市場に色々な魚が入荷してきます。
鯛・平目・鱸・柳鰆・・・お魚さんは、この時期繁殖のためにお腹の中に白子や真子(卵子)をいっぱい育てています。
仕入れした魚を卸していると大きな白子や真子が出てきます。
それを見つけるとつい「やった」と心の中で叫んでしまいます。
白子は、鱈・河豚・鯛と言ったものにはおきな価値がついてきます、その外の魚は残念ながら見向きもされません。
でも、それぞれの魚の白子は裏ごししてソースにしてしまえば全て美味なソースに仕上がります。「白子のソースです」「白子の天婦羅です」と説明してお出しするとお客様は「美味しいですね」と仰ってくださいます。
真子は・・スケソウダラの子は少し切れ目を入れて「花」にして時雨煮です。
鯛の子も、筍と若布で合わせれば「鯛の子と若竹の含め煮」といった立派なお椀物になります。
鱸の子は・・柳鰆の子は・・鰤の子は・・
皆、見向きもされずにゴミ箱行です。
河豚の子は・・これは、石川県では糠漬けに利用されますが、一般的には厳重に廃棄処理されます。
10数年前の事ですが、魚屋さんが「ボラの子が珍しく入ったんだけどどうにもしようが無いから使ってください」といって持った来てくれた事がありました。
そう言われてもこちらも如何して良いか解りません。
2日後、「ボラの子」=カラスミ
ダメでもともと、「挑戦してみるか」
初めてのカラスミ作りをしてみました。
ボラの子を塩漬けにして3日間。子が硬く締まってきたところで塩を洗い流して、真水に1日漬け置きしてその後、風通しの良いところで1~2週間。
硬く水気の抜けた処で、ホイルに包んで1ヶ月。
それなりに出来ました。そのまま放置して(忘れていたのですが)半年。
思い出して食べてみました・・・・・・・・・カラスミになっているじゃありませんか(アタリマエですが)程よく熟成して旨みもあります。
微生物の働きで見事完成です。
最近問題になっている「賞味期限」・・熟成・発酵食品にとっては、どういう意味合いをもってくるのでしょうか?
たまに、お客様から「賞味期限の切れた日本酒があってどうしようか困っています」
等と聞かれることがありますが、「日本酒には賞味期限はありません」と答えます。
「酢になっているんじゃないですか?」
「お酒に水と酢酸菌を入れれば酢になりますが、普通の状態では大丈夫です。」
F製菓さんには、ちょっと問題があったようですが、最近「食べ物」に神経質になりすぎているように思われて仕方ないのは私だけ・・・
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