孔子は五経のほとんどをつくった。
しかし、孔子は、それは自分のオリジナリティなのではなく、昔のいい時代のものを集めたのですよ、と言っている。
それが「述べて作らず」である。
そして「信じて古を好む」とは、周とか堯舜といった昔のいい話を信じて、古の時代を好んだということである。
現代はとかくオリジナリティ重視で、「述べて作らず」はあまり重んじられない。
しかし、「述べて作らず」が一つの大きな文化をつくる源になったことは明らかである。
儒教文化とは、述べて作らない文化だったのである。
一方、オリジナリティは近代の突進力につながった。
だから一概に悪いとは言えないが、今はいささか「作って述べず」になりすぎているように思うのである。
孔子の言う「述べて作らず」という精神には、オリジナリティ万能の時代であっても考えるべき要素が大いに含まれていると私は思っている。
:渡部昇一編 「四書五経一日一言」より
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