鼻緒匠 はな壱 ~鼻緒職人の世界~

全国的に鼻緒を作る職人の数は減少の一途を辿っています。鼻緒職人の仕事内容や鼻緒についてなどをブログに載せていきます。

草履職人っているの?

2019年01月31日 22時28分05秒 | 和装履物
この間、お取引先の方から「草履職人さんって本当にいるの?」と聞かれました。
正直、私は返答に困りました
その理由については後にいたします。

ところで、皆さんは「草履職人」と聞いたら何を作る職人さんのことは思い浮かべますか?
う~ん・・・草履を作る人のことでしょう

今日は少し「職人」について考えてみたいと思います。
デジタル大辞泉によると、職人とは「自分の技能によって物を作ることを職業とする人」とあります。
草履に当てはめると、自分の技能によって草履を作ることを職業とする人になります。

う~ん・・・なるほど!確かに納得です。
しかし、私は今までに「草履職人」に出会ったことがありません。
もしかしたら「草履職人」なんていないのではとも思っています。

その理由として、草履は「鼻緒職人」と「台職人」が各々いて、またその鼻緒と台を取り付ける「挿げ職人」の3名の職人さんによって草履が作られているからです。もし仮に「草履職人」がいたとしたら、鼻緒も作れて、台も作れ、また挿げも出来ることになります。

なぜ私が「草履職人」はいないと思っているかというと、特に鼻緒と台は使う道具や機械、扱う素材が多岐にわたり複雑で、また製造工程も作る形状や種類によりとても多くあります。一生をかけて技術を習得するといっても過言ではないからです。挿げに関しては、基本的に仕上がった鼻緒を台に取り付けるだけなので、少し修行すれば技術の習得は可能です。現に私自身も挿げは若いころに先人に教わりましたので出来ます。


私は「鼻緒職人」です。


生地の裁断
工業用ミシンを使った縫製
針を使った手仕事
仕上げ作業...etc

自分の技能によって鼻緒を作ることを職業としています
挿げは出来ますが、台は全く作れません

もし、百貨店や複合施設の職人展などで「草履職人」と謳っている方を見かけましたら、本当に草履を作ることが出来るのか聞いてみてください。
おそらく「草履職人」ではなく「挿げ職人」の場合が多いと思います。
消費者に誤解を与えないためにも肩書は正直に伝えてほしいものです。


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