命きらめいて☆馬、犬、猫など動物に関する理不尽な事件や心温まる出来事の記録

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天王寺動物園の回答にも矛盾

2016年06月25日 11時13分31秒 | 事件
天王寺動物園は余剰動物を生み出すような繁殖への抗議に対して、

「グラントシマウマについては計画的な繁殖を行っており、バロンの母親もブリーディングローン(繁殖のための貸し借り契約)に基づき登園で飼育されているものであり、増えるに任せての自然繁殖ではありません。」

とその回答書の中でごく短く答えている。

ブリーディングローン契約というのは繁殖のための動物の貸し借りで、普通は生まれた仔たちをどちらが引き取るかということまで詳しく書いた契約書を交わすものだ。天王寺動物園のシマウマたちは繁殖させたい時だけ、雄と雌を一緒の囲いで飼うことにしていたので、園の主張の通り、契約による計画的な繁殖の結果バロンが生まれたはずである。

それにもかかわらず、バロンは天王寺動物園、東武動物公園ともに必要とされなくなって、他の動物との交換を条件に動物商に売られてしまった。それなのに、それでも計画的な繁殖だと主張するのならば、バロンが1-2歳になったら両園とも引き取らず、外部へ譲渡することも計画的だということなのか。一体どんなブリーディングローン契約だったのかその内容を説明するべきではなかったろうか。

「展示の充実」という目的があったというのは理解できる。サバンナゾーンにはシマウマが多くて賑やかな方が良いということだ。しかし、そのような目的を持って計画的に繁殖を試み成功したことと、二年も経たないうちに手放したことは矛盾する行為なのである。それとも、初めから集客効果の高い赤ちゃんの時期だけの限定された展示だったというのだろうか?そういう意味での計画的だということなのだろうか?疑問は尽きない。


サファリゾーンへデビューした生後二ヶ月のバロンPhoto by 天王寺動物園

結局は大阪市からの回答書と同じく、これもバロン以外のグラントシマウマの繁殖についての回答であり、バロンについて答えてはいないのである。ここでもはぐらされた感が否めない。

これから天王寺動物園は譲渡先の情報を集め、譲渡する動物たちの情報を提供することによって、再発を防止するそうだ。不思議なことに行政からの指導内容もそれだけだった。無責任な譲渡がなくなっていくのは喜ばしいことだが、一番大切なことは余剰動物を生み出さないことだと思うが、そこには考えが及ばないらしい。いや、それを認めれば、「みだらに繁殖させた」と法的な問題も生じてくるからなのかもしれない。

問題のバロンの繁殖については
●本当はどういう意図や計画のもとで「バロン」を繁殖させたのか
●ブリーディングローン契約までして繁殖が成功したというのに、どんな理由で手放すことになったのか
●ゆくゆく飼えなくなるとわかっていながら繁殖させることは「計画的な繁殖」と言えるのか
を明確に回答するべきだと思う。

それらを省いては回答の意味がないので、ブリーディングローンの契約書の公開のもとに自らの正当性を示してほしいと思う。

天王寺動物園からの回答書
http://animals-peace.net/zoo/tennojizoo-ans.html


もう一点、矛盾点が判明した。「捕獲に対する技術的アドバイスはできなかった」と回答していたが、難しいとされるシマウマの麻酔の量などのアドバイスをできる力があることがわかった。

5/9の~天王寺動物園発行情報誌~なきごえ
●グラントシマウマのナデシコの腹部にできた腫瘍の摘出手術を行いました。
http://www.jazga.or.jp/tennoji/nakigoe/2016/06/diary.html


バロンの脱走事件のとき、電話だけでも十分力になりえたはずである。



【バロンの母、ナデシコのブリーディングローン契約についての記載】
「2010年(平成22年)12月5日のどうぶつえん日誌より
8月に東武動物公園から繁殖のためブリーディングローンで借受けしたグラントシマウマのメスのナデシコと、当園のシマウマたちとの同居の練習を始めました。
http://www.jazga.or.jp/tennoji/nakigoe/2011/01/diary.html


【基本的なブリーディングローン契約書の例(多摩動物公園)】

「動物貸付(繁殖)契約書」
この契約は○○○○を甲とし、○○○○を乙として、 次のとおり締結する。
1.(目的)   
甲は動物の保護のため、東京都が所有し甲が管理する動物を乙に貸付け、乙は乙が所有する。又は乙がその管理の権限を有する同種の動物との間に繁殖を図ることとする。
2.(貸付動物)   
甲は、東京都が所有し甲の管理する下記動物を乙に無償で貸付けることとする。
記 
動物名・性別・数量・備考(繁殖年月日:国内血統登録番号:多摩動物園における呼称)
3.(貸付期間)   
貸付期間は契約締結の日から平成○年○月○日までとする。
4.(費用負担)  
 貸付動物を乙に移送する費用及び貸付期間中における飼育費等管理に係る経費については乙が負担し、甲の所有に帰属する動物を乙から甲に移送する費用は、甲が負担する。
5.(報告義務)   
乙は、この契約に基づく繁殖計画において、繁殖が確認されたとき、また、貸付動物が死亡したときには、速やかに甲に報告すること。
6.(繁殖個体の帰属)   
繁殖した個体のうち、第1子は甲に、第2子は乙に帰属するものとする。第3子以降については、甲乙協議のうえ、その帰属を決定する。
7.(損害賠償)   
貸付動物が乙の故意または過失により損害を受けた場合は、乙の責任で賠償しなければならない。また、移送中の事故については、その費用を負担した者の責とする。
8.(協議事項)  
乙以外の第3者が所有するオス個体と当該貸付動物との間で繁殖が行われる場合は、第2子はオス個体所有者の帰属とし、第3子は乙の帰属とする。第4子以降については、甲乙とオス個体所有者で協議のうえ、その帰属を決定する。その他、この契約に疑義を生じた場合、及びこの契約に定めない事項については甲・乙協議のうえ定めるものとする。

天王寺動物園は動物たちの「なきごえ」にもっと耳を傾けてください。


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