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冷たい校舎の時は止まる/辻村深月(小説)

2012-06-02 18:15:00 | 読書
今回の記事は『冷たい校舎の時は止まる』(辻村深月、講談社文庫)です。
第31回メフィスト賞を受賞した辻村深月さんの推理小説。
ミステリで学園もので青春ものなので、読んでいて気恥ずかしいような懐かしさと切なさを感じます。

■内容紹介
雪の降るある日、いつも通りに投稿したはずの学校に閉じ込められた8人の高校生。
開かない扉、無人の教室、5時53分で止まった時計。
凍りつく校舎の中、2か月前の学園祭の最中に死んだ同級生のことを思い出す。
でもその顔と名前がわからない。どうして忘れてしまったのだろう――?
第31回メフィスト賞受賞作。

■感想
辻村深月さんの小説は初めて読みました。
それが第31回メフィスト賞を受賞した辻村深月さんのデビュー作なのだから、まぁ順当な読み順でしょ。
「今年一番のクチコミ本」とプッシュされていたので(2008年購入当時)、衝動的に買って積み本にしておいた本でした。
2011年にようやく読み始め、上下巻読み終わるのに2か月以上かかってます。
で、レビューアップが2012年と。何というマイペースぶりなのだということを今さらながら強く実感。

それでは感想です。
『冷たい校舎~』は、ミステリで学園もので青春ものなので、読んでいて気恥ずかしいような懐かしさと切なさを感じました。
物語の舞台が名門進学校であり、登場人物が優秀でかつよく出来た人たちばかりだったからか共感し難い部分があった。
身近に感じるというよりは、憧れるような人物像で描かれていたように思います。
そんな中でも充と昭彦だけはけっこう好きになった。
充は唯一普通っぽく、昭彦は親しみやすそうな性格に壁を感じない。
他の人たちもみな良い人たちなんだけど、どこか何か特殊に感じてしまう距離を感じる。
漫画だとわりとよくある人物設定なのだけど、小説だと不思議と馴染まない。

ホスト(校舎の時間を止めた犯人)の登場人物たちへの接触シーンがどれも完全にホラーだった。
微笑ましい高校生たちのやり取りの描写が多い中で、この強烈なホラー描写はなかなか鮮烈で印象深かった。

ホストの正体がもう少しで判明しそうになってからは俄然面白さは増し、気になって仕方なくなってきます。
「もう少しで分かりそう」というところであえて焦らし、一気に最後まで引っ張っていく展開のさせ方は上手い。
物語の真相は全く想像していない展開へと進んだ。
意外といえば意外だが、意外じゃないといえば意外じゃない真相にも思える不思議な感覚。

一番驚かされたのはやはりあの人の正体でしょう。
明らかに他より長いエピソード描写は作者の愛ゆえにだと思っていたけどそうじゃなかった。
まさかココに物語の重要登場人物を3人も畳み込んでいるとは…。

登場人物の一人に、自分の名前を使っている辻村深月さん。ある意味なんだか凄い人だ。

物語は面白かったけど、切なくはなかった。切ない雰囲気満載の作品だと思うのだけれどどうしてだろう。


書名:冷たい校舎の時は止まる
著者辻村深月
ジャンル:小説(ミステリー/学園/青春)
メモ:第31回メフィスト賞受賞
おすすめ度★★★★


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