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鼻緒匠 はな壱 ~鼻緒職人の世界~

全国的に鼻緒を作る職人の数は減少の一途を辿っています。鼻緒職人の仕事内容や鼻緒についてなどをブログに載せていきます。

「きものの日」導入・・・

2015年11月23日 10時08分45秒 | コスメ・ファッション
日頃から弊社はな壱のブログをご覧いただきありがとうございます。

ブログを始めて足掛け3年になりますが、日に日に閲覧者数が増え、管理者として大変嬉しく思います。最近はご覧頂いた方からのお問い合わせを、とても多くいただくようになりました。そんな中で、私は全国的に鼻緒職人の数が減ってきていることを強く感じています。

特に地方の方からのお問い合わせが多く「今まで鼻緒を作ってもらっていた職人が亡くなり、近くで探してみたが県内には一人もいなくなっていた・・・」といった感じです。技術を有する方がいなくなると本当に大変です。かなり以前から、鼻緒職人の数が減っていくことはわかっていましたが、かなり深刻な状況になりつつあります。

先日の産経新聞で、経済産業省が「きものの日」の導入を検討していることを知りました。国民の祝日ではなく、着物で出勤する日を設けるとのことです。また、2020年の東京五輪に向け、国内外に日本の着物文化を知ってもらう旨も含まれているようです。私個人としては、和装業界に身を置いている関係、是非とも皆さんに和装の良さを再確認していただき、和装を楽しんでいただきたいと思います。そのことが結果的に鼻緒職人の後継者育成につながると私は信じています。

「鼻緒」なの? それとも「花緒」なの?

2015年07月10日 10時37分47秒 | コスメ・ファッション
時折、お客様から「はなおの漢字は鼻緒が正解なの?それとも花緒なの?」と聞かれることがあります。弊社では漢字を「鼻緒」に統一しています。しかし、日本語変換すると「花緒」も出てきますよね。色々と調べてみたところ「鼻緒」が本当は正解のようです。「鼻緒」は使用される生地や色合いが豊富で、見た目も美しいことから、後になって「花緒」とも書かれるようになったみたいです。

いずれにしても鼻緒自体の歴史はとっても古く、今現在わかっているだけでも古墳時代には鼻緒らしき物があったようです。機能面から見ても三点で足を支え、履くことのできる草履や下駄は、先人の知恵と経験が集約された素晴らしい履物であることは間違いないですね(^O^)

2015年 新作鼻緒 組紐縒り(より)鼻緒

2015年06月06日 19時15分14秒 | コスメ・ファッション
常日頃から新しい鼻緒を考案、発表している弊社ではありますが、今年の新作第1弾は組紐を使用した縒り(より)鼻緒です。







縒り鼻緒は2本の矢(筒状の物)を作り、その矢を縒り合わせて作ります。工程数は通常の倍以上。。。縒りの作業がとても難しく、キレイに縒るのにかなりの熟練を要します。そのため近年では縒り鼻緒を作る職人の数は減少しています。まさに鼻緒界の絶滅危惧種!?

そんな中、弊社では組紐を使った縒り鼻緒を考えました。今までの縒り鼻緒は三越本天や縮緬生地を使っていましたが、組紐はなかったと思います。組紐特有の質感が新しい縒り鼻緒が出来ました。







ご興味をお持ちになっていただいたお客様は、是非弊社にお問い合わせください(^O^)


は な 壱
東京都足立区関原3-8-7
03(3880)1584

激レア! 本海亀(タイマイ)雪駄 修理

2015年05月23日 09時53分42秒 | コスメ・ファッション
皆さんはタイマイという海亀をご存知でしょうか?タイマイとは数種類ある海亀の一種です。主に甲羅をメガネフレームなどの鼈甲(べっこう)細工に使い、柔らかい革の部位を履物やバックなどに使います。

海亀の多くは絶滅危惧種に指定されています。1975年に発効した野生動植物保護のための国際条約、通称「ワシントン条約」によりタイマイの取引は著しく規制されています。よって、現存するタイマイの革が無くなれば、今後は入手困難必至の雪駄なのです。

何と!その本海亀雪駄の修理依頼がありまして・・・





ご覧のように鼻緒裏がボロボロの状態になっています。とても履くことは無理です。幸いだったのはタイマイの革の状態がとても良く、リメイクが可能だと判断できたことです。

ゆっくり鼻緒を台から引き抜き、その鼻緒の縫製糸を一つ一つ丁寧に解き、鼻緒からタイマイの革だけを取り除きます。





写真からお分かりの通り、ボロボロの裏生地を剥がすのは本当に大変でして。。。まさに遺跡の修復作業・・・汗

何とか解き終えた革に、裏側から丁寧にアイロン掛けをしてシワを伸ばし、また最初から鼻緒作りを始めます。

本当に緊張の連続でしたが、何とかミシン作業が終わりました。



後はいつもと同じように前坪を縫い付け、曲げ作業を行えば鼻緒の完成です。



鼻緒が出来上がりました!あとは鼻緒を台にすげれば修理作業の完了です。





今回の修理は今までで最も難しかったです。この修理依頼をいただいたお客様によると、この雪駄は知人の形見の履物で、作られてから20年以上は経過していたようです。雪駄を拝見する限り履かれた回数は少ないと思いますが、やはり経年による劣化は少なからずありました。ところどころタイマイの革にひび割れがあり、そのひび割れの修復にかなりの時間を要しました。これなら何とか修理に耐えられそうと判断して作業に入りましたが、途中でパックリ割れてしまったどうしよう・・・などと考えながらの作業でした。

しかし、先にも書いたように今後は入手困難の代物なので、何とかしたいの一心でした。出来上がった雪駄をお客様に納品しましたところ、あまりの出来の良さに驚いていまして、逆に履くのが勿体ないと・・・まだまだ永く履くことが出来ると思うので、時折メンテナンスをしながら履いて欲しいです!


畳表草履 鼻緒取替

2015年05月11日 18時17分57秒 | コスメ・ファッション
今日は畳表草履について少しご紹介します。

「畳表草履」と聞いてピンとくる方は、かなりの草履通ですね。畳表草履とは、その名の通り、和室に敷かれている畳の表に似ている草履のことを言います。本当の畳は天然のいぐさを使っていますが、畳表草履は竹の皮を編んでいるものが一般的です。

先日、その畳表草履を愛用されているお客様から鼻緒のお取替を承りました。お客様によると最近履いていると、鼻緒の色が足袋に着いて困ると。。。そこで実際に畳表草履を拝見させていただきました。





鼻緒をよく見ますと、ビロードの毛がかなり抜け落ちており、その毛が足袋に着いて色落ちしているように見えていたことがわかりました。ビロード生地の痛みが激しく、限界に達したものと思われます。お客様とご相談した結果、粋な感じの鼻緒に取り替えたいとのことでしたので、ストライプ柄の高原鼻緒にお取替えしました。鼻緒裏と前坪に濃臙脂の三越本天を使用しました。







いかがですか?今までとは全く違った、落ち着きのある粋な草履に仕上がったと思います。畳表草履は決して安い草履ではないので、日頃からのケアを怠らず、たまには鼻緒を取り替えたりして長く愛用していただきたいと思います。