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生き屏風/田辺青蛙(小説)

2012-05-22 01:00:00 | 読書
今回の記事は『生き屏風』(田辺青蛙、角川ホラー文庫)です。
妖鬼・皐月の物語を描いた“皐月鬼”シリーズの第1作で、第15回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞した幻妖小説。
不思議とほのぼの・まったりとした作風でホラーだけど全く怖くはありません。

■内容紹介
村はずれで暮らす妖鬼の皐月《さつき》に、奇妙な依頼が持ち込まれた。
病で死んだ酒屋の奥方の霊が屏風に宿り、夏になると屏風が喋るのだという。
屏風の奥方はわがままで、家中が手を焼いている。
そこで皐月に屏風の話し相手をしてほしいというのだ。
嫌々ながら出かけた皐月だが、次第に屏風の奥方と打ち解けるようになっていき――。
しみじみと心に染みる、不思議な魅力の幻妖小説。
第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。

■感想
この本のタイトルは生き屏風《びょうぶ》と言う。普通に漢字変換すると屏風となるので注意が必要。難しい方の漢字が使われています。環境によってはびょうの字が化けていそうで怖い。
(追記:記事アップロードでびょうの字が簡易な方へ置き換わるようなので上の文は戯言だと思って流して下さい。表紙画像で確認できるびょうの字が本来この作品に当てられた漢字です)
本作には「生き屏風」「猫雪」「狐妖の宴」の3つの短編が収録されている。

さて、小説の感想ですが、悪くはなかったです。
幻妖小説としては面白く読ませるし、登場人物(妖《あやかし》)も魅力が高い。作風としてはおそらく好みなのだと思う。
ただ全体の雰囲気として感じられるまったりとした雰囲気が良くも悪くも少々刺激に欠けて物足りなかった印象があります。

主人公の皐月の存在感もまだまだ弱い。今作に限って言うならば、皐月は完全に他の登場人物に押され気味です。
「生き屏風」では屏風の奥方に、「猫雪」では次郎に、「狐妖の宴」では猫先生と狐妖に主人公の地位を奪われている。
今作は皐月鬼シリーズの第1作目ということなので、主人公・皐月の魅力が発揮されるのは次巻以降なのかもしれない。

ジャンルとして一応ホラーに分類されている小説ですが、怖さはまったく感じなかった。

読みやすく長さも短いため気軽に読み切ることができます。
優しい妖怪小説を読んでみたいという方は読んでみるのも悪くないかもしれません。


書名:生き屏風
著者田辺青蛙
ジャンル:小説(ホラー/妖怪/幻妖小説)
メモ:皐月鬼シリーズ第1作
おすすめ度★★★


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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ジャンルとして一応ホラーに分類されている (扶美)
2012-11-23 06:56:06
『生き屏風』もそれほど怖さが前面に出てないんですね~。
溶解はちょっと苦手なんですけど、でも読んでみようかと思います!
これは面白そうな本を教えていただいた。

最近読んだ櫛木理宇さん『ホーンテッド・キャンパス』。
これは面白かったですよ。
青春モノとのミックスで、怖すぎないのが
登場人物や作品のおもしろさを引き立ててます。
新人さんだけあって、ネットの情報は少ないの
ですが、詳しいサイトが見つかりました。
http://www.birthday-energy.co.jp/

ホラー大賞で賞を取るってのは、大変そう。
怖い一辺倒じゃなくて、変化球も必要なんですね。
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