今回の記事は『ダーク・シャドウ』(2012年、監督:ティム・バートン)です。
数々のヒット作を送り出してきたティム・バートン監督とジョニー・デップとのコンビによるヴァンパイア映画。
ダークなんだけれどどこか可笑しい独特なテイスト満載の映画になっています。
共演はミシェル・ファイファー、エヴァ・グリーン、ヘレナ・ボナム=カーターとなかなか豪華な布陣。クロエ・グレース・モレッツもバートン映画に初出演。
■内容紹介 ※Movie Walkerより引用 Link
1752年、ジョシュア・コリンズとナオミ・コリンズは幼い息子バーナバスと共に新たな生活を始めるため、アメリカに向けてイギリスのリバプールを出航した。しかし彼ら家族を苦しめる不可解な呪いからは、海を越えても逃れることができなかった。
20年後、バーナバス(ジョニー・デップ)は、コリンズポートの町で、コリンウッド荘園の所有者となっていた。裕福でプレイボーイな彼は、使用人のアンジェリーク・ボーチャード(エヴァ・グリーン)を失恋させるが、実は魔女であったアンジェリークは、バーナバスを死よりも酷い運命に突き落とす。彼をヴァンパイアに変え、生き埋めにしたのだ。
それから二世紀後、バーナバスは予期せぬきっかけで自分の墓から開放され、劇的な変化を遂げた1972年の世の中へと足を踏み入れる。
200年ぶりに蘇っちゃいました。
■感想
ティム・バートン監督とジョニー・デップとのコンビによるヴァンパイア映画。もちろんこの二人が組んだ映画なので普通のヴァンパイア映画にはなっていません。
ダークなんだけど明るい。何ともいえない不思議なテイストの映画になっています。
『アリス・イン・ワンダーランド』の時も少し思ったけど、最近のバートン作品はポップな印象を受けることが多い。個人的にはもうちょいシリアスな方が好きなのだけど。
ポップとは言っても一応はダークはダークで、PG12が付いているだけのこともあり内容はそれなりに過激。主人公は殺人を躊躇わないし、割とアメリカンなテイストの下ネタ系も多い。
バーナバス(J・デップ)とアンジェリーク(E・グリーン)の過激すぎる(?)ラブシーンとか若干呆気にとられる。ダークなんだけどノリが軽くて暗くは感じない。だからダークなんだけど明るい印象を受ける。ホラー描写っぽいのもあるけど怖くはないのでホラーとは呼ばない。
シナリオ面は全体的にどこか微妙。60年代に人気を博したTVシリーズが原作らしいので、土台となるストーリーがすでにあり、世界観を壊さないためにもあまり変えられなかったのだろうという感じがする。けど、もうちょっと捻りの効いた脚本になってた方がよかったなぁと。
ティム・バートンが演じる主人公バーナバスは良かった。予告編では変な外見にしか見えなかったのだけれど、実際はやはりイケメンであり美形でかっこいい。性格が意外と厳格なところがツボですね。喋り方が古風なのも面白かった。
エヴァ・グリーンが演じた魔女アンジェリークも良かった。愛に狂った魔女という役柄で、立ち位置としては完全に悪役なのですが、実はバーナバスのことを本気で愛していたことが所々で伺える。かなり歪んではいるのですが…。だからか最後の最後はちょっとだけ切ない。
現代のコリンズ家の女家長のエリザベスは、最初、そうとう腹黒い人だと思っていたけど、実はこの人が一番家族愛に満ちた人だった。ラストシーンの後の物語で、コリンズ家をまとめてやっていけると願いたい。
クロエ・グレース・モレッツが演じるキャロリンはラストで意外な真実が判明してびっくり…はしないか。バーナバスをはじめとするまわりがあれだけ強烈個性の奇人変人ばかりなので、これしきのことじゃもうそんなには驚かないかな。
ジュリア・ホフマン博士はヘレナ・ボナム・カーターが演じていたりと、出演陣そうとう豪華ですよね。
映像はバートン監督らしい独特の色使いが特徴的。バートン監督の過去作と比べると、幻想度はそれほど高くないけれど、それでも絵の雰囲気には明らかに他の映画とは一線を画す不思議な魅力があります。火事の炎がピンク色っぽかったりとか、独特です。
そんな中でも予告編から印象として強く残っていたのは、不自然なような自然なような顔の白さ。これは何かあると思っていたけど実は何もなかった。…いややっぱり何か意図や隠し設定があったのだろうか?
■登場人物ちょいメモ
バーナバス・コリンズ(ジョニー・デップ)
…コリンウッド荘園の領主として裕福な暮らしを謳歌していたプレイボーイの青年。魔女アンジェリークの呪いを受け、その身を不死のヴァンパイアに変えられた上で、棺に閉じ込められ、地中に生き埋めにされる。
200年後にようやく棺から脱出するが、彼の子孫たちはすっかり落ちぶれてしまっていた。バーナバスは子孫たちを立て直すために、催眠術などを使って奮闘する。
性格はやたら厳格だがどこかゆるく、肝は小さいが器はでかい。
アンジェリーク・ブシャール(エヴァ・グリーン)
…元コリンズ家の使用人。バーナバスに想いを寄せていたが、バーナバスは別の女性を選び婚約。失恋したアンジェリークは実は魔女だったという本性をあらわに壮絶な復讐を始める。ジョゼットを操り自殺させ、バーナバスを棺に閉じ込め生き埋めにする。
瀕死のバーナバスを決して死なない体(=ヴァンパイア)に変えている辺りに彼女の憎悪を裏返した愛情があるのかもしれない。
ヴィクトリア・ウィンターズ(ベラ・ヒースコート)
…コリンズ家にやってきた新任の家庭教師。明るく真面目な姿からは想像もできないが、実はかなり痛ましい過去と秘密を抱えている。
物語の序盤から登場し、前終盤でのギャップも大きく、かつ、物語のキーとなる要因を抱える人物でありながら、まわりの変人奇人(主にバーナバスとアンジェリーク)が強烈すぎて、鑑賞後には印象が薄くなってしまっている一人。悲運。
エリザベス・コリンズ・ストッダード(ミシェル・ファイファー)
…現代のコリンズ家の女家長。落ちぶれてしまった家を建て直すために、バーナバスと手を組む。バーナバスをも利用する腹黒い女性と思いきや、その真意は…。
キャロリン・ストッダード(クロエ・グレース・モレッツ)
…エリザベスの娘。反抗期。バーナバスに対しても敬意は全く表さず変人扱いをする。終盤にとんてもない秘密が発覚するも、とんでもなさの塊のようなバーナバスとアンジェリークの前にはすっかり霞んでしまっている感は否めない。
デヴィッド・コリンズ(ガリー・マクグラス)
…エリザベスの10歳の甥。母親の死を受入れられず自身の殻に閉じこもる。父親もろくでなしで、周りからも精神的におかしな子と思われている。
ジュリア・ホフマン博士(ヘレナ・ボナム=カーター)
…エリザベスに雇われた住み込みの精神科医。性格はひねくれ気味。年老いていくことに恐怖を感じていて、不死のバーナバスに興味を抱く。
ジョゼット・デュプレ
…バーナバスが婚約した清楚で美しい女性。気性の激しいアンジェリークとは対照的。アンジェリークの恨みを買い、その身体を操られ海へと身を投げる。
■予告編
(★は最高で5つです。★:1pt, ☆:0.5pt)
■Link
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数々のヒット作を送り出してきたティム・バートン監督とジョニー・デップとのコンビによるヴァンパイア映画。
ダークなんだけれどどこか可笑しい独特なテイスト満載の映画になっています。
共演はミシェル・ファイファー、エヴァ・グリーン、ヘレナ・ボナム=カーターとなかなか豪華な布陣。クロエ・グレース・モレッツもバートン映画に初出演。
■内容紹介 ※Movie Walkerより引用 Link
1752年、ジョシュア・コリンズとナオミ・コリンズは幼い息子バーナバスと共に新たな生活を始めるため、アメリカに向けてイギリスのリバプールを出航した。しかし彼ら家族を苦しめる不可解な呪いからは、海を越えても逃れることができなかった。
20年後、バーナバス(ジョニー・デップ)は、コリンズポートの町で、コリンウッド荘園の所有者となっていた。裕福でプレイボーイな彼は、使用人のアンジェリーク・ボーチャード(エヴァ・グリーン)を失恋させるが、実は魔女であったアンジェリークは、バーナバスを死よりも酷い運命に突き落とす。彼をヴァンパイアに変え、生き埋めにしたのだ。
それから二世紀後、バーナバスは予期せぬきっかけで自分の墓から開放され、劇的な変化を遂げた1972年の世の中へと足を踏み入れる。
200年ぶりに蘇っちゃいました。
■感想
ティム・バートン監督とジョニー・デップとのコンビによるヴァンパイア映画。もちろんこの二人が組んだ映画なので普通のヴァンパイア映画にはなっていません。
ダークなんだけど明るい。何ともいえない不思議なテイストの映画になっています。
『アリス・イン・ワンダーランド』の時も少し思ったけど、最近のバートン作品はポップな印象を受けることが多い。個人的にはもうちょいシリアスな方が好きなのだけど。
ポップとは言っても一応はダークはダークで、PG12が付いているだけのこともあり内容はそれなりに過激。主人公は殺人を躊躇わないし、割とアメリカンなテイストの下ネタ系も多い。
バーナバス(J・デップ)とアンジェリーク(E・グリーン)の過激すぎる(?)ラブシーンとか若干呆気にとられる。ダークなんだけどノリが軽くて暗くは感じない。だからダークなんだけど明るい印象を受ける。ホラー描写っぽいのもあるけど怖くはないのでホラーとは呼ばない。
シナリオ面は全体的にどこか微妙。60年代に人気を博したTVシリーズが原作らしいので、土台となるストーリーがすでにあり、世界観を壊さないためにもあまり変えられなかったのだろうという感じがする。けど、もうちょっと捻りの効いた脚本になってた方がよかったなぁと。
ティム・バートンが演じる主人公バーナバスは良かった。予告編では変な外見にしか見えなかったのだけれど、実際はやはりイケメンであり美形でかっこいい。性格が意外と厳格なところがツボですね。喋り方が古風なのも面白かった。
エヴァ・グリーンが演じた魔女アンジェリークも良かった。愛に狂った魔女という役柄で、立ち位置としては完全に悪役なのですが、実はバーナバスのことを本気で愛していたことが所々で伺える。かなり歪んではいるのですが…。だからか最後の最後はちょっとだけ切ない。
現代のコリンズ家の女家長のエリザベスは、最初、そうとう腹黒い人だと思っていたけど、実はこの人が一番家族愛に満ちた人だった。ラストシーンの後の物語で、コリンズ家をまとめてやっていけると願いたい。
クロエ・グレース・モレッツが演じるキャロリンはラストで意外な真実が判明してびっくり…はしないか。バーナバスをはじめとするまわりがあれだけ強烈個性の奇人変人ばかりなので、これしきのことじゃもうそんなには驚かないかな。
ジュリア・ホフマン博士はヘレナ・ボナム・カーターが演じていたりと、出演陣そうとう豪華ですよね。
映像はバートン監督らしい独特の色使いが特徴的。バートン監督の過去作と比べると、幻想度はそれほど高くないけれど、それでも絵の雰囲気には明らかに他の映画とは一線を画す不思議な魅力があります。火事の炎がピンク色っぽかったりとか、独特です。
そんな中でも予告編から印象として強く残っていたのは、不自然なような自然なような顔の白さ。これは何かあると思っていたけど実は何もなかった。…いややっぱり何か意図や隠し設定があったのだろうか?
■登場人物ちょいメモ
バーナバス・コリンズ(ジョニー・デップ)
…コリンウッド荘園の領主として裕福な暮らしを謳歌していたプレイボーイの青年。魔女アンジェリークの呪いを受け、その身を不死のヴァンパイアに変えられた上で、棺に閉じ込められ、地中に生き埋めにされる。
200年後にようやく棺から脱出するが、彼の子孫たちはすっかり落ちぶれてしまっていた。バーナバスは子孫たちを立て直すために、催眠術などを使って奮闘する。
性格はやたら厳格だがどこかゆるく、肝は小さいが器はでかい。
アンジェリーク・ブシャール(エヴァ・グリーン)
…元コリンズ家の使用人。バーナバスに想いを寄せていたが、バーナバスは別の女性を選び婚約。失恋したアンジェリークは実は魔女だったという本性をあらわに壮絶な復讐を始める。ジョゼットを操り自殺させ、バーナバスを棺に閉じ込め生き埋めにする。
瀕死のバーナバスを決して死なない体(=ヴァンパイア)に変えている辺りに彼女の憎悪を裏返した愛情があるのかもしれない。
ヴィクトリア・ウィンターズ(ベラ・ヒースコート)
…コリンズ家にやってきた新任の家庭教師。明るく真面目な姿からは想像もできないが、実はかなり痛ましい過去と秘密を抱えている。
物語の序盤から登場し、前終盤でのギャップも大きく、かつ、物語のキーとなる要因を抱える人物でありながら、まわりの変人奇人(主にバーナバスとアンジェリーク)が強烈すぎて、鑑賞後には印象が薄くなってしまっている一人。悲運。
エリザベス・コリンズ・ストッダード(ミシェル・ファイファー)
…現代のコリンズ家の女家長。落ちぶれてしまった家を建て直すために、バーナバスと手を組む。バーナバスをも利用する腹黒い女性と思いきや、その真意は…。
キャロリン・ストッダード(クロエ・グレース・モレッツ)
…エリザベスの娘。反抗期。バーナバスに対しても敬意は全く表さず変人扱いをする。終盤にとんてもない秘密が発覚するも、とんでもなさの塊のようなバーナバスとアンジェリークの前にはすっかり霞んでしまっている感は否めない。
デヴィッド・コリンズ(ガリー・マクグラス)
…エリザベスの10歳の甥。母親の死を受入れられず自身の殻に閉じこもる。父親もろくでなしで、周りからも精神的におかしな子と思われている。
ジュリア・ホフマン博士(ヘレナ・ボナム=カーター)
…エリザベスに雇われた住み込みの精神科医。性格はひねくれ気味。年老いていくことに恐怖を感じていて、不死のバーナバスに興味を抱く。
ジョゼット・デュプレ
…バーナバスが婚約した清楚で美しい女性。気性の激しいアンジェリークとは対照的。アンジェリークの恨みを買い、その身体を操られ海へと身を投げる。
■予告編
映画データ | |
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題名 | ダーク・シャドウ |
製作年/製作国 | 2012年/アメリカ |
ジャンル | コメディ/ファンタジー |
監督 | ティム・バートン |
出演者 | ジョニー・デップ ミシェル・ファイファー ヘレナ・ボナム=カーター エヴァ・グリーン ジャッキー・アール・ヘイリー ジョニー・リー・ミラー クロエ・グレース・モレッツ ベラ・ヒースコート ガリー・マクグラス イヴァン・ケイ スザンナ・カッペラーロ クリストファー・リー アリス・クーパー ウィリアム・ホープ、他 |
メモ・特記 | PG12指定 原作は60年代後半に人気を博した同名のTVドラマシリーズ |
おすすめ度 | ★★★★ |
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