Kayaとののんびり生活 どいちゅらんど 

人生の半分ちかくになったドイツ生活のブログです。

忘れないために。つまずきの石のプロジェクト

2014-11-09 | ひとりごと

11月9日はドイツにとって忘れられない日です。

1989年には、東西ドイツを分けていた壁が解放され、
1938年には反ユダヤ主義暴動である水晶の夜が起こりました。

今年は、壁がなくなって25年という節目の年であったので
テレビでも、当時の国境警備員の人を主人公にしたドラマが放映され、
ベルリンでは大きな式典が催されました。

そして私は、今年も近所のシナゴーグがあった場所で
毎年行われる追悼行事に行ってきました。

近所に最近できた、ツーリストインフォメーションで見つけて購入した、
この地域に住んでいたユダヤ人の人たちのことに
ついて書かれた本を読んでいたという事もあり、今年も興味深い内容でした。

ドイツで暮らすようになりいつ頃からか、
道を歩いていたら、道に埋め込まれている
10cm×10cmの真鍮プレートが目につくようになりました。


Stolpersteine(つまずきの石)というプロジェクトです。



 

 

 



ベルリン出身の芸術家デムニッヒ氏がナチスの犠牲になった
ユダヤ人、反体制活動家、同性愛者、ロマといった人々のことを
忘れないという意味を込めて自分の意志で選んだ住居(最後の住居)の前に
名前、生れた年、死亡年とその場所を
手彫りで彫った真鍮プレートの石を埋め込んでいるのです。

彼が今まで埋め込んだのはドイツの都市だけではなく、
オーストリア、ベルギー、フランス、イタリア、クロアチア、ルクセンブルク、オランダ、
ノルウェー、ポーランド、ロシア、スイス、スロバキア、チェコ、ウクライナ、ハンガリー
ヨーロッパの1100ヶ所46000個のつまずきの石があり、
今年は初めてルーマニアにも埋め込まれたそうです。


デムニッヒ氏によると、
つまずきの石を目にした人が、「これは何だろう?」っと屈み込む姿、
それが犠牲者へ頭をたれることの象徴にもなり、
人は名前を忘れられてはじめて、その人間が忘れられてしまう。と言っています。

過去の事を忘れられないようというのは、とっても大事なことだと思います。
日常生活のなかで、ふと歩いていて道にはめ込まれたプレートを目にして
そこを強制的に退去させられたその人の事を考えてみる・・・。

今年、この町にも2つ新しいプレートが埋め込まれました。
学校からの寄付だそうです。
このプロジェクとは寄付で運営されていると新聞に書かれていました。
こういう、ドイツの過去との向き合い方は本当にいつも感心させられます。


2 コメント

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Unknown (はいでぃ)
2014-11-11 16:59:19
この記事を拝見して、疑問だったことがつながりました。
どうして壁が壊れた11月9日をドイツ再統一の日にしなかったのかと疑問に思っていたのです。
クリスタルナハトについても学校で習ったのに、日にちまで覚えてなくてつながりませんでした。

うちの近所にもこのプレートがあります。
これについても簡単にユダヤ人の名前を記してあるという事だけ知っていて、踏まないように気をつける程度でしたが、また違う思いで見られます。
ありがとうございました。
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はいでぃさん (kastsurakaya)
2014-11-11 17:45:21
私も同じ日という事は最近知ったのです。
クリスタルナハトのことは覚えていたのですが、壁が壊れた日の日時がはっきりしていなかったのです。

近所にもこのプレートあるんですね。
どうやら、バイエルン州はこのプレートを埋め込むことを認めていないとか。。。そう、そこで暮らしていた人の事をほんの少し考えてみる・・・良いプロジェクトだと思っています。
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