上高地 ① 🏞20年ぶりの上高地・大正池から田代池を経由して中ノ瀬園地まで・・・

上高地へマイカーの乗り入れが出来た頃には、カラマツの芽吹く季節やカラマツの黄葉の季節を含めて何度か訪れています。現在の釜トンネルは新しくなって走り良くなっていますが、当時の釜トンネルは、信号による交互通行で、トンネルの中は狭く、カーブした勾配のきつい坂を上がるという難所でした。15分近い信号待ちの間に、地元タクシーの運転手さんから、このトンネルはギヤを一段落して走り抜けた方が良いとのアドバイスを受けたことが思い出されます。平成8年 (1996年) に実施されたマイカー全面乗り入れ禁止後は、平成12年 (2000年) 5月中旬に沢渡 (さわんど) に車を置いて、乗り合いタクシーで上高地へ入ったのが最後でした。あの美しい風景が脳裏に焼き付いているせいか、そんなにも年数が経っているとは思っていなかったのですが、20年近くも遠ざかっていたようです。この日は朝８時過ぎに沢渡に着いたにもかかわらず、周辺にいくつかある駐車場はいずれも満車です。少し先の「山小屋ともしび」に駐車します。運良くタクシーの客待ちがあり、同じ時間帯に着いた人たちと９人乗りの乗り合いタクシーで大正池に向かいます。30分も経ずして大正池に到着です。意外と知られていないのが、人数が揃えば乗り合いタクシーの方がシャトルバスより割安で早く着くということです。大正池から計画していたコースを歩き始めます。天気はこれ以上は望めないほどの好天です。

大正池
大正４年６月６日に起きた、焼岳の噴火によって生じた火山泥流によって、梓川がせき止められて出来た「せき止め湖」です。梓川や周囲の沢から流れ込む土砂によって、今も埋まり続けています。これをくい止めるべく、晩秋から浚渫船を大正池に浮かべ、土砂の除去が行われています。大正池のシンボルともいうべき枯れ木も、今はほとんどなくなってきています。大正池が大正池でなくなってきているような印象を強く受けました。
井上靖さんが小説の中で「大正池の水は少し涸れた感じで、水中に何十本かの枯木を立てたまま、小皺ひとつ見せないで 静まり返っていた。」と描写した風景は今はない。


大正池から眺める穂高の山々です。池畔には多くの人の姿があります。








焼岳
焼岳 (2.455m) は今なお噴気活動を続ける活火山で、約2.300年前のマグマ噴火により現在のような山体となりました。このようなドーム型の火山を一般に鐘状火山 (トロイデ) といいます。最近では、昭和37 (1962) 年6月に水蒸気爆発があり、泥流が大正池まで押し出しました。


大正池を後にして田代池・河童橋方面へ向かいます。




梓川河原から眺めた焼岳です。


田代池と田代湿原
大正池から歩くこと約１km。途中で梓川河原に下りて水の冷たさに触れたり、田代橋の上から穂高の山々を眺めたりしながら田代湿原・田代池にやってきました。


田代湿原








熊目撃情報が出されています。上高地には、ツキノワグマの他に、ニホンザル、ニホンカモシカ、オコジョ、ヤマネ、ヒミズ、ニホンリス、アナグマ、ノウサギ、テン、キツネ、タヌキ、ヒメネズミなど、約30種類の哺乳類が確認されているということです。


田代池




梓川(あずさがわ)
真夏でも水温が10℃以下という冷たさの梓川は、源流を槍ヶ岳とし急流を流れ下り、上高地付近で一旦緩やかな勾配で蛇行しながら流れ、釜トンネルからは急勾配になり、梓川渓谷のV字谷を下ります。松本盆地で木曽からの奈良井川と合流し、犀川 (さいがわ) となって安曇野を流れ、千曲川、信濃川と名前を変え、日本海に注が込みます。(上高地散策ガイドから)






田代橋から見た穂高連峰