ハニカム薔薇ノ神殿

西南戦争の現地記者の話他、幕末〜明治維新の歴史漫画を描いてます。歴史、美術史、ゲーム、特撮などの話も。

自分の絵が嫌いになった時にしたこと

2018年03月22日 | 雑記
ようやく春めいてきた
と思ったらまた冬逆戻り。
しかし新年度を前に風邪などひいてはならん、て時期ですな。

新年度とは全然関係ない世界にいますが(^^;)

ところで
「自分の絵が嫌い」って人います?


私これ、今から何年か前にいきなり自分の絵が大っ嫌いになりました。
スランプの一種ですかね。
それまでも、別に好きというわけではない…ていうか、特に意識はしませんでした。
でも、大嫌いになったわけ。


その時どうしたかなどを書きます。



まず、なぜ嫌いになったか

1つの原因として冷静に考えた結果はこうです。

「私の絵は今時に流行している、多くの人が望んでいる絵ではない」
どこに需要あるんだよ状態。

ならばそういう需要ある絵を頑張って練習して描けばいいはずなのに
どうしてもできない、描けない」

特に、いわゆる腐女子絵ていうか。
あらゆる絵は、自分が美しい、カッコイイと思って初めて描けるものなんだと思います。
が、う~ん。微妙…めっちゃ嫌いではないですが…
私はどっちかとネオロマのような絵が好きかも。

しかし、どこまでそんな自分の趣味でいいのか…と揺れました。
特に、同人誌の市場は「売れるか」が結構数値化されます。
イベントでの販売部数のみならず、最近はダイレクトにSNSでの評価なんかもあるかも。私がイベント出てた時はまだTwitterは無かったが。


そこで「あ〜自分は自分なんでムリやわ」とか、「趣味なんだから趣味貫いたらええやん」と思ってしまえば、それはそれで良かったはずなんですが
メンタル的に競争やプレッシャーで疲れてると、どうにもならん努力、変えてはいけない部分まで変える努力をしようとしてムリする。


「気に入ってもらえる絵を描かないと!」
「評価されない絵などクソ、ゴミ」
「努力してる人が上手い人」

てなる。

そうなると描くのはまあまあ楽しくても
出すのが苦痛になってまいりまして。

しかもネガティブな時は「上手いです」と言われりゃあ「お世辞はやめて」
「下手です」と言われりゃあ「死にたい」
「こう描いたらどうです?」とアドバイスなんかされようもんなら逆ギレよ!うるせーつかテメー何様…


絵が嫌いになった時にした事はただ一つです。
「自分が嫌いだなムリだな」と思うフォルム(型)から逃げる。
これも絵だよな、といった、違う絵の世界に旅立つ。

世の中、いろんな「描く」がある。いろんな画家がいる。そう、萌え絵、同人誌即売会、漫画以外も。


画家が描いたのではなくても、絵は「描く」があれば存在する。

現代アートは描いてすらいないよ。
先人の絵を消す。ラウシェンバーグはモダンアートのデ・クーニングの絵を消した。キャンバスを切ったのもある。

アールブリュットは「典型」なんか気にしないし
美術史なんか、評価されなかったけど負けなかった人だらけ。
サロンに落選しなきゃ、印象派なんか無かった。

最近はプロでなくアマチュアでも
売れなきゃ、支持されなきゃダメ
気に入られないのは下手だから…と、思い込んでしまいがちなんですが

結局、表現の世界は己の感性。
何が好きか、どう見えるのか、何をカッコイイと思うのか、
それまで投げ捨てて周りの価値観に従おうとするなら、そりゃ嫌いになります。
しかし、嫌われる事に怯えて、周りと一緒になって自分を嫌ったりイジメたりする必要は皆無ではないですか。


「サブカル」の中でも特に同人誌界隈は「典型」が価値を持ちやすいです。
なぜか?
それは絵よりももっと深い部分で、その根底に「不安」があるからではと思うのです。
不安は法則と安定を望む。それが絵の社会では
「型」「同質」「均一化」となって現れるのではないか。やがてそれは合い札を照合しあって仲間同士と確認し合う、結構閉鎖的空間に葬られるのではないか
と、ここら辺は一考する価値はありそうなテーマではあります。

描くって、孤独作業ですよ。

誰かのようには描けないし、誰かのように描く必要も無い。


広告漫画を始めてから、アメコミ調だのギャグだの、いろんなパターンでの絵柄を求められるようになったんですが、色々試しているうち、
「それでも私が描くとこうなるなー」というのを感じたりしてるうち
担当さんらが
「いつものでいいですよ」
「それはそれでニーズある」
と言って下さったり。


感性合わないな、て場合に空気読んだり、ムリして合わせようとしない事。
それが一番だと思います。
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