カイロからマドリードまで夢がゆく

エジプトで働きつつスペインのMBAで学び
卒業後は日本で働いています

IE Global MBAでえられる人脈

2017年02月28日 | IE Business School
IE Global MBA(Financial TimesのオンラインMBA部門で3年連続世界一位となっているMBAプログラム)のご紹介をしているこのブログ。

そういえば僕がIEに行く前に一番気になっていたのが「人脈」でした。

IE Global MBA(「GMBA」)はIE International MBA(「IMBA」)と呼ばれるフルタイムMBA(マドリードに滞在して毎日授業を受けに学校に行く一般的なMBAスタイル)と異なり、マドリードで同級生とFace to faceで顔を合わせるのはプログラムの初めと最後のみです。(※)

したがって、GMBAは、IMBAに比べて人脈形成という面で、少しハードルがあるかな、と行く前には感じていました。
特に、IE MBA卒業生の日本人人脈の形成が、IMBAに比してGMBAは日本人の絶対数が少ないことから、GMBAは不利かな、と心配でした。

しかし、卒業して半年ほど経った今思うのは、実際には人脈形成において、GMBAで不都合なことなどほとんどない。
むしろ、オンラインMBAのほうが、(時間的)費用対効果の高い、人脈形成ができると思います。
(先日ご紹介した本田直之氏の言葉を借りれば、「レバレッジのかかった」人脈形成と言えましょうか。)

これは、昨日僕が参加した、IE Alumni Receptionの場でも、改めて実感したものです。
昨日は、日本にIEの新学長が来る機会をとらえて、日本在住のIE卒業生、IE在校生、IEキャンディデートの人に声がかけられ、2時間強のイベントが開催されました。
そこではGMBAもIMBAも関係なく人々が交流し、とても興味深いチャレンジをしている、魅力的なAlumniと交流することができました。
GMBAでは、通学中、他学年のGMBA生と交流する機会はほとんどないのですが、昨晩はGMBAのOB、及び現役生と会うこともできました。

新学長が言っていたのですが、IEとしても、IE Alumniのさらなる交流機会の創出を狙っているということで、こうしたイベントも多く開催されるようです。

したがって、今後GMBAを検討されている方は、人脈形成の機会はIMBAと同様にあるので、その点は心配せず応募されてください!

もちろん、GMBA同窓生間も、毎日Whatsappで情報交換をし、誰かが他の国に行くときにはその国に在住している同窓生と積極的に飯に行くなど、卒業後も関係は続いてますよ!


(※)昨日IE Alumni Receptionでお会いした現在GMBAに通われている日本人の方によれば、最新のプログラムは、1年前のものに比べて生徒数は倍以上(約120名)になり、プログラム期間中にマドリードに行く回数も3回になっているようです。現役GMBA生の方、ぜひぜひ当ブログに最新情報をお寄せください!当ブログ内で掲載させていただきます。


「レバレッジ・マネジメント」本田直之

2017年02月23日 | 書籍紹介
久々に、最近読んだ書籍のご紹介。

「レバレッジ・マネジメント」
本田直之著
【Kindle版あり】←これ重要

レバレッジ・マネジメント―少ない労力で大きな成果をあげる経営戦略』
クリエーター情報なし
東洋経済新報社


この本のいいところは、読者のターゲットがズバリ明確なところだ。
それはすなわち、会社の経営者。
どちらかというと、ベンチャー企業の経営者を想定しているようだ。

これほどまでに経営者「のみ」にターゲットを絞った書籍もそうそうないだろう。
そういう意味で、僕が今知りたかった視点を、直球で紹介してくれる書籍だった。満足。

本書は、「レバレッジをかける(長期的に、少ないコストで大きな成果を得る、といったニュアンス)」というキーワードで貫きつつ、経営者が心がけるべき「視点」「姿勢」を羅列しているものだ。その数、計68項目!
各項目は見開き2ページ程度でコンパクトにポイントがまとまっており、テンポよく読み進めることができる。

書かれている内容は、本田氏が経営者として心がけ、日々実践しているのだろうと感じさせる、「具体性」を持っている。
なんとなく、一緒に飲みに行って、先輩経営者たる本田氏にアドバイスをもらっているような気分で読み進められる。

68項目のポイントは、経営者が日々心がけるべき事項なので、ご親切にも、全項目を質問形式で羅列した「チェックリスト」も巻末に付してくれている。
また、本書の要所要所で参照されている経営指南書の紹介も、巻末にまとめて付されている。
全て本田氏の紹介文付きだ。

本書を通じて、東京とハワイのデュアルライフを送っている(本書は2009年のものなので、送っていた、かもしれないが。)という本田氏の、自身のブランディング術と、それを活用し複数社の経営に関与するというビジネスモデルを、垣間見せてもらえた気がした。
この書籍は「レバレッジシリーズ」という書籍群の一つで、これはよく売れたシリーズのようなので、本書も彼のブランディングを支えるビジネス要素の一環と考えて間違いない。
本書もなかなかのお値段がする。

冒頭に書いたとおり、本書は僕が今まさに知りたかった、本田氏のビジネスへの関与姿勢、自身のブランディングとそれを活かしたライフスタイルの構築方法を教えてくれたという点で、とても有意義であった。

短時間でテンポよく読めたという点もよかった。



ネタニヤフとトランプの会談、あの日見た分離壁

2017年02月16日 | カイロなう
日本時間2月16日(木)未明、米国トランプ大統領と、イスラエル・ネタニヤフ首相がワシントンで会談するようだ。
あと数時間後だろう。

そのニュースを見ていて、様々な感情、感傷が渦巻いた。
僕は社会人になってから7年半ほど、一貫して中東地域に関わってきた。
7年半、イスラエル-パレスチナ問題は、振り返るとそこに息を潜めているように、中東地域の時間のそこかしこで、常に存在を確認させられてきたからだ。

広く報道されているとおり、トランプは大統領選挙中に、エルサレムをイスラエルの首都と認め、エルサレムに米国大使館を移すと公約している。

この報道を目にするたび、いつも、ヨルダン川西岸、エルサレム、イスラエルを訪れた23歳のときの衝撃を思い出す。
その衝撃の原因は、高く人々の前にそびえたち、威圧し、無力感を植え付けている、分離壁だ。
あれほどまでに明確に、人々(この場合、ヨルダン川西岸地区に居住する人)への拒否、否定を示す建造物はそうそうないだろう。
分離壁の向こう側はきれいに舗装された道路が走る、先進国の風景。
そして分離壁のこちら側は、ぼろぼろのインフラしかない、すすけた途上国の風景。

壁のおかげで自爆テロ犯の侵入を防げる、というイスラエル側の主張も一定程度理解できる。
(それでもパレスチナ西岸地区との停戦ラインを侵食して建設している点は、まったく合理的でないが。)
しかし、あの壁の存在感は、それ以上の攻撃的メッセージを確実に発している。
どんなに合理的な理由があろうと、こんな建造物を建設する国に、好感が持てるはずがない。

そしてエルサレム。
街並みを最初に遠景でみたとき、明らかにこの街を包む空気は、ほかの場所とは異なると感じた。
当時、パワースポットという言葉が流行り始めたころだったと思うが、ここがパワースポットだと断言できるほどのエネルギーを感じた。
世界三大宗教が、この街を聖地として、にらみ合っている街。

この街を首都とする。
イスラエル側もパレスチナ側もそう希望している。
この街は、両者の熱情、欲望が最も先鋭的に現れる象徴だ。


そんなエルサレムをイスラエルの首都と認め、米国大使館の移設まで認めると公言する人が米国の大統領となった世界。

僕は、明らかに混乱している。
あと数時間後に、会談は終了し、結果が世界中に報道されるだろう。
報道される前と後では、僕の心のありようは全く異なるだろうから、今感じることをここに書いておきたい。

おそらくないと思うが、もし仮にトランプが米国大統領として、大使館の移設を再度約束したら、エジプト、サウジ、ヨルダンは、極めて難しい選択を迫られることになるだろう。
しかし、それはありえなくもない。
そう、ありえなくもないのだ。これまでありえないと切り捨ててきたのに。

数か月前までは、それは「考えられすらしない」問題だった。
トランプの公約のおかげで、自分がいかに思考停止に陥っていたのか、思い知らされた。

トランプはしかし、極めて危険なゲームに参加したと思う。
このゲームにトランプを追い込んだのは何なのか。
娘婿がユダヤ人だからとか、ユダヤ勢力からの献金が多かったから、などとメディアは真犯人を想像するが、そんなことで、これほどまでに危険なゲームに、大富豪で米国の大統領にまで上りつめる能力のある人物が参加するのだろか。
まったく割に合わない。

いやしかし、このトランプの行動は、これを「危険な賭け」だと感じることさえ、おまえは思考停止に陥っているのではないか、と僕をあざ笑っているようにも感じる。
実は大山鳴動して鼠一匹、といった結果に終わるのかもしれない。

こんな不確実性が増している世の中が、すこしエキサイティングであるとすら感じる。

IE Global MBAには、中東のイスラム諸国出身の同級生はたくさんいたし、イスラエル人で敬虔なユダヤ教徒もいた。
7年半の中東における仕事を通じて、様々なムスリムに出会った。
この状況をエキサイティングなどと言おうものなら、そんな人々に張り倒され、ボコボコにされるだろう。

しかし僕が言いたいのは、パレスチナ問題が混乱の渦の中に引きずり込まれていくことがエキサイティングだと言っているのではない。
これまで、すべての考え方の前提としてとらえてきたものが、ガラガラと音を立てて目の前で崩れていくことについて言っているのだ。
そしてその崩れた先に、新しい未来が待っているのではないかと期待しているのだ。

誤解のないように言えば、僕の立場は、パレスチナ問題がいつか解決し、あの忌まわしい分離壁がガラガラと音を立てて崩されることである。
ベルリンの壁が壊された時も、その時代を目の当たりにした人は、同じような混乱と期待とを持っていたのではないだろうか。