんかけ焼きそば。ここの食事が一番おいしかった。



国営百貨店。雑貨屋の笑顔が素敵なニーニャ。



別の雑貨屋のアオザイ&ジャージのコーデニーニャ。
学生時代の憧れの先輩に似てた。うぅ、マキ先輩!



メイド服のニーニャ。街頭でオープンしたメイドカフェのチラシを配ってました。





愛くるしいキャラクターたちが笑いを誘う水上人形劇。



と舞台袖で生演奏をする左端の綺麗なお姉さんニーニャも決して見逃さない。

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さて、こうして最後に振り返ってみると、おれ、ニーニャしか撮って無い。

冒頭の中央郵便局なんて、肝心の建造物を全く撮って無いという衝撃の事実。我ながら呆れちゃう。そんで雑貨屋のニーニャの時なんて、ニーニャを撮りたいがために商品を購入してた感が否めない。我ながらすんごい情熱。

ただ、ほとんどのニーニャは観光客に撮られ慣れてるからか、撮影を笑顔で快諾してくれるのだけど、この雑貨屋のふたりは違った。
一軒目の雑貨屋で商品を購入した後、ボクの出せる全力の爽やかな笑顔とジェスチャーで「写真撮らせて」と伝えると、彼女は首を横に振った。

まいったな。このままでは日本に帰れないじゃないか。
見初めたニーニャたちは何としてでもコンプリートしなければならぬというのに…。

というカードコレクションゲームに躍起になるひとみたいな病的な心理にボクは陥っていた。ほんと、レアなカードってのは課金してでも手に入れたくなっちゃうものなのね。ちょっとだけ彼らの心理が分かったような気がします。

しかし、カードとハートは違う。彼女たちは生身の人間だ。課金(商品購入)したからといって、彼女たちの気持ちを買うことは当然出来ない。
万策尽きたボクの次にとった行動は、自分でも驚くべきものだった。

「カワイイ!」

それは、かれこれ5年以上は女性に向けて使っていない言葉だった。
まさか久しぶりにこんな日本から遥か遠く離れた異国の地で使うことになろうとは思いもしなかった。
もちろん彼女はベトナム人だ。商売の為、簡単な英語と日本の単語は片言で喋れるけども、さすがに「カワイイ」は通じないかもしれない。これはひとつの賭けだった。

いや、そういえば「カワイイ」は日本人女性に向けて使う時だって、いつも賭けであった。

「カワイイ」は諸刃の剣だ。女性を喜ばすことも出来れば、逆に不快な気持ちにさせることもある。例えば爽やかイケメン君が極めてナチュラルに、サラッとこれを言ってのけたとしよう。ほとんどの女性が悪い気はしないだろう。

しかし、恋愛寿命がセミ並みでとっくの昔に終わってるボクが極めて不自然に、ドロッと言ってしまったらどうだ?決まって彼女たちは怪訝そうな顔をし「何このオッサン、シンプルに気持ち悪いんだけど。」と、こうなる。

まぁそんな酷いことを言う女性はボクの場合、せいぜい3人にひとりぐらいの低い割合なんだけど、なんせ残りの2人も「何言ってんの?可愛くねーし!」みたいな、本当に可愛くない返事をするからね。こっちは勇気を振り絞って「カワイイ」と言ってるのにさ、そういうのって良く無いよね。

素直に「ありがとう」と微笑む女性は多分、10人にひとりいるかいないかだろう。投資対効果を考えればこれはすごくリスクの高いギャンブルであると言っていい。だからボクはいつからか「カワイイ」を封印し、迂闊に使うことは無かった。ボクは幾度もカワイイ・ジレンマに苛まれ、そして気付けば5年以上が経っていた。

「カワイイ!」

それはかつてボクが言ったことの無いほどのスマートな言い方だった。
何故、5年も封印してきたカワイイをここにきて解き放ってしまったのだろう。常夏の陽気のせいか、それとも南国の花の色香のせいか。とにかくボクはまるで別人格のもうひとりの自分が出てきたかのように、彼女をクールに褒めた。
すると彼女は「えー!」というような戸惑いの表情を見せ、照れ笑いをし始めた。

な、なんということだ…!
カ、カワイイが…通じておる!
いや、むしろ、カワイイが…効いておる!!

光が、一筋の光が見えた。彼女は謙遜し「ノーカワイイ!」とか言っちゃってるけど、こちらも一度抜いたカワイイを簡単に鞘に収めることは出来ない。畳み掛けるしかない。ボクは片言の英語と単純な日本語で、彼女を褒め続けた。

「いや、マジで、リアルにカワイイよ!」

うん、チャラい。明瞭にチャラい。でもボクは真顔だった。
チャラ男が放つ褒め言葉が水面を跳ねるただの軽石なら、ボクの放つ5年越しの「カワイイ」はそれとは全く重みが違う。ドボリと音を立て、激しく水面を揺らし、遠く心の深淵に届くはずだ。ボクは彼女の目を見つめて真摯に伝えた。改めて文字にしてみるとキャバクラで必死になる出川哲郎としか思えないような酷い台詞だが、それでもボクは真顔だった。すると最初は難色を示していた彼女も、結構まんざらでもなさそうな感じになった。

「カワイイ」の破壊力は海を越えるのだ。

あと、自分でも信じられないんだけど、ウィンクとかもした。今までの人生で一度も女性に向けてやったことの無いウィンクを、大胆に取り入れてみた。そしたら不思議なことに彼女はすごく可愛らしく微笑んだ後、撮影をOKしてくれた。

その後、2軒目の雑貨屋のニーニャにも最初は頑なに撮影を断られたのだけど「カワイイ!」とウィンクの合わせ技でまたすんなりと了承をいただいた。
すげー。いける、いけるぞ!この手を使えばどんなニーニャもイチコロだ!

今思えばこの時のボクは少し調子に乗っていたのかもしれない。

とある施設で建物内を撮っていたら、苦笑いしながら近づいて来たアオザイ美女がひとり。ボクに向かって話しかけてきたのだけど言ってる事がさっぱり分からないので、「そうか、そんなことより君はカワイイから撮らせなさい!」つってウィンクしてカメラを向けたら、彼女はニッコリ笑顔で快諾してくれた。

そしたらその後すぐにガイドが飛んで来て「カメラをしまってください!」とか「あの子よく撮らせてくれたねー!」とか言ってきた。うむ。どうやらアオザイ美女がボクに伝えたかったのは「ここは撮影禁止です」ということだったみたいです。

撮影を注意しに来たひとを、撮影してた。

これはもうボクの大失態で、パクチーを青汁にして飲まされる刑に処されてもおかしくないくらいの話なんだけど。どうだろう?「カワイイ!」とウィンクのコラボがいかに強烈な力を宿しているのかがお分かりいただけたのではないだろうか。

本当はこの秘密のテクニックをお教えしたくなかったのだが、当ブログを見てくれている男子諸君のために公開に踏み切ることにした。ただ、注意すべきは「カワイイ」という言葉を心底から想い、発することだ。言霊が宿らない「カワイイ」では、波上に揺れる繊細な乙女心を決して射止めることが出来ないのだ。

「すごいっす!おれも今度ジンバブエで早速やってみるっす!」とか「素敵!あたしもあなたに囁かれてみたいわ!」とか、そんな声がちらほら聞こえてきてもいい頃だと思う。しかしちょっと待って欲しい。

ここで誤解のないように言っておきたいことがある。

ニーニャの心を動かしたのはボクの実力でもテクニックでも何でもない。
今回の記事でボクが主張したいことは、「カワイイ」が世界共通語になったのは日本の女性の功績が大きい、ということだ。古来より現在に至るまで、日本の女性が積み上げてきた努力が、磨き続けた感性が、世界に認められ浸透し、こうしてニーニャの心に届いたのだ。ボクたちは全ての日本女性に感謝し、敬意を払わなければならないのだ。

「カワイイ」

愛する者がいる男性は、いつも囁くべきだ。
男性がそう伝えることで、女性は喜び、さらに磨きがかかり、そしてまた男性が喜ぶという好循環=カワイイ・サイクルが生まれる。まさに魔法の言葉なのだ。

「カワイイ」

嗚呼、なんて素晴らしい言葉なんだろう。
嗚呼、そして何故ボクはこの言葉を5年も封印してきたのだろう。

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って話を、帰りの飛行機の中で同僚に話したら「うん、カワイイ・サイクルの事はよく分からないけど。そのバイタリティ、日本でも活かせよ。」と言われた。

確かにそうだな…。

いや、しかし、ボクはボクの為に「カワイイ」は使うまい。
下心や計算が伴う「カワイイ」に、女性への敬意は無いのだ。
花に対して「綺麗」と言うように、ただシンプルに感性を伝えるだけがいい。
ボクが放つ一言によって、女性へ、そしてその女性の周辺へと幸福が無限に広がっていけば、それはすごく素敵なことじゃないか。

そうだ、これからは臆することなく伝えよう、「カワイイ」と。

と思い立って、帰国後、教習所の受付の事務員の子にちょっとした頼み事があったから「これお願いね。お、今日もカワイイね!」って書類を渡しながらウィンクしてみたら、途端にドササッ!って。紙ってこんな重い音するんだ、ってほどのドササッ!って音をたてて書類が足元に散らばった。

この瞬間、ボクはまたカワイイ・サイクルから弾き飛ばされた。

「キモイ」が世界共通語にならないように、ボクたちは常に気を付けねばならない。


ベトナム旅行記③ 世界のヤマネ

2012-08-19 | 教習とは全くもって無関係な日記

2日目の夜はサイゴン川でディナークルーズ。



ウェイトレスは水兵のコスチューム。



船内の同じフロアにはボクたちの他に、ロシア人の団体、中国人の一家がいらっしゃった。

ボクがあくまでもマイペースに、ビールをがぶがぶ飲みながらベトナム料理に舌鼓を打っていると、同じテーブルに同席していた上司たちが口を揃えてこう言って来た。「おい、何かやれよ!」と。フロアには小さなステージがあって、そこで余興をやれ、みたいなことを言うんですよ。

いやいやいや、このひとたち何言ってんの。
あんね、屋形船じゃないんだから。

周りにはボクたちだけじゃなく、他の国のお客様もいらっしゃるわけですよ。そんな中で宴会芸なんておっぱじめたら、旅先で羽目を外す日本人の典型的な悪例じゃないですか。ボクは酒癖は良い方なんで、酔いに任せて非常識なことは決してしないのです。

そりゃ確かにボクは社内でもキング・オブ・モノマネと称えられて久しいけれど、こんな場違いな場所で悪乗りして「ぶら~り!途中下車の旅~!」つって故・滝口順平と瓜二つのモノマネとか披露した日にはドボリ途中下船させられるなんてことになりかねないじゃないですか。

で、「いやです。絶対しません。」ってごねていたら、ひとりの男がテーブルの間を縫って颯爽とステージへ歩み出た。新人教習指導員のヤマネである。

おいおいおい、アンタ何する気だ?

外国人たちもなんだなんだとヤマネに注目している。
大丈夫かよ、下手なことをしたら日中、日露戦争再びみたいになって船から放り投げられるぞ、とハラハラしてたら、彼ね、片手で持ったタオルを振って一瞬で結び目をつくる、っていうすげー地味な一発芸をやりだした。

そんで9回目くらいで成功してました。

身内は「おぉー!ヤマネなかなかやるなー!」とか歓声を上げてましたけど、ボクにとってはそんなくだらないことよりもヤマネを見る外国人のポカーンとした顔が印象的でした。

ヤマネの余興が終わるのを待っていたかのようなタイミングで、民族楽器を持ったバンドがステージに登場しました。もしかしてヤマネってこれの前座だったのか、ってタイミング。

対岸の夜景、揺れる木造船、異国情緒溢れる音楽。

しばらくするとふたりの踊り子ニーニャが登場して民族音楽に合わせて踊りを披露しました。ふたりともすごく綺麗な方でした。





特にこの2番目のニーニャがボクとK谷さん的にどストライクでした。
画像じゃちょっと分かりませんけどもすごく美しい方で、小池栄子を三日三晩真水で塩抜きした感じのベッピンさんでした。

彼女たちはセクシーかつお上品な衣装を身にまとい、大きな扇子をひらひらさせながら優雅に踊ります。客席は皆うっとりとした表情で彼女たちの踊りに見とれていました。ここは竜宮城かと思うほど素敵なひと時でした。

夢のような時間はあっという間に過ぎ、踊り子ニーニャが舞台を去りました。その後もバンド演奏は続き、ボクたちに気を遣ってなのか『北国の春』など日本の曲を演奏してくれました。曲の途中でバンドのリーダーが客席に向かって「どなたかタンバリンを叩いてくれる方~?」みたいなことを言ってます。

上司たちはまたもや口々に「お前、前に出て叩けよ!」とボクに言ってきました。

いやいやいや、そういうの、良くないよね。そういうのって、どうせただの笑い者にされるか、やらすだけやらしといて「お前面白くねーな」って感想をさらりと述べられるかのどっちかしか無いよね。
パワハラとかアルハラとか世間ではよく言われますけど、こういうのをヤレハラ(ヤレヨ・ハラスメント)と定義してボクは強く糾弾していきたい。

で、頑なに断っていたら、いつの間にかある社員がタンバリンを渡されてて、うわー可哀想だな、って思ってたらそのひと、河本準一よろしくの手さばきでジャパニーズ太鼓持ち芸を披露しだした。

新人教習指導員のヤマネである。

ヤマネ、すげーリディミカル。下積みホストみてぇ。

曲が変わって『上を向いて歩こう』が演奏されました。
ヤマネはタンバリンを叩きながらついに歌いだしました。頼まれてもないのにセンターに置かれたマイクスタンドを握り締めて。



歌の最後の「ひとりぼっちの夜」の所なんて、バンドが次第にスローに演奏するのにうまいこと合わせて結構良い感じでアレンジしてたし。おまえらリハしてたんかっちゅーぐらいハマッてました。

ヤマネに触発されたのか、ジャパニーズに負けてなるものかとスレンダーなロシア人熟女が前に出てきてノリノリで踊り始めました。

おいおい、誰だよ、こんなにウォッカ飲ませたやつは、って心配するほど踊り狂ってます。彼女の狂乱ぶりに周囲は明らかに引いてたんだけど、身内のロシア勢ですら明らかに引いてたんだけど、女性をひとりにさせてはならないと思ったのか、ひとりの紳士がスマートな感じでスッと美熟女の横へと歩み寄った。

新人教習指導員のヤマネである。

ふたりは目を合わせ、お互いこくりとうなずくと一緒に踊りだした。美熟女が魅せるとヤマネも魅せる。それはもう呼応するように息のぴったりと合ったディオダンシングだった。

もうこのあたりからヤマネフィーバーが止まりませんでした。

会場に巻き起こるヤマネコール。
それまでバラバラだったフロアの全てのひとたちがステージに群がり、手を叩き、腹を抱えて笑い、写真を撮り始めた。

こうなると宴は止まらない。
興奮した観客がひとり、ステージに飛び込んで踊りだした。

教習所の売店のオバチャン、I戸さんである。

でもそこはヤマネとロシアン熟女のゴールデンコンビが完全に出来上がってて、もはや日本人熟女代表I戸さんの立ち入る隙は全く無い。行き場を無くした彼女はこともあろうかボクの所へやって来て「行きましょう!」って腕をぐいぐいと引っ張ってきた。

ボクは目を閉じ、首を横に振って石像のように決して椅子から離れませんでした。

勘弁してくれよ!
あんな双頭竜のモンスターみてぇな最強のコンビの横で、ボクたち二人がしゃしゃり出たところで、絶対火傷するだけじゃないか。

「お願い!ねぇお願いよぉ!」つって、痴情のもつれみてぇにI戸さんはなおも泣きついてきましたが、ボクは心凍らせて愛を凍らせて鬼神のごとく彼女の手を振り払いました。
ほんとごめんな、I戸さん。

ボクは上司のヤレハラを軽くいなすことは何とも思わない。でもさすがにいつもお世話になっているI戸さんの懇願を無下に拒否するのは心苦しかった。
ただ、上司の命令は断っておいて、女性の頼みはすんなりと受け入れるってのが本当の紳士のすることなのだろうか。
いくら女性の頼みといえども「ええい!」と振り切って、自分の意志を曲げずに貫くのが真の男というものではないだろうか。

結局、I戸さんは不完全燃焼のまま自分の席へと戻って行った。

一難去ってまた一難。ホッとするのも束の間、後ろから誰かに肩を叩かれた。
どうせまた上司かI戸さんだろうと思って、「だから!ボクは絶対に嫌ですってば!」って言いながら振り向いたら、そこには小池栄子似の踊り子ニーニャが立っていた。
キョトンとするボクに向かってニコッと笑いかける彼女。

う!うるわしすぎる!

それはまるで大切な宝物を授けに天女が地上に舞い降りたみたいな衝撃だった。彼女が宝物の代わりにボクに差し出してきたのはそう、タンバリンだった。

気が付いたらボクはヤマネとロシアン熟女の間で激しく踊ってました。

気が付いたらヤマネからロシアン熟女を奪い取るようにして踊ってました。
気が付いたらロシアン熟女の足元を這うようにしてタンバリンを叩いたりしてました。
気が付いたらロシアン熟女の背後から両腕を前に回して腰を抱くようにしてタンバリンを叩いたりしてました。

で、ついでに、ロシア人団体の中に多分あれが旦那だろうなって感じの大男がいらっしゃるのにも気が付きまして。

なんか腕とかもすげー太くて、絶対あの人、両腕の力こぶのとこに碇のタトゥーとか入れてらっしゃるな、とか思って頃合いを見て逃げるようにして舞台を降りました。

まぁボクの出演時間は3分に満たないと思いますけど、会場のみなさん動画を好き勝手に撮ってらしたんで、ボクの破廉恥な姿がYouTubeとかにアップされて全世界に発信されていないことを祈るばかりです。

ボクが場を荒らして去ったその後も、ヤマネは各国の美熟女たちと一緒に踊り続け、会場を大いに盛り上げていました。堂々たるオンステージ。どっから来るんだその自信と余裕。

下船の時。ヤマネは何人もの外国人に写真撮影を求められ、最後にロシアン熟女と肩を抱き合い、別れを惜しんでいた。



日中露のボーダレス。
かくしてヤマネは国境を越え、みんなをひとつにまとめたんだ。

もう尖閣諸島とか北方領土とかも、オザワなんかよりヤマネが解決すればいいのに、と思った。

ベトナム旅行記② それぞれのフォー

2012-07-23 | 教習とは全くもって無関係な日記

1日目の夜。





夕食はツアーに組まれたどっかのレストランでベトナム料理。
パイナップルの灯篭に刺さってるのは名物の揚げ春巻き。
あと滞在中すげーお世話になったサイゴンビール。

たらふく飲み食いした後でホテルの部屋に戻ったんですけど、やっぱせっかくの海外旅行で夜は部屋で大人しくしとくとか有り得ないじゃないですか。夜のホーチミンを探索したりして満喫したいじゃないですか。

実はボク、ツアーで用意されているようなレストランは外国人向けで面白みが無いだろうと予想してたんで、地元民が通うようなローカルなお店を出発直前にネットで調べていましてね。早速今夜は本場のフォーを食べに行こうと思い立ち、社員のたまり場になっているホテルの一室へ有志を募りに行きました。

「あらみなさんお揃いで」

部屋に入るとボクの直属の上司をはじめ先輩指導員や後輩指導員、6,7人がビールを飲みながらまったりとくつろいでいました。そんな中、

「さあて、みなさんフォー食べに行きましょうか!」

って意気揚々とご提案してみたら、みんなすげー乗り気じゃ無い。露骨にだらだらしてらっしゃる。そんで「もうお風呂入ったし」とか「だって外暑いじゃん」とか「ちょっと、ドライヤー貸してよ」とか「ねえ、UNOしよーよ」とか、女子みたいなことを口々に言い出す始末。

ついには上司が「フォーなら明日、ツアーの昼飯で食べる予定でしょ?」って涼しい顔して正論を言って来た。

はいはいはい、そうきましたかこのツアー大好き東洋人が。

ボクはここぞとばかりに得意げに「いや、あのですね、ツアーで出てくる食事というのは大体…」って、ローカル店の魅力と面白み、知らない土地を探索する楽しみ、冒険こそが旅の醍醐味、ニーニャ的なロマンスの予感、などをとうとうと言い聞かして説得を試みたんですけど、上司ね、そんなボクの話を遮る様にしてこうつぶやいた。

「そろそろお湯沸いたかな…」

そしてコンビニの袋からガサゴソと取り出したのはフォーのカップ麺だった。

なにしてんのこのひとーーーーー!!

ベトナムにまで来て初日にフォーをカップ麺で食べるって、一体どうゆう神経してんの!?

例えるならば、行列の出来るラーメン屋、東池袋・大勝軒本店の軒下でコンビニ限定カップ麺“大勝軒”を食すようなもんだ。いやこれは分かりにくいな。
じゃあアレだ、インド人の彼女が出来て初めて部屋に入れてもらえることになった日に「ごはん作るよ何食べたい?」って聞かれて「ボンカレー」って答えるようなもんだ。そんな無粋な男は全長5kmほどのターバンを頭に巻かれて頚椎を捻挫してしまえばいいと思う。

さらにデリカシーの無い上司は「うまいぞコレ、食ってみるか?」って勧めてきたんで、「結構です!最初のフォーは絶対にちゃんとお店で食べますから!」って頑なにお断りした。それはもう幼い頃に思い描いていた最初のチューに対する青い幻想と同じくらい頑なに。

そしてボクの苛立ちを逆撫でするかのように、他の人たちもカップ麺のフォーをひと口もらっては「ほんとだ!うまいっすねー!」ってキャッキャ言うてる。駄目だ。この人たちには何を言っても無駄だ。そう察したボクは同期のK谷さんと後輩のH熊くんを連れ立ってホテルを飛び出した。

途端に身体に纏わりつくムンムンとした熱気。

いいぞ、これが熱帯夜の息遣いだ。見てろよ。エアコンの利いたホテルの部屋でくつろいでいる連中には決して味わえないような美味いフォーを食べてやる。ボクはこの瞬間、フォーとの素敵な出会いを確信していた。

夜10時になってもホーチミンシティは眠らない。露店の軒先で歩道を塞ぐようにして宴会をする現地人。昼間よりも交通量は減ったものの、所々でクラクションが鳴り響く。交差点ごとにバイクにまたがったポン引きのオッチャンが待ち受けていて、彼らはどこで覚えたのだか分からない卑猥で直接的な日本語を投げかけて来る。ボクはK谷さんとH熊くんを盾にして突き進んで行った。

ホテルから15分くらい歩いてたどり着いた老舗のベーカリー“ニューラン”


(画像は後日、日中に撮影)

ここはバインミーが美味しいと評判のお店。
バインミーとはフランスパンの間に様々な食材を挟んであるファーストフード。いわばベトナム風のサンドイッチだ。かつてフランスの統治下にあったベトナムやカンボジアなどで食べられているらしい。



ブースの中で山積みになったバゲット。その後ろに肉の塊がクルクルと回っている。注文するとここで肉片を切り落として入れてくれる。



テイクアウトして次の朝に食べたけど、中にはハム、なます、玉ねぎ、香草などが入ってました。ピリッと唐辛子が効いていて、味付けは甘辛い感じ。全ての食材の味や食感が絶妙な調和を生んでいて面白い。とても美味しかった。ついつい朝からビールを開けちゃうほど。これが100円くらい。

さて、本題のフォーなんですけど、ニューランはフォーもなかなかいけるというし、パン屋なのに何故か深夜まで営業してるというのでこの店を選んだ訳です。



厨房方向。店内には赤いプラッチックのイスがいっぱい。良いね。この安っぽさがローカル店の証しなのです。テーブルはステンレスの台。良いね。まるで厨房でまかないを食べるかのような雰囲気です。メニューを見ると英語表記もありました。フォーにも様々な種類がありましてすごく迷ったんですがフォーボー(牛肉のフォー)を指差し注文しました。



別皿に生野菜や香草がもっさりと盛られていて、好きにトッピングして食べます。ボクはその中のもやしを大量に入れて食べてみました。

滞在中合計4ヵ所でフォーを食べたけど、ここのフォーが一番美味しかったです。スープの出汁がしっかりしていて、旨みが濃縮されていました。

ベトナム料理の味と匂いは独特だと言われますけど、ボクはその土地の物を食べられるという好奇心の方が強いので気になりませんでした。香草が入ってるからか少し薬膳スープのような印象を受けます。ひと口飲む毎に身体中にキレイが染み渡るような気がしました。ベトナムのソウルフードをこういったローカルなお店で食べることで、ベトナム人の原動力に五感で触れることが出来たような気がしました。

「地元民は調味料を加えて味を変えて楽しむらしいよ」

ボクは箸を止め、隣でフォーを食べている同僚ふたりにウンチクを語った。
デフォルトでも美味しいフォー。しかしここまでローカルにこだわったボクとしては、食べ方も地元民と同じ様にしてみたい。そこまでして初めて今回のミッションを成し遂げたと胸を張って言えるのでは無いだろうか。そしてやっと憧れの“マスター・オブ・ローカル・オブ・ベトナム・オブ・フォー”の称号を手中にすることが出来るのでは無いだろうか。オブ多目だけど。

しかし同期のK谷さんはボクの言葉に「ふーん…」と無関心だった。そういえば彼は「いや、生野菜はちょっとやめとく」とトッピングすら入れなてかったよな。EXILEのウサに似ててワイルドな顔面してるくせに、結婚して子供が出来るとこうも守りに入るものかねあーやだやだ。

やはりここは先輩指導員として、後輩のH熊くんにはカッコいい所を見せてあげないといけないんでね、早速冒険して味を変えてみることにした。

テーブルには様々な調味料が置いてあって、その中に赤唐辛子の入った小さなビンがあった。よく見るとちょいと水っぽい感じの、色素の薄いピンク唐辛子だ。

「なんだよコレ、全然辛そうに見えないじゃん」

と余裕の笑みをこぼしながらも一応ね、一応、ちょっとだけすくってフォーに入れてみた。
H熊くんもボクに続いてくれて、ボクよりも少量のピンク唐辛子を入れていた。
そんでひと口食べてみると…美味い!
辛味が増してさっきまでの優しい印象と変わりパンチが効いてて食欲がそそる。やはり暑い所では熱くて辛いものを食うのに限る。

そんでふた口目、三口目とスープをすすると、

「い、痛い!!」

って叫んだ。
何だろ、ひと口飲む毎に身体中にイタイが染み渡るような気がしました。
もう辛いを通り越して、激痛。薬味つーか劇薬っす。歯がキンキンする。歯が痛がってる。普段、痛みを覚えるような所じゃない所が悲鳴を上げるように痛がってる。

身体中の感覚が麻痺していって強張る。熱い汗と冷や汗が入り混じるようにドバーッと出てきて、頭の血管がドクンドクンと脈打つのが分かる。脈打つ度に脳が痛がってる。意識がもうろうとして思考が停止するくらい痛い。痛いよ、片思いの恋みてぇに痛いよ。

で、「ちょ、ちょっとこれ辛過ぎるよね?」ってH熊くんの方を見てみたら、彼、顔が紫色になってた。もしこの冒険がドラクエだったらすぐに町に帰って教会の神父に解毒をお願いしなきゃいけないくらい、顔が紫色になってた。
まぁ一番痛かったのはやっぱり、後輩に対して心が痛かったよね。ごめんよH熊くん。

結局、この汗と痛みは1時間くらい引かずに、さらに外の熱気で汗びしょびしょになりながら、ボクとH熊くんは終始無言のままホテルまで帰った。

「ただいま帰りました。」

たまり場の部屋へ戻るとエアコンをガンガンに利かせた中で、まだ酒盛りが続いていた。
上司が「すごい汗だくじゃないか。」って涼しい顔をして言って来た。
ボクは「え?まぁ、はい。それがベトナムですからね。」って素っ気無く返事をしたあと、食べてきたフォーの美味しさやお店の雰囲気の面白さなどの冒険談をみなさんに語ってあげてたら、上司がまた遮るようにつぶやいた。

「そろそろお湯沸いたかな…」

え?え?嘘でしょ!?
上司、あろう事か本日二度目のフォーのカップ麺に湯を注ぎ出した。

それは無いよね。
ボクらは汗だくになって冒険して来たっていうのに。

例えば伝説の薬草を求めて魔物が巣食う洞窟に入って命からがら手に入れて町へ戻って来たら、村人に「え?伝説の薬草ならそこの道具屋に売ってるし、馬鹿じゃないの?」みたいなことをさらりと言われたらその村人にザキを唱えたくなっちゃうよね。ほんと勇者に対して失礼だよね。こちとら洞窟の奥で宝箱を守るピンクのモンスターに出くわしてそんな薬草があれば今すぐにでも飲み込んでこの節々の痛みを取り除きたいくらい負傷してるっていうのにさ。

そんなザキを唱える時みてぇな顔をしてるボクに向かって、上司はにやけ顔で「本当にうまいぞこれ、食うか?」ってしつこいんで、
「まぁ最初のフォーは食べて来たんでね、カップ麺の味なんてどうせ大したこと無いと思いますけど、試してみてもいいですよ?」
ってひと口もらってみたら痛みが飛ぶほどすげー美味かったんで半分くらい食って結局お土産に10個ほど買って帰りました。

ベトナム旅行記① 混沌交差点

2012-07-08 | 教習とは全くもって無関係な日記

ベトナムから無事に帰ってきました。

すごく楽しかったです。
皆様にベトナムの素晴らしさを伝えたいのですけども、記事を書く気力も能力も持ち合わせていないんで、柄にも無く画像をいっぱい貼り付けて旅の思い出を振り返りたいと思います。
ちなみにプライバシー保護の為、人物の目元にモザイクを入れたりして画像を加工しようかと思いましたが、そんな心配が必要無いくらい撮った写真のほとんどが見事にピンボケしてたのでそのまま載せますよこんちきしょ。

まず、滞在したホーチミンシティの交通事情なんすけど、
たまには教習指導員のブログらしく一応ね、触れとこうと思うんですけど、
交通の足は90%がバイクで、市内には400万台のバイクがあると言われてます。
見たところ125CC未満の小排気量のスクーターがほとんどです。
ちなみにベトナムではバイクのことを「ホンダ」と呼びます。
ジャパニーズブランド・ホンダのバイクは、平均年収が20万円という市民にとって非常に高価で高嶺の花とされています。



とにかく恐ろしいほどバイクの数が多い。鰯の群れみたい。
そんで信号無視や割り込みなんて当たり前、好き勝手に走行してます。整然としてない鰯の群れみたい。



見えにくですが後ろのお母さんがベイビーをひとり抱いてます。
日本だったら「ちょっとした夜逃げか?」と思うほどの衝撃的な光景です。
バイクの乗車定員は大人は2人まで、子供はカウントしないらしいです。

画像じゃお伝え出来ないくらい、街には凄まじい台数のバイクが溢れています。
バイクの後ろに商品棚を乗せて移動式販売車にしてる人とか、バイクと荷車を連結させて大量の物資を運ぶ人とか、あとなぜか路上駐車したバイクの上で昼寝してる人とかもかなり多く見かけました。もう何でも有りですよ。ひょっとしたら分娩台とかにもバイクが使われてるんじゃないかと心配するほどです。
歩道を徒歩で行く現地人はほとんどいませんでした。それほどまでに市民にとってバイクは生活に密接しているのです。



ボクが以前書いた記事のタイトル“ラウンドアバウト”がこれです。
日本人にはあまり馴染みの無い、信号や一時停止が無い円形交差点です。
まるで交差点の求心力で吸い寄せられるように車両が進入し、戯れるように中央島をクルリと回った後、遠心力で放たれるかのようにそれぞれの方向へと離れて行きます。

そう言葉に綴ると綺麗な感じがしますけども、現地人はここを優先順位とか無関係に、他の車をかき分けるように突っ込み、クラクションを鳴らし鳴らされ、かなり強引に出て行きます。大阪のオバハン全員をスクーターに乗らせて宝の地図とかを渡したら多分こんな感じになるかと思います。



ほとばしるカオス。
各々がどういった予測をし、判断をし、タイミングをとって行動しているのか…。訳分からん。これで事故無く走れてるのが不思議です。

ボクならこんなとこ恐ろしくて運転出来ないです。
ボクならきっとラウンドアバウトに進入してしまったら最期、ロータリーから出れずにグルグルと回り続けてやがてドロドロのゲル状になってそれこそはぐれメタルみたいになって、いや恋愛経験値が2ぐらいで触れたら病気になりそうなオマエはバブルスライムのほうだろ!とか言われそうですけどもとにかくそうなったらドアの下の隙間から好きなあの子の部屋にも簡単に出入りできるようになるよどうしよグフフ。

さて、滞在中に宿泊したホテルはインターコンチネンタル・アシアナ・サイゴン。
名前が長すぎて結局最後まで覚えられませんでした。ごめんなさいごん。



画像は部屋の窓からの風景を舐めるように覗き見る同室のK谷さん。
彼はEXILEのウサにすごく似てます。どうでもいいけど。



ドアガールのニーニャ



カフェのニーニャ



ニーニャーズ

まぁとにかく、すごく素敵なホテルでした。ニーニャ的に。
(ニーニャについては前回の記事を参照してください)

ちょっとそこまで

2012-06-24 | 教習とは全くもって無関係な日記

フォーーーーーッ!!!

てことでベトナム行きます。

教習所の社員旅行でハワイかベトナムかどっちかを選べというので、躊躇無くベトナムを選択しました。

ボクみてぇな根暗なやつがハワイなんて行ったら常夏の島に暗雲が立ち込めて気温が20℃くらい下がって珊瑚たちが風邪引いちゃいけないんでね。
あと、うわいワイハーだー!ワイハーだー!ひゃほー!とかミーハーにはしゃげるタイプでは断じて無いんでね。
そこへいくとあえてベトナムを選ぶって何か通っぽいよね。違いの分かる男っぽいよね。海外慣れした大人の男は一体何を海外に求めるのか…ゆうて海外は釜山に次いで今回で二度目なんすけども。

もうね、全然準備とかしてない。

小学校の頃の遠足でももっと準備してると思うんですけど、自分でも驚くほど何も準備してないし何も調べてない。いや、そういえば、正確に言うと一回だけ会社のパソコンを使って昼休みにネットで調べ物をしたか。

「ベトナム アオザイ 美女」

で画像検索しました。
うん、うん、いいねベトナム。いいねアオザイ。ゆうて深々と頷いてたらいつの間にか背後に数名の男性職員が集まってて皆さん画面を覗き込みながら納得の頷きをしてらした。まあとにかくそれで大満足しちゃって後は何も調べてない。

で、のんびり構えてたらまさに今日の朝が出発みたいなんすけど。

ほんと、すべらない話とか見てる場合じゃなかった。
こちとら今から準備して、集合時間までには何とかすべりこまないとならない話なんですけど。
このままじゃ最悪手ぶらで海外に挑戦することになるかと思います。
このままじゃパスポートとかも後ろポケットからサッと出しちゃうよね。
うん、何か通っぽいよね。

ということで、どなたかベトナムに詳しい方いらっしゃいましたら、これは持って行ったほうが良いよとか、あれ食べたほうが良いよとか、この店が美味しいよとか、この観光地がおすすめだよとか、お土産はこんなのが良いよとか、

帰国の日。
空港のターミナルで出国の手続きを済ませ、搭乗ゲートへと歩を進める。
途中、隣にいた同僚に何か話しかけられたけど、上の空で生返事をした。
ボクはベトナムでの数日間を思い出していた。
ハーフパンツのポケットに手を入れる。ゴソゴソと取り出したのは白いハンカチだ。そのハンカチの隅には、綺麗な模様の刺繍があしらわれていた。それは小さな無数の花が繋がるようにデザインされたベトナム刺繍で、極めてシンプルでさり気無い、しかし素朴で可愛らしい、しっかりとした存在感があった。ボクはしばらくその小さな花をぼんやりと眺めながら歩いていた。

「お、何だよそれ?お土産か?」

見せてみろと言わんばかりに同僚が横から手を伸ばしてきた。ボクはその手を避けるようにハンカチをまたポケットに仕舞い込んだ。
「ちぇっ、何だよ。」
素っ気無いボクの態度に同僚は少しムッとした。しかし底抜けに明るい同僚はすぐに機嫌を直し、また喋り掛けてきた。
「なあ、この後免税店で残った金をパーッと使って買い物でもしようぜ!」
「いや、おれもう持ち合わせ無いから…」
「え、嘘だろ?全部使っちまったのか?お前一体何に使ったんだよ?」
「別に、何だっていいだろ。」
「土産物だって、買ったのはどうせその安そうなハンカチぐらいじゃないかよ!なあ?」
「…うるさいな!」
「はあ?おい、お前!さっきから何か変だぞ!?」

近くにいた先輩社員が「お前達、何揉めてるんだよ!」と二人の間に割って入った。さらに「そろそろ時間ですよ」と添乗員に促され、しかめっ面をした同僚は先輩社員と共にゲートの方へ向かって行った。ボクも少し間をおいて二人の後に続いた。

その時だった。

ターミナルの雑音の中で、かすかに心地よい音色が後頭部に響いたような気がした。気のせいだよな、とボクは苦笑いし、そのまま二、三歩ほど歩たところで、今度はもっと大きくはっきりと聞こえた。
それは音色では無く、拙い片言の言葉で、その言葉とは、紛れも無いボクの名前だった。
瞬時に後ろを振り向くと、息を切らせてこちらへと駆け寄るひとりの女性がいた。
「ニーニャ!?」
肩で息をしながら呼吸を整えようとするニーニャ。彼女はシルク素地の真っ白いアオザイを身にまとっていた。眩しいほどに輝くアオザイの純白と、彼女の肌の小麦色が鮮やかなコントラストを成していて、それはまるで一枚の美しい油絵を見ているような錯覚と衝撃をボクに与えた。

「ニーニャ!何でここに!?見送りに来てくれたのかい?…アオザイ、出来上がったんだね。すごく似合ってる。良かった、帰る前にキミのアオザイ姿が見れて。本当に綺麗だよ、ニーニャ。おいおい、何だよ!泣くなよなー!ほら、これで涙を拭きなよ。ははは…、まさかキミに貰ったハンカチで、キミの涙を拭くことになるなんてね。そういえば、このハンカチに刺繍されてる花ってさ、何かニーニャみたいだよね。日本に帰ってもおれ、いつも持ち歩くよ。ニーニャが傍にいてくれてるみたいで、寂しくはないさ。さて、涙も止まったみたいだし、おれはもう行くよ。きっと、きっとまた迎えに戻って来るから。それまでそのアオザイを大切に仕舞っておいてくれよな。次にそれを着てもらうのは、おれたちの…結婚式の時だから…」

ってのはベトナム語で何て言うのかとか、そもそもベトナム美女はどこに行くと会えるもんなのかとか、教えていただければすげー助かります。

こんな挑戦状が来ました

2012-06-20 | 教習所日誌

「茶室って、何をするところなんですか?」

っていう疑問文を見たら普通、
ああ、きっと先方は外人さんなんだな、日本の文化を理解しようと頑張って勉強してるんだな、と微笑ましく思うだろう。
そして当然ながら「お茶をいただくところですよ。」ってシンプルに答えるだろう。

あるいはそれが金髪美女だったのなら、ちょっと興奮気味に片言の英語とジェスチャーでもっと細かく伝えようと必死になるかもしれない。
「キモノ、セイザ、タタミマット、オマッチャ、ゴクゴク、プハーッ、ラーストサムラーイッ!」つって、特に最後の方は渡辺謙よろしく凛々しい顔で。

でも世の中はそんなに単純なことばかりじゃなくて。
ボクみてぇな単純な人間ばっかりだったら世の中もっと分かりやすいだろうし、争い事とか無くなるんでしょうけども…。

先日、ネガティブログのやねさんからこんなご質問をいただいた。



知らなかった。
茶の湯ってのは和を尊ぶものだと思ってたんで。

“覚悟”とか“戦い”とかそんな物騒なものじゃなくて、もっと“信頼”とか“安心”とかそういう心持ちで穏やかに楽しむもんだと思ってたんで。

ほんの7行くらい前に争い事が無くなればいいとか言ってたばかりなのに、
案外近場で戦いを推奨してらした。

「一碗からピースフルネスを」と提唱し、茶道を通じて世界平和を訴え続けている裏千家の十五代前家元・千玄室大宗匠もこれにはさすがにおったまげると思う。千おったま玄室だと思うんですけど。

いやいやいや、いくら何でも嘘でしょ?
本当にそんな斬新な説明ってのがネット上にUPされてんのか!
と思って検索してみたら見事にありました。当教習所を紹介するウェブページに。
【CLOの合宿免許】http://www.e-menkyo.info/gasshuku/g604615.html
(クウチャの事を知らないって方はコチラも参照)

で、こんな突飛な説明文を引っ張り出しといて「茶室で何するんですか?」って聞かれましても…。

もうこれってさ、やねさんからボクへの挑戦状みたいなもんじゃないですか?ちょっとネット上で面白い説明文見つけちゃったからご報告ついでにお題としてボクへ振ってみようって、そういう魂胆なわけじゃないですか?やねさんの嘲り笑う顔が、いきなりのお題に困惑しているボクの姿を想像してはさもいやらしそうに笑うあのやねさんの顔が、目に浮かぶじゃないですか?全然顔知らねぇけど。

望むところですよ!

やってくれるね、やねさん。平和主義者のボクの心に火を点けるとは大したもんですよ。正直、キミとはこんな形では戦いたくはなかった。点けるならもっと違う火を点けて欲しかった。もっとこう浅野ゆう子と柳葉敏郎のほうの意味とかで火を点けて欲しかった。いや、ここは浅野ゆう子と田宮五郎と言ったほうがタイムリーでしっくりくるかと思われます。まあとにかく、赤い情熱の火炎では無く、青白い冷静の種火がボクの心の底にぎっしりと敷き詰められたのですよ。

おっしゃ!やったる!この挑戦、受けてたったる!!

と言いたいところなんですがやっぱほらこのブログって教習所のHPにリンク貼ってるしさーあんまりクウチャのことでおかしな答えを書いたらこのブログを検閲官みてぇに小まめにチェックしてる教習所の偉いひとに怒られちゃうからさーもう空中茶室をクウチャって略してる時点で怒られちゃいそうなんだけどさーここは是非とも皆さんのお力をお借りしましてー空中茶室大喜利しようと思いますー。


~お題~


「非日常の異空間の中で、どれだけの覚悟をもって相手と戦うことができるのか、試してみよう。」という触れ込みの空中茶室。一体、茶室で何をするの?


答えが思いついた方はコメントしてください。
もう何だろ、ボクを助けると思ってコメントしてください。

一番面白い答えをコメントしてくださった方にはクウチャをあなたのお家の庭に埋めに行きます。お子様の勉強部屋に喜ばれます。

ムーンライト俗説

2012-05-28 | 教習生色々

ごめんね素直じゃなくて 夢の中なら言える

思考回路はショート寸前 今すぐ会いたいよ

泣きたくなるよなムーンライト 電話もできないミッドナイト

だって純情 どうしよう ハートは万華鏡
ってここんところなんすけどね、ここ。

今更こんなことを言うのはどうかと思うんですけどね。作詞とか全く心得の無いボクが言うのもなんだなと思うんですけどね。ここって、本当に万華鏡で良いの?ってことなんですよ。

さぁてそろそろサビに入る頃かしらと胸を躍らせていたら、ままま、万華鏡ってアンタ!びっくりですよ。びっくりを通り越してちょっとがっかりですよ。ここまでセンチメンタルに歌詞を綴っておいて、ひょっとしたらコレってさー西野カナとかが書いてんじゃないのー?共感しちゃうよねー!ほんと神だよねー!って世の女子どもを感極まらせといて、まさかの万華鏡ですか。

例えば彼女とデートしててランチを食べようと小洒落たビストロへ入ったとしよう。するとその店はビュッフェ方式のようで「取って来てあげるね」と料理が並べられたテーブルへと向かう彼女の後ろ姿が健気で可愛くて思わずビュッフェッフェ!ゆうてほくそ笑んでたら、しばらくして席に戻って来た彼女の持つ取り皿にはイカリングが、イカリングが単品で盛られていた。

ってイカリングチョイスと同じくらい万華鏡という言葉のチョイスが渋すぎる。

もう拍子抜けですよ。いくら何でも唐突じゃないですか、万華鏡。いきなりじゃないですか、万華鏡。潜望鏡でももっとじんわり海面に出てくるわ!
こっちは前半の西野カナみてえな作詞にうっとりしちゃって全然油断してて、万華鏡を受け入れる万全の心の態勢が出来てないわけですよ。そこへ降って湧いたような万華鏡。実際の曲ではリズミカルに強調した、躍動感溢れるまんっ、げきょっ、おー。
ムーンライトとかミッドナイトとか、散々あれだけカッコつけといて結局のところ万華鏡って。明らかに浮いてる。お万華鏡様が浮いておられるわ。

さっきから万華鏡万華鏡言い過ぎなんですけど、百歩譲ってこの歌詞を良しとしよう。うん、万華鏡、十二分にパンチはあるぞ、と。そうするとね、次に浮かぶのはこんな疑問では無いだろうか。

ハートは万華鏡ってのは一体どういった心境のことをいうのだろうか。

セーラームーン世代のボクは、男に生まれたからこそアニメはほとんど見たことが無いのだけれど、幼いながらにこのフレーズに違和感を持っていた。心のどこかにわだかまりを持ったままここまで育って来た。そんな万華鏡シンドロームのボクが最近になってこの歌詞の真理にぶち当たったような気がするのでご報告しようと思います。

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向こうのほうから教習生のNさんがやって来るのが見えた。

遠目に見てもはっきり分かる。すっげ奇抜な服。服というか衣装。斬新過ぎて逆に貫頭衣かと思うくらい。

いや、ほんと、教習生にも色んな方がいらっしゃる。真面目で堅実なひともいれば、ひょうきんでお調子者のひともいる。中にはそういった分かりやすいジャンルの枠を超越した、強烈なキャラで妙なテンションの教習生ってのがいるもんで。独自のワールドを繰り広げるのはそりゃ個人の自由だと思うんですけど、大体そういう方は自分の世界に他人を引きずり込もうとしなさる。無愛想でマイペースなボクにとって、その存在は生命の根幹を揺るがす重要危険人物となり得るのだ。

だからNさんとすれ違う間際、中学時代に廊下でヤンキーの先輩とすれ違う時みたく視線をそらしながら通過しようとしたら、やっぱし呼び止められた。「ハァ~イッ!」って欧米人かの如く。そんで聞いても無いのに彼女は今日のファッションのポイントを事細かに教えてくれた。それを半分以上は聞き流していたボクに向かって、彼女はこう言った。

「今日の私、きゃりーぱみゅぱみゅみたいでしょー?えへっ!」

さすがだ。さすがボクが見込んだだけはあるお方だ。これほどまでにボクのペースを掻き乱してくれるとは…。ボクは混乱した頭を立て直し、どう返事をするべきか悩んだ。そして、きゃりーぱみゅぱみゅとか宣言されたからにはメルヘンチックなお返事をしてあげないといけないな、と瞬時に判断したボクは、

「いや、キミはなんつーか、きゃりーべらべむだ。早く人間にさせた~い!」

ってメルヘンというかどちらかというとグリムっぽい返事をしたら「ひど~い!」って頬をふくらませて立ち去って行った。うん、確かに酷い。お客様を妖怪に例えるなんて失礼極まりない。一歩間違えれば訴訟問題になりかねない発言だった。次に彼女と会う時は優しく接しよう、とボクは深く反省した。

翌日、教習車に向かって歩いていたら背後に気配を感じた。鬼太郎でいうところの、髪の毛の一本が青光りしてピンと立った感じだ。振り返ってみるとNさんがウフフと微笑んでいた。ボクは「父さん!妖気です!」という言葉をグッと堪えて動揺を悟られぬよう出来るだけの優しい声で「こんにちはー」と挨拶をした。すると彼女は、ツインテールに束ねた背中まで伸びている髪を撫でながら、懲りずにこう言った。

「ねぇねぇ見て見て!セーラームーンみたいでしょっ?ホラ!」

ってそれはもうかなりしつこかったんで、今度は迷わず

「キミは今すぐ月に帰ってお仕置きされろ!」と言っておきました。

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そんな折、前回の記事に月子さんからこんなコメントをいただいた。

「いんすくんのブログには生徒に対する愛情が伝わりますよ

やはり分かってくださる方もいるんだな、とボクはコーヒーをすすりながら頷いた。
はっきり言ってこんなブログはいつ閉鎖に追い込まれてもおかしくない。
教習所のHPにリンクを貼っている当ブログ。それにもかかわらず、いつもお客様に対する無礼な言動の数々を記事にしてはお届けしている。
勿論、ボクはこれでもお客様に対し不快な思いをさせないように日々気を付けているつもりだし、数々の言動は月子さんのおっしゃる通り、ボクにとっては愛情の裏返しの裏返しである。いや裏返しの裏返しのリバースのドロフォーあたりだろうか。次の色はブラックでお願いします。

ただ、言葉ひとつをとってみても、受け手が十人いれば十通りの解釈がある。

例えば、こないだ友人に誘われて久々に合コンに参戦した時、好き勝手喋ってたら女性陣に散々嫌われて、「土下座しろ!」とか5回くらい言われた。初対面の女性に。
ボクってば、女性とプライベートで飲むのは本当に久しぶりだったんで最初すごく不安だったんだけど、この時はさすがに「よしよし、ブレてないぞ、俺!」って思いました。何の再確認だ。

そんで、宴もたけなわって頃に、
「じゃあそろそろ電話番号の交換をですなグフフ…」
って勇気を振り絞って言ってみたら、隣の女の子に札を渡されて、その札には59って書いてあったんですけど、まあその札ってのが魚民の下駄箱の番号札だったんですけど、
「いや、ふた桁って。内線か!」って何とかツッコミというかそれはもう一種の自分へのフォローとして発言したんですね。そしたら彼女、

「あなたには内線の番号すら教えたく無いわ」

って、国が国なら内戦が勃発してもおかしくないような発言をなさった。
すげーなこの子、逆にゾクゾクするわ!とお帰りの際、召し使いのごとくその番号札で彼女の靴を出しておいてあげたら、

「やめて!あなた、靴の臭いを嗅ぎそう!」

って。これにはさすがのボクもカンカンに怒って「オイ、オマエ!テルマエオマエ!オマエはローマで一生休んどけ!」って言い放ったんですけど、そう言いながらも指についた彼女の靴の残り香をクンクンと嗅いで差し上げた。よしよし、ブレてないぞ、俺!折れてないぞ、心!

言葉ひとつをとってみても、受け手が十人いれば十通りの解釈がある。

つまりは、連絡先の交換ひとつをとってみても、イケメンが言うと成立し、ボクが言うと不成立どころか不快になったりするわけで。あ、でもこの場合は受け手の問題じゃなくて言い手の問題ですね。うん、ボクに問題がある。このままじゃ十人のうち十人が連絡先など教えてくれないだろう。どうやら言葉ひとつをとってみても、受け手が十人いれば十通りの拒絶があるみたいです。ボクには。

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さて、本題に話を戻そう。

前述した教習生のNさんへの発言ですけど、もちろん本心としては、妖怪みてぇだなとか地球から出て行けとか、鳥取の境港でブロンズにされろとか、そんなことは微塵も思ってないんですよ。思ってないけどついつい出ちゃうんです。いや逆に、思ってないからこそ言えると思うんですよ。そう、全ては愛情の裏返しから来るものなんです。ごめんね素直じゃなくって。

そう思ってボクは気付いたんだ。

他人の心の内は覗いてみないと分からない。いや、覗いたところでそれは万華鏡のように、常に変化を止めることが無い。それに、他人どころか本人ですら、自分の心が見えなくなることがある。
思い出して欲しい。あなたは本心と別の所で、想いとは裏腹の言動をしてしまったことが無いだろうか。ボクらの本音はいつも建前や計算、立場やプライド、様々な鏡に反射され外に吐き出される。そしてそれが時として悲しみを生んでしまうのだ。
そう、ハートはまさに鏡張りになった万華鏡なのだ。
これって究極のセンチメンタリズムじゃないか。深い!深いよ万華鏡!

ハートは万華鏡。それはこの歌に欠かせない、完全無欠のフレーズだった。

で、改めて歌詞を振り返ってみたら、あ、これってまさしくボクのことを歌ってるんじゃないかと錯覚するほどだったんで、以下、歌を自分のことに置き換えてみました。

ごめんね素直じゃなくて(本心じゃないの)
夢の中なら言える(Nさんとの会話は楽しかったぜ)
思考回路はショート寸前(自由過ぎる発言には混乱させられたけど)
今すぐ会いたいよ(会って心よりお詫び申し上げたい)

泣きたくなるよなムーンライト(魚民での帰り道)
電話もできないミッドナイト(結局番号教えてくれなくて)
だって純情 どうしよう(靴の臭いは嗅ぐフリをしただけです)
ハートは万華鏡(だから合コンのあの子の拒絶も、ボクに対する愛情の裏返しから来るものだったんだよね。うん、きっとそうだ。そうに違いない。だってハートは万華鏡だものー!)

まるでボクの気持ちを代弁してくれているかのようで、すごく感動しました。

なんていうか、共感しちゃうよねー!ほんと神だよねー!

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PS.合コンのあの子、番号は教えてくれなかったんですけど、何とかして奇跡的にメールアドレスだけはゲット出来まして。

先日、その子から「今夜は星が見えないな…」ってメールが来たんで、「ほうほう、意外とロマンチストなんですな。」って返したら、「何で星が好きだったらロマンチストなんだよ!」って返事が来た。
いやいやいや、全くもってキレどころが分からないんですけど。こちらとしましては“意外”というフレーズにキレられると予想して対策を立ててたんですけど。
意表を突かれて焦ったボクは「いや、あの、星が見えたらちょっとだけでもお幸せなご気分にならっしゃるんでしょう?」って上司が怖くて敬語が変になっちゃう新入社員みてえに聞いてみたら、「うん。」って返事が来た。アラ、この子案外可愛いところあるじゃないのフフン、と思ってここぞとばかりに、
「夏目漱石は“I love you”を“月が綺麗ですね”と訳したという。星が綺麗だな、ってちょっとでも幸せに思う心は、どっかに繋がってるんだよ。例えば明日も見えたらいいなとか、誰かと一緒に見たいなとか。それだけでも十分ロマンチックじゃないかな?」
って男前な感じのメールを送信したら、

「そうだな。オマエと一緒には見たくないけどな!」って返事が来た。

同じ星に生まれたのに、
今回もどうやらミラクルロマンスは起きそうに無い。

卒業生の皆様へ~同窓会のご案内~

2012-05-08 | 教習とは全くもって無関係な日記

ウチの教習所ってのは教習所業界の間でも「変わってる」と言われるようでして、

教習所なのにアスレチックがあったり、
教習所なのにたこ焼き屋があったり、
教習所なのにエステサロンがあったり、
教習所なのに岩盤浴があったり、
教習所なのにゴルフ練習場があったり、
教習所なのに占いの館があったり、
教習所なのに茶室があったり、
教習所なのに「ランド」とか名乗っちゃってたり、と。

変わっているというか、もうね、何屋だよ!と言いたくなる。
このままじゃ、今年あたり敷地内にココイチとか出来んじゃねぇか、と思うほど。

まぁこんな下ネタばっかりのブログが教習所のホームページにリンクされている自体、どうかしてると思うんですけど。

当然ながら教習生のみなさんは口を揃えて「変わってますよねここ。来てみてびっくりしました!」とかおっしゃるんだけど、その度にボクは「そんなことは軽々しく口にしないでいただきたい」と説教することにしている。
キミたちはいいよ?2週間ほどで帰れるからさ。
でもボクなんてさ、就職してみてからびっくりしたんだぜ!
こっちは人生がかかってんだぜ?こちとらびっくりのスケールが違うんだぜ!?

てことで就職して早や数年、もうびっくりし慣れた。
だから大抵のことには驚かなくなったんですけども、
そんなボクでも度肝を抜かれたことがひとつあったんでご紹介しときます。
前述しました茶室の話なんですけど、教習所に茶室があるってそれだけでもう十分びっくり、千のびっく利休なんですけど。
茶室ね、どうもひとつじゃ物足りなかったらしく、新しく





空中茶室
ってのが出来てた凹

すげえ!飛んでる!茶室が!
ってより茶室を空中に作ろうとしたその発想がぶっ飛んでる。

何だろ、この世界観。
わびさびと言うか、これはもうワサビだよね。
ワサビみたいにガツンと来るよね。





うん。さっきのと全く同じ画像なんですけど。

どうです?
二度見てもインパクトあるでしょ?
それが空中茶室

宮崎駿はこれをヒントにラピュタを作ったんだと思う。

とまぁ、こんな何でもありの教習所だから卒業生が集う同窓会があっても不思議じゃないわけで、
標題の件、えっと、説明するのが面倒くせぇんで詳細はコチラまで↓

『クリリの日記』
http://blog.goo.ne.jp/kuriridayo/e/df3746e3b684080a2b8d2fb3889f29e3

PS.もちろんウチの卒業生であり当ブログでお馴染みの、伝説の性別不詳芸人、しっしー改めししどっちも来るよ!


ほんと、卒業生までどうかしちゃってるぜ!!