
私が子供の時はテレビで毎日のように映画が流れていた。
映画の質は二の次三の次というか
手当たり次第に流してたようなラインナップだった。
あの頃見た映画で、たまに流れる名画以外にというか、
それ以上に心に引っ掛かりを残した色んな作品。
「なんでこんなストーリーなんだ?」とか
(子供だからでもあるが)「いったい何を伝えたいのか全く不明!」とか
「こんな映画にお金払う人いる?」とか。
そんな意味合いでトラウマを残した映画についての解説集。
1960年、70年、といった古いものばかりで
紹介する作品のストーリー、映画が作られたサイドストーリー、またはこの映画にインスパイアされて後年作られた作品。
出演した俳優のその後の人生やら置かれていた状況やら、
一つの作品からも語られる内容は多岐に渡る。
「エクソシスソ」の原点となった「肉体の悪魔」
松本零士にあのメーテルを作り出させた「わが青春のマリアンヌ」
人の愚かさ・醜さ・弱さから目を逸らさず
正常と異常の垣根の脆さに不安感を与える作品、全25編。
いやぁ~~。面白かった。

2007年。東京六本木の一等地に建つ古びたコンクリートむき出しの5つのビル群。
周りの華やかさと一線を画す廃墟然とした異様な一角。
1973年に芸能人らを含めた錚々たるメンバーでオープニングレセプションを飾ったビルの成れの果てだ。
そのビルのオーナーであり、日本の戦前戦後を自分の腕力と才覚のみで成り上がって
児玉誉士夫と共に日韓の政界の裏を暗躍した男。
政治と裏社会が表裏一体で日本を動かしていた時代を走り抜けた一人の男の栄華と凋落。
国も過去があって今があるから
一度間違えた判断が生涯の傷になってしまうのは人の人生と同じなんだなぁ。
国のリーダーにはノーミスで頑張ってもらわねばっ!

「あおぞらビール」「ゆうぞらビール」を書いたあの人の本。
荒唐無稽の青春というか、大人子供のハチャメチャを愉しむ作者の東京紹介本。
勿論誰もが知ってる東京の名所巡りの筈もなく
東京に取り残された各駅停車しか止まらない様な哀愁漂う町を探検。
昭和の匂いがする純喫茶や、「なんだこりゃぁ~?」って品を置いてるお店。
役に立つとは言い難い「お宝」を手に入れ
B級な地元フードに舌鼓を打つ脱力&オモシロ観光本。
この本の町に必ず行ってみる!と決意した。(クスクス
この方があの吉永小百合の映画「ふしぎな岬の物語」の原作者。
それも読まなきゃ!

私は地理も覚えられず日本史もからきし頭に残せない。
それを誤魔化すために「地理も日本史も興味ない!」と大人げなく逃げの大見えをきっていたが
これは面白かった。頭に残った♪
『第一章 関ヶ原勝利後、なぜ家康はすぐに江戸に戻ったか』
秀吉に江戸転封命令を受けて下った関東平野はその頃平野などではなく
利根川、渡良瀬川、荒川によって作られた巨大な湿地に過ぎなかった。
が、その湿地の下に広がる肥沃な土地を手に入れたならば
莫大な富(米)を手に入れることができると判断した家康は
入り江を埋め立て、大規模な河川工事を行い川の流れを変えることに着手。
そのさなかでの先の勝利に、彼は手に入れかけた権威を確固たるものにするよりも
地元の地盤固めを優先した。
家康こそ日本史上最大の国土プランナーであった。
とか、
歌川広重の絵を芸術としてではなく当時の緻密な写真として捉え
そこにある見過ごしそうな描写から地形が歴史に与えた証拠を見つけて検証したり。
『なぜ吉原遊郭は移転したのか』
『なぜ徳川幕府は吉良家を抹殺したか』
『日本文明を生んだ奈良は、なぜ衰退したか』
とか、とか。
米を塩を手に入れることが富で力であり、
巨大な交通網が発達している今と違い人の足と馬と舟が交通の手段だった昔
人々の全てに大きく影響した当時の地形から日本の歴史を紐解く全18章。
これも面白かった♪