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(C)2010「告白」製作委員会
今回の記事は『告白』(2010年、監督:中島哲也)です。
2009年の本屋大賞受賞のベストセラーを松たか子主演で映画化した衝撃作。
静かに展開する物語の中に言い知れない緊迫感が漂う。
これは今世紀最大の後味の悪さ(注:褒め言葉)と衝撃度を誇る映画かもしれない。
■内容紹介 ※goo映画より
女教師・森口悠子の3歳の一人娘・愛美が、森口の勤務する中学校のプールで溺死体にて発見された。
数ヵ月後、森口は終業式後のホームルームにて「私の娘はこの1年B組生徒二人に殺されたのです」と衝撃の告白をし、ある方法にてその二人の生徒に復讐する。
そして4月、クラスはそのまま2年生に進級。
犯人のひとりAはクラスのイジメの標的になっていた。
そして、もうひとりの犯人Bは登校拒否し、自宅に引きこもっていた…。
告白が、あなたの命につきささる。
![告白](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/69/e8d5ed4c1892375bfe40bdb3f7b610d3.jpg)
![告白](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/d8/88d1fe4ddba414ea735015949667e4a9.jpg)
■感想
2010年。
今年の邦画は何だか凄い。
衝撃的でガツンとパンチの強い秀作が度々出てくる。
『パレード』も凄かったし、この『告白』も想像を遥かに超える作品だった。
国内のベストセラー小説の映画化がホントに上手くいっている。
はじめに『告白』についてひとこと言っておくと、この映画、後味は悪いです。
いわゆる“良い話”を好む人はこの映画は観るべきではない。
僕個人のオススメ度は★★★★★(当ブログ評価上最高値)ですが、後味の悪い映画が嫌いな人には★となる両極端な映画です。
ただひとつ言えることは、この映画は後味が悪いだけの映画では決してない。
午前十時の映画祭の作品群に勝るとも劣らない強烈な衝撃度を誇る。
とても鋭利な切れ味で直接痛みを心に刻み込んでくる。
映画の始まりは、松たか子さん演じる担任・森口悠子の告白から始まる。
感情を排したような口調で淡々と告白が続いていきます。
この静かな演技がものすごく強烈で惹きこまれてしまう。
告白の内容も次第に衝撃的なものへと変わっていき、あっという間に物語に夢中になってしまいます。
森口先生の生徒へ向けられる笑顔がまた恐ろしいんです。
森口先生の告白の後はシーンが進み、生徒視点の物語へと変わります。
ここから先の物語もとにかく衝撃的で、さらに残酷でえぐい内容も含まれてきます。
そんな内容の物語の中のあちらこちらに、この年代が抱える危ういとも言える感情を確かに感じることができたように思います。
人の内面の闇、十代の抱える痛みと孤独さが恐ろしく切なかった。
このような状態ははたから見ると、異常で狂っていると感じざるをえない。
けれど、人は誰しもこういった危うい狂気や残酷さを抱く時があるのかもしれない。
それを実行できるかどうかは別として。
映画の後半に松たか子さん演じる森口先生が再登場します。
冷酷な復讐者と徹した松たか子さんの抑えた演技が半端ない。
弱く未成熟な心から残酷な行動へ走る犯人Aに対して、
「バカですか」
と冷たく言い捨てるあたりに、大人の持つ残酷さを感じました。
このシーンでも、森口先生の笑顔がまた、とても恐ろしくもあり、そして悲しく感じてしまう。
ラストの胸を抉る鋭さが悲しく痛い。
はじめにも少し書いた通り、この映画の結末は決して誰も救われない後味の悪いものとして終わります。
だから、もしこの映画を観ようと考えている人は覚悟はしておいた方が良いです。
けれどそれだけの映画だったとは僕は思わない。
ラストで崩れ落ちる森口先生の姿に、彼女の持つ本来の姿は別のものだったんじゃないかと思わせられたから。
それが、この映画の唯一の救いだったんだと思っています。
『告白』は、観終わった後に間違いなく胸に痛みの残る映画だとは思います。
けれどそれを差し引いても、観る価値のある映画だと押したい。
しばらくはこの映画を超える衝撃の映画は出てこないんじゃないだろうか。
![]() | |
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題名 | 告白 |
製作年/製作国 | 2010年/日本 |
ジャンル | サスペンス/ドラマ/学園 |
監督 | 中島哲也 |
出演者 | 松たか子 木村佳乃 岡田将生 西井幸人 藤原薫 橋本愛 新井浩文 山口馬木也 黒田育世 芦田愛菜 山田キヌヲ 天見樹力 一井直樹 伊藤優衣 井之脇海、他 |
メモ・特記 | ![]() |
おすすめ度 | ★★★★★ |
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森口先生の復讐にしろ、幼さによる殺人・いじめなど、人間の負の感情をここまで良く描ききったなぁという感じでした。
演技とわかっていても、いじめシーンとかは、見ていて良い気持ちはしませんでしたね。
最近は人の心の闇を描いた重めの映画も多くなりました。邦画にも。
そんな中でも『告白』は傑作に入るんじゃないかと思います。
誰ひとり救われることのない結末は悲しかったけど。