
今回の記事は『REC/レック3 ジェネシス』(2012年、監督:パコ・プラサ)です。
謎の感染者に襲われる人々の恐怖を全編POV(主観映像)で捉えて話題となったスペイン製ホラー映画の第3弾。
…ですが、今作はPOVは序盤だけなので割りと普通っぽいホラー映画かもしれない。
■内容紹介 ※goo映画より
結婚式の日を迎えたコルドとクララは、バルセロナの式場で人生最高の日を迎えていた。
しかし、犬に噛まれたというペペ叔父さんの様子が披露宴の最中におかしくなり、妻の首を噛み切ってしまう!
そして同じ症状の感染者たちが会場になだれ込み、会場は阿鼻叫喚の巷と化した。
襲い来る感染者の中を逃げるうち、コルドはクララとはぐれてしまう。
一度は教会に逃げ込んだものの、クララを救うため、コルドは感染者のいる式場に舞い戻る。
この日、私は幸せになるはずだった――。



■感想
ホラー映画としてたぶん良く出来た映画だと思う。
けれど残念ながらRECっぽくはなくなってしまった。割りと普通のホラーになってしまった印象です。怖さもそれほど怖くない。
序盤の結婚祝賀会のシーンは登場人物自身がカメラで撮影している主観映像で進むため、いかにもRECっぽい。
けれどかなり早い段階でそのカメラによる主観映像は放棄され、第三視点の普通の映像に変わってしまいます。
RECシリーズというと、POV(主観映像)により撮られた映像で進む展開、そして前2作に共通して登場する女性アンヘラの存在、カメラマン=パブロ・ロッソも登場人物として出ている(撮影者のため映像には映らない)…辺りかなと個人的には思っています。しかし今作にはそのどれもが無くなってしまっています。(POVは序盤のみ活きてますが)やっぱりそれは残念。
一番RECシリーズの主人公っぽい印象があるのがプロ・カメラマンのアトゥンであり、その次がハンディカメラで撮影していた青年。けど実は違っていて、新婦のクララと新郎のコルドがこの映画においては主人公扱いだった。
プロ・カメラマンのアトゥンが早々に主要パーティーから外れてしまうのは痛い。パブロ・ロッソが出演していないのもちょっと残念。(今回パブロ・ロッソは撮影のみで、登場人物ではない)
映画が謳っている文句も純愛ということなので、今までの作品とはそもそも理念が違うのかもしれない。
しかし残虐描写は過去最高レベル! チェンソーのシーンなどはグロ過ぎスプラッター過ぎというぐらい過激。
(ただあんなに簡単に人間がチェンソーでスパスパ切れてしまうのは不自然ではないか?とか少し思う)
新郎のコルドと新婦のクララの視点という2つのサイドで物語が展開していく構成は面白かった。2つのサイドの物語が最終的に繋がるのはベタだけどやはり面白い。
またRECには珍しく救いのある終わり方になるのかなと思った。けど、やはりそんな優しいものこのシリーズにはない。ラストシーンのセリフもなく迎える終わり方はとにかく切なくて、悲しい余韻を残す。やっぱり人って言葉以上に表情、特に目が語る。
映像はけっこう良い気がする。さすがはパブロ・ロッソ。ただグロいシーンも驚くほど多いけども…。
毎回思うのだけど、感染する悪魔って斬新すぎる。また彼等には神父が有効という新事実も今作で発覚。もし続編が作られるのなら神父はひとつのキーワードになるのかもしれませんね。
ホラー映画における霊能者ってだいたいが偽者か、奴らの方が一枚上手だったぜ。グフっ…となり無力なことが多いものだから、神父が頼りになるというのはある意味で斬新かも。
タイトルに3と堂々と付けていますが、別に前作2の続きを描いた物語ではなかった。前作のラストである種のキー人物となっていまいそうな不吉な印象を残したアンヘラも出てきません。
映画の設定説明によると、3はこれまでのRECシリーズの同時刻の別の場所での惨劇を描いた話らしい。
それとタイトルにジェネシス(創世記)とつけてることを鑑みると、時系列としては
3(ジェネシス)<=1<2
なのかもしれませんね。なら「RECゼロ ジェネシス」とかでもよかったんじゃない。とか思ってしまいますが、こんな意見はどうでもいいです。
重要なのはこのレックシリーズ、次回作製作が予定されているという点。タイトルは『REC/レック4 アポカリプス』。どう考えてもバイオハザードを意識しているとしか思えない。
ぜひ4では2のその後をPOVで描き、アンヘラにもパブロ・ロッソにも再登場してもらいたいなと思う。
(カメラマン=登場人物としてのパブロ・ロッソは、パブロもロッソも死亡してしまっているため、後者は望み薄かも)
レックシリーズはけっこう好きなので楽しみではあります。
なおこのシリーズは、ショッキング&スプラッターが苦手な人は観ちゃいけません。特に2以降は。
1ラストの怖さはいまだにトラウマものです。
和製ホラーはしっとり。
ハリウッドホラーは派手。
スペインホラーはハイテンションかつどこか陽気。
RECはホラーが好きな方、ホラーは苦手だけど怖いもの見たさはある方ならチェックしてみるのも悪くないシリーズです。
■登場人物ちょいメモ
クララ(レティシア・ドレラ)
…新婦。コルドと結ばれ、結婚式では皆から祝福され幸せいっぱいになるはずだったが、その結婚式場はまさかの惨劇の舞台となってしまった悲劇のヒロイン。
前作までのヒロイン・アンヘラはショッキングな恐怖に冷静さを失い理性を崩壊させていったが、彼女は吹っ切れて、チェンソー片手に戦う度胸を見せる。
これだけ幸せを渇望していた彼女だからこそ、ラストの切なさは尋常じゃない。
コルド(ディエゴ・マルティン)
…新郎。惨劇の後、はぐれてしまったクララの生存を信じ、必死に探す過程で、こんな事態にカメラなんて回すな!とカメラをぶち壊し、このシリーズの売りのPOVを早くに放棄させた張本人。まぁ言い分は真っ当です。
危険な事態にも臆することなくクララのために命を張る勇敢なもうひとりの主人公。
アドリアン(アレックス・モネール)
…コルドの従兄弟。コルドの結婚式にハンディカメラ片手に参戦した陽気な青年。ビデオカメラには興味があるらしく、本格的に撮影を行なっているプロカメラマン・アトゥンに憧れる。
映画は彼の視点(=撮影映像)で始めるため、彼が主人公だと思わせるが、あっという間にその座をコルドに譲ってしまう。その死もあまりにも早く…。
「兄さん、僕のことをもっと心配してくれても…」
ティータ
…クララの妹。惨劇の後、クララとは分断され、コルドたちと行動を共にする。けどまぁ、やっぱりあっけなく…。
「姉さん、私のことも心配してくれても…」
アトゥン
…プロのカメラマン。本格的な装備で結婚式の様子の撮影を行なっていた。惨劇に巻き込まれた後はコルドたちと行動を共にする。
衝撃的な事態にも冷静さを失わず、取り乱したりもしない頼りになる存在。が、その大きな体型が災いし悲劇をもたらす。最期まで自身の信念を胸に抗った形跡があり切ない。
ぺぺ叔父さん
…犬に噛まれ様子がおかしくなったコルドの叔父。最近は難聴気味。
本来はとても陽気な叔父さんとのことだが、この映画ではいい印象は全く無し。あんたさえいなければREC初のハッピーエンドだったかもしれないのに…。
ジェネシスと題する作品の最初の感染者なので、もしかしたら第一感染者なのかも。…え、犬なの? 悪魔の感染源。
ラファ(イスマエル・マルティネス)
…惨劇に気づかず、ナタリーとイチャついていたバカップルの男。クララの話しぶりからして、おそらく彼女の友人。
コルドたち一行に比べて戦力的に不安が多いクララたちの中では頼れる存在となる…はずだったが、チェンソー片手に戦い始めたクララを前にして若干引く。
なんて酷い書き様ですが、映画の登場人物としては比較的良い役です。
ナタリー(クレア・バシェット)
…クララパートの逃避行のメンバー。ラファと共に途中参戦。心の準備も伴わないまま惨劇に巻き込まれた可哀想な人。
神父
…惨劇後、クララと行動を共にした神父。超頼りない存在だったのだが、意外なほどの活躍を見せる。
ゾンビ(悪魔に感染したもの限定)には私の祈りが効くのです。私が動きを止めます。今のうちにお逃げなさい。
男を見せる格好良い神父。
けど耳が遠いものには効果が薄いという不測の事態は彼にも読み切れなかった…。アーメン。
ゾンビ(悪魔の感染者たち)
…感染すると理性を失い、人に襲いかかる。体が腐敗しているわけではないため動きは早い。
しかし伝染る悪魔って何なのだろう?
■予告編
※字幕なしオリジナル版。日本版はナレーションが余計なので。
(★は最高で5つです。★:1pt, ☆:0.5pt)
■Link
+⇒公式HP(※消失)
+⇒REC/レック3 ジェネシス - goo 映画
+⇒2012年映画レビュー記事一覧
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謎の感染者に襲われる人々の恐怖を全編POV(主観映像)で捉えて話題となったスペイン製ホラー映画の第3弾。
…ですが、今作はPOVは序盤だけなので割りと普通っぽいホラー映画かもしれない。
■内容紹介 ※goo映画より
結婚式の日を迎えたコルドとクララは、バルセロナの式場で人生最高の日を迎えていた。
しかし、犬に噛まれたというペペ叔父さんの様子が披露宴の最中におかしくなり、妻の首を噛み切ってしまう!
そして同じ症状の感染者たちが会場になだれ込み、会場は阿鼻叫喚の巷と化した。
襲い来る感染者の中を逃げるうち、コルドはクララとはぐれてしまう。
一度は教会に逃げ込んだものの、クララを救うため、コルドは感染者のいる式場に舞い戻る。
この日、私は幸せになるはずだった――。



■感想
ホラー映画としてたぶん良く出来た映画だと思う。
けれど残念ながらRECっぽくはなくなってしまった。割りと普通のホラーになってしまった印象です。怖さもそれほど怖くない。
序盤の結婚祝賀会のシーンは登場人物自身がカメラで撮影している主観映像で進むため、いかにもRECっぽい。
けれどかなり早い段階でそのカメラによる主観映像は放棄され、第三視点の普通の映像に変わってしまいます。
RECシリーズというと、POV(主観映像)により撮られた映像で進む展開、そして前2作に共通して登場する女性アンヘラの存在、カメラマン=パブロ・ロッソも登場人物として出ている(撮影者のため映像には映らない)…辺りかなと個人的には思っています。しかし今作にはそのどれもが無くなってしまっています。(POVは序盤のみ活きてますが)やっぱりそれは残念。
一番RECシリーズの主人公っぽい印象があるのがプロ・カメラマンのアトゥンであり、その次がハンディカメラで撮影していた青年。けど実は違っていて、新婦のクララと新郎のコルドがこの映画においては主人公扱いだった。
プロ・カメラマンのアトゥンが早々に主要パーティーから外れてしまうのは痛い。パブロ・ロッソが出演していないのもちょっと残念。(今回パブロ・ロッソは撮影のみで、登場人物ではない)
映画が謳っている文句も純愛ということなので、今までの作品とはそもそも理念が違うのかもしれない。
しかし残虐描写は過去最高レベル! チェンソーのシーンなどはグロ過ぎスプラッター過ぎというぐらい過激。
(ただあんなに簡単に人間がチェンソーでスパスパ切れてしまうのは不自然ではないか?とか少し思う)
新郎のコルドと新婦のクララの視点という2つのサイドで物語が展開していく構成は面白かった。2つのサイドの物語が最終的に繋がるのはベタだけどやはり面白い。
またRECには珍しく救いのある終わり方になるのかなと思った。けど、やはりそんな優しいものこのシリーズにはない。ラストシーンのセリフもなく迎える終わり方はとにかく切なくて、悲しい余韻を残す。やっぱり人って言葉以上に表情、特に目が語る。
映像はけっこう良い気がする。さすがはパブロ・ロッソ。ただグロいシーンも驚くほど多いけども…。
毎回思うのだけど、感染する悪魔って斬新すぎる。また彼等には神父が有効という新事実も今作で発覚。もし続編が作られるのなら神父はひとつのキーワードになるのかもしれませんね。
ホラー映画における霊能者ってだいたいが偽者か、奴らの方が一枚上手だったぜ。グフっ…となり無力なことが多いものだから、神父が頼りになるというのはある意味で斬新かも。
タイトルに3と堂々と付けていますが、別に前作2の続きを描いた物語ではなかった。前作のラストである種のキー人物となっていまいそうな不吉な印象を残したアンヘラも出てきません。
映画の設定説明によると、3はこれまでのRECシリーズの同時刻の別の場所での惨劇を描いた話らしい。
それとタイトルにジェネシス(創世記)とつけてることを鑑みると、時系列としては
3(ジェネシス)<=1<2
なのかもしれませんね。なら「RECゼロ ジェネシス」とかでもよかったんじゃない。とか思ってしまいますが、こんな意見はどうでもいいです。
重要なのはこのレックシリーズ、次回作製作が予定されているという点。タイトルは『REC/レック4 アポカリプス』。どう考えてもバイオハザードを意識しているとしか思えない。
ぜひ4では2のその後をPOVで描き、アンヘラにもパブロ・ロッソにも再登場してもらいたいなと思う。
(カメラマン=登場人物としてのパブロ・ロッソは、パブロもロッソも死亡してしまっているため、後者は望み薄かも)
レックシリーズはけっこう好きなので楽しみではあります。
なおこのシリーズは、ショッキング&スプラッターが苦手な人は観ちゃいけません。特に2以降は。
1ラストの怖さはいまだにトラウマものです。
和製ホラーはしっとり。
ハリウッドホラーは派手。
スペインホラーはハイテンションかつどこか陽気。
RECはホラーが好きな方、ホラーは苦手だけど怖いもの見たさはある方ならチェックしてみるのも悪くないシリーズです。
■登場人物ちょいメモ
クララ(レティシア・ドレラ)
…新婦。コルドと結ばれ、結婚式では皆から祝福され幸せいっぱいになるはずだったが、その結婚式場はまさかの惨劇の舞台となってしまった悲劇のヒロイン。
前作までのヒロイン・アンヘラはショッキングな恐怖に冷静さを失い理性を崩壊させていったが、彼女は吹っ切れて、チェンソー片手に戦う度胸を見せる。
これだけ幸せを渇望していた彼女だからこそ、ラストの切なさは尋常じゃない。
コルド(ディエゴ・マルティン)
…新郎。惨劇の後、はぐれてしまったクララの生存を信じ、必死に探す過程で、こんな事態にカメラなんて回すな!とカメラをぶち壊し、このシリーズの売りのPOVを早くに放棄させた張本人。まぁ言い分は真っ当です。
危険な事態にも臆することなくクララのために命を張る勇敢なもうひとりの主人公。
アドリアン(アレックス・モネール)
…コルドの従兄弟。コルドの結婚式にハンディカメラ片手に参戦した陽気な青年。ビデオカメラには興味があるらしく、本格的に撮影を行なっているプロカメラマン・アトゥンに憧れる。
映画は彼の視点(=撮影映像)で始めるため、彼が主人公だと思わせるが、あっという間にその座をコルドに譲ってしまう。その死もあまりにも早く…。
「兄さん、僕のことをもっと心配してくれても…」
ティータ
…クララの妹。惨劇の後、クララとは分断され、コルドたちと行動を共にする。けどまぁ、やっぱりあっけなく…。
「姉さん、私のことも心配してくれても…」
アトゥン
…プロのカメラマン。本格的な装備で結婚式の様子の撮影を行なっていた。惨劇に巻き込まれた後はコルドたちと行動を共にする。
衝撃的な事態にも冷静さを失わず、取り乱したりもしない頼りになる存在。が、その大きな体型が災いし悲劇をもたらす。最期まで自身の信念を胸に抗った形跡があり切ない。
ぺぺ叔父さん
…犬に噛まれ様子がおかしくなったコルドの叔父。最近は難聴気味。
本来はとても陽気な叔父さんとのことだが、この映画ではいい印象は全く無し。あんたさえいなければREC初のハッピーエンドだったかもしれないのに…。
ジェネシスと題する作品の最初の感染者なので、もしかしたら第一感染者なのかも。…え、犬なの? 悪魔の感染源。
ラファ(イスマエル・マルティネス)
…惨劇に気づかず、ナタリーとイチャついていた
コルドたち一行に比べて戦力的に不安が多いクララたちの中では頼れる存在となる…はずだったが、チェンソー片手に戦い始めたクララを前にして若干引く。
なんて酷い書き様ですが、映画の登場人物としては比較的良い役です。
ナタリー(クレア・バシェット)
…クララパートの逃避行のメンバー。ラファと共に途中参戦。心の準備も伴わないまま惨劇に巻き込まれた可哀想な人。
神父
…惨劇後、クララと行動を共にした神父。超頼りない存在だったのだが、意外なほどの活躍を見せる。
ゾンビ(悪魔に感染したもの限定)には私の祈りが効くのです。私が動きを止めます。今のうちにお逃げなさい。
男を見せる格好良い神父。
けど耳が遠いものには効果が薄いという不測の事態は彼にも読み切れなかった…。アーメン。
ゾンビ(悪魔の感染者たち)
…感染すると理性を失い、人に襲いかかる。体が腐敗しているわけではないため動きは早い。
しかし伝染る悪魔って何なのだろう?
■予告編
※字幕なしオリジナル版。日本版はナレーションが余計なので。
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題名 | REC/レック3 ジェネシス |
製作年/製作国 | 2012年/スペイン |
ジャンル | ホラー/サスペンス |
監督 | パコ・プラサ |
出演者 | レティシア・ドレラ ディエゴ・マルティン イスマエル・マルティネス アレックス・モネール エミリオ・メンチェータ クレア・バシェット、他 |
メモ・特記 | ![]() ![]() ![]() |
おすすめ度 | ★★★☆ |
■Link
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