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時間島/椙本孝思(小説)

2012-05-02 01:35:00 | 読書
今回の記事は『時間島』(椙本孝思、アルファポリス文庫)です。
廃墟の無人島を舞台に起こった連続殺人事件を描いた衝撃のミステリー。
無人島という閉鎖空間、未来から送られてくるという謎のメール、犠牲者が増えるにつれ高まっていく疑心暗鬼ミステリー。そしてこの結末は予測不可能だ。
『THE CHAT』の鬼才が放つ驚愕のホラー・ミステリー!

■内容紹介
「お前たちは島から生きて出られない」――
廃墟の島「矢郷島」でのロケ中、突如送られてきた動画メール。
「5年後の未来」にいるという「ミイラ男」が、ロケ参加者9名が皆殺しにされると予言する。
やがてその言葉通り、出演者、スタッフが次々と殺されていく。
誰が殺しているのか? なぜ殺されるのか?
一体この島で何が起きているのか?
息つく暇もない展開に、予測だにしない衝撃の結末が待つ!
『THE CHAT』『THE QUIZ』の鬼才・椙本孝思が放つ異色ホラーミステリー!

■感想
椙本孝思さんはホラーミステリーを書かせたら最も上手い作家さんだと個人的に思っています。
前作『THE QUIZ』はその極致に達している小説であり、僕の椙本孝思さんに対する評価を一気に高めた傑作です。
未読の方はぜひ読んでみてもらいたい。

なんて宣伝から始めてみましたが、肝心の今回の作品『時間島』の感想へ。

この作品は、かの有名なアガサ・クリスティー著のミステリーの名作『そして誰もいなくなった』を彷彿させるような無人島での連続殺人が描かれています。
無人島という閉鎖空間での殺人事件、犠牲者が増えるにつれ容疑者が絞られていき、次第に高まる疑心暗鬼ミステリーが描かれ、閉鎖空間におけるミステリーの醍醐味が思う存分発揮されています。
それに加えて、主人公だけが未来に起こる事象を知らされているという斬新な設定が効いていて、面白さは一気に飛び上がる。

「自分はその島での殺人事件の唯一の生存者で、未来からメールを送っている」というミイラ男の証言は本当のことなのか?
ミイラ男が主人公である佐倉準《さくら・じゅん》へメールを送ってくる真意とは?
そしてミイラ男の正体とは?

とにかく謎が謎を呼ぶ展開であり、面白さだけならトップレベルのミステリーです。
結末の衝撃度も極めて大きいものであり、おそらく多くの方が予想したであろう結末を裏切る予測不可能なものです。
この結末は読めない!
邪道ではなく、ちゃんと自ら築いた設定を壊さない結末を用意しているところも賞賛もの。
ただしこの結末、好き嫌いが分かれそう。
かなりダークな終わり方なので。

とは言え、面白さは保証できるホラーミステリーです。
読み口はライトで読みやすく、長さも程よい単発ミステリーなので、興味の湧いた方は読んでみて下さい。


書名:時間島
著者椙本孝思
ジャンル:小説(ミステリー/ホラー)
メモ:特になし
おすすめ度★★★★


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