飲み屋のオヤジのひとりごと

金沢の居酒屋のオヤジが近江町市場のことや料理。ちょっときずいたことなどを書いていきます

カラスミ

2007-01-31 02:39:34 | 食材

市場に色々な魚が入荷してきます。
鯛・平目・鱸・柳鰆・・・お魚さんは、この時期繁殖のためにお腹の中に白子や真子(卵子)をいっぱい育てています。
仕入れした魚を卸していると大きな白子や真子が出てきます。
それを見つけるとつい「やった」と心の中で叫んでしまいます。
白子は、鱈・河豚・鯛と言ったものにはおきな価値がついてきます、その外の魚は残念ながら見向きもされません。

でも、それぞれの魚の白子は裏ごししてソースにしてしまえば全て美味なソースに仕上がります。「白子のソースです」「白子の天婦羅です」と説明してお出しするとお客様は「美味しいですね」と仰ってくださいます。
真子は・・スケソウダラの子は少し切れ目を入れて「花」にして時雨煮です。
鯛の子も、筍と若布で合わせれば「鯛の子と若竹の含め煮」といった立派なお椀物になります。
鱸の子は・・柳鰆の子は・・鰤の子は・・
皆、見向きもされずにゴミ箱行です。
河豚の子は・・これは、石川県では糠漬けに利用されますが、一般的には厳重に廃棄処理されます。

10数年前の事ですが、魚屋さんが「ボラの子が珍しく入ったんだけどどうにもしようが無いから使ってください」といって持った来てくれた事がありました。
そう言われてもこちらも如何して良いか解りません。
2日後、「ボラの子」=カラスミ
ダメでもともと、「挑戦してみるか」
初めてのカラスミ作りをしてみました。
ボラの子を塩漬けにして3日間。子が硬く締まってきたところで塩を洗い流して、真水に1日漬け置きしてその後、風通しの良いところで1~2週間。
硬く水気の抜けた処で、ホイルに包んで1ヶ月。
それなりに出来ました。そのまま放置して(忘れていたのですが)半年。
思い出して食べてみました・・・・・・・・・カラスミになっているじゃありませんか(アタリマエですが)程よく熟成して旨みもあります。

微生物の働きで見事完成です。

最近問題になっている「賞味期限」・・熟成・発酵食品にとっては、どういう意味合いをもってくるのでしょうか?
たまに、お客様から「賞味期限の切れた日本酒があってどうしようか困っています」
等と聞かれることがありますが、「日本酒には賞味期限はありません」と答えます。
「酢になっているんじゃないですか?」
「お酒に水と酢酸菌を入れれば酢になりますが、普通の状態では大丈夫です。」

F製菓さんには、ちょっと問題があったようですが、最近「食べ物」に神経質になりすぎているように思われて仕方ないのは私だけ・・・





3月中旬並みの暖かさ

2007-01-30 16:47:47 | 市場のようす

1月も後2日で終わってしまいます。
というか、1月だったことすら忘れていたように思います。
今日の金沢は、3月中旬並みの暖かさだったようです。
明日から冬型が戻るとのことですが、窓から見る空は1面青い空。
こんな、1月ははじめて迎えます。

市場には、この暖かさでしょうか「蛍烏賊」の新物が先日から顔を出してきました。
鱈の白子もそろそろ終わりです。今にも袋を破って白子が流れ出てきそうです。
「香箱蟹」は秋田からの品物が入荷していますが、2月の半ば頃まででしょうか。
天候に恵まれて、地物の甘海老が豊漁だそうです。逆に、岩のりや海藻の質がイマイチのようです。

こんな気候で、これからの「山」「里」「海」の産物はどうなってくるのか心配です。 

 


橙湯

2007-01-26 02:02:22 | 食材
今年に入って、まだ本格的な雪というものを見ていません。
日常生活にはとても便利なのですが、なんだか「つまりません」
降ればふったでグチが出てしまうのですが・・・

1月も半ばになると、我が店では恒例の「ポン酢の元」作りが行われます。
お正月を過ぎると、あの「橙」がお安くなってきます。
そこで、八百屋さんにお安くなった「橙」を、箱単位で注文します。
毎年お願いしているので八百屋さんも心得ています。
「橙入れといたけど、今日持って行っとく」
「今日は、忙しいし明日入れといて」

そんな感じで、今年は取り敢えず20kgいただきました。
グレープフルーツを絞るあの器械?で一層懸命絞ります。
今年の橙は実入りが悪かったようで、いつもほどには絞れません。
翌日あと10kg追加して、5Lの瓶に2本果汁を採ることができました。
これで今年の「ポン酢の元」が出来ました。

「これで今年を過ごせるかな・・」

本来は柚子の絞り汁なのですが、高価な上に果汁がなかなか取れません。
市販の柚子の絞り汁を使うよりもこの方がよほど美味しいものが出来ます。
冷蔵庫に入れて、ポン酢を作るときに布でこして合わせます。
1度お試しください。

残った皮は、冷凍にして時々「橙湯」として楽しんでください。
湯船に柑橘系の香りが充満して、身の心もポッカポカ
柑橘系の臭いは覚醒作用があるといいますが、湯船の中でコックリコックリ船を漕いでしまうのは私だけでしょうか・・

海藻のシャブシャブ

2007-01-19 15:02:03 | レシピ
金沢は、ここ暫く冷え込みが強くなりました。雪は降りませんが冬が実感されます。

季節的には、まだ少し早いようですが2月に入ってくると「新」海藻が市場に出始めます。
昨夜、昔からのお客様に「海藻のシャブシャブ」今やってないの・・と聞かれました。

蛍烏賊が出始めると、うちの店では「蛍烏賊のシャブシャブ」というメニューが載ります。
鰹と昆布の出汁の中にいしる(イカや鰯で造る能登特産の魚醤です。この場合は烏賊のイシルを使います。)を入れて調味します。具は、大根の千六本・ナスの輪切り・新若布や旬の海藻(特に黒モズクや岩モズクといったヌメリの強いものが1つ入った方がいいですね。)そして青海苔(あおさ)・生の蛍烏賊。
大根やナスを入れ、暫くして海藻を入れていきます。
最後に蛍烏賊を半分くらい火が入るようにしてシャブシャブします。
辺りに磯の香りが漂ってきて今にも潮騒が聞こえてくるようです。

これは、能登の「いしる鍋」のアレンジですが、このようにシンプルな調理がイシルには合うように思います。

千の風になって

2007-01-18 15:28:44 | 料理人の雑感
最近、店の有線放送から「千の風になって」の曲が流れてきます。
何度聴いても聴き飽きません。

先ほど、ある方のブログから倉元真弓さんのブログにたどり着きました。http://black.ap.teacup.com/lwjd/213.html
ちょっと詩を拝借します。
♪私のお墓の前で 泣かないで下さい
 そこに私はいません 眠ってなんかいません
 千の風に 千の風になって 
 あの大きな空を吹き渡っています

 秋には光になって 畑に降り注ぐ
 冬はダイヤのような きらめく雪になり
 朝は鳥になって あなたを目覚めさせる
 夜は星になって あなたを見守る

 私のお墓の前で 泣かないで下さい
 そこに私はいません 死んでなんかいません
 千の風に 千の風になって 
 あの大きな空を吹き渡っています

 千の風に 千の風になって 
 あの大きな空を吹き渡っています

 あの大きな空を吹き渡っています

原作者は、メアリー・フライというアメリカの女性のようです。
ヒットラー政権下に残してきた、年老いた母親を想い神経を患った友人のために、メアリーが、贈った詩だそうです。
日本語訳詩は、新井 満さんという方です。