うり坊なゆり坊です

うり坊なゆり坊です

私は認めたくない女2

2016-12-30 | 日記
前回の続きです。

「私、太ってない?」
「えっ?そんなことないよ。太って見えないけど?」

とくに気をつかったわけでもなく、見た目の感想を言いました。

「あ~よかった。でも、ほんと?ほんと?」
「ほんとだよ!」

ずいぶんな疑いようです。すると、身をかがめて小声になるAちゃん。

「あのさあ、お正月にね、お母さんがいろいろ作ってくれたから、おせち料理とか、もうやたら食べちゃったの!それでなんにもしてなかったら、5キロ!5キロも太っちゃった!」
「5キロはすごいね。でもわかんないよ」

「だって、東京もどってから、ずっと食べなかったもん!」
「よく痩せたね。伸縮自在だね」
「キャハハ!なによそれ!でもさあ、20歳の頃みたいに、落ちるところがかんたんに落ちてくれないっていうの?自分では認めたくないけど!認めたくないんだけど!残っちゃうのよねえ~」

なにげなく自分のおなかを撫でるAちゃん。その仕草はおなかの子をいたわる母親カンガルーのようです。

「でも、ちゃんと落ちてるように見えるよ。わかんないけど」
「ダメなのよ!ほんとは残ってる!でもさ、フフフ!会社にもどってから、まだ会社の女の子たちにはバレてないの!」

とてもうれしそうな顔をするAちゃん。女心とはそういうものね。年下の子に負けたくないか~。



私は認めたくない女1

2016-12-26 | 日記
私はひさしぶりにある会社へ出かけました。すると、体調不良でずっと休んでいたAちゃんを発見しました。元気そうです。

「あ~Aちゃん、久しぶり~!」
「あ、ゆり坊さん、久しぶり~!」

「会社休んでたんだって?」
「うん、そうなの。半年くらいかなあ~」

「体こわしたの?」
「ちがうの!」

彼女はキョロキョロあたりをみまわし、人がいないのを確認してから、小声でささやきました。

「なんか私、このままでいいのかなあ、なんて思っちゃってさ」
「どうしたのよん?」

「もう若くないし、独身だし、この先どうなるんだろうなんていろいろ考えちゃって、田舎帰ってたのよ」
「なにそれ、そんなこといったら私だって」

「ゆり坊さんはいいのよ!」
「そういうもんか?!」

「でもさあ、最初は田舎もいいなあなんて思ってたんだけど、ずっといたらやっぱり退屈でさあ……。東京がよくなっちゃって、社長に『復帰させてください』って電話しちゃったんだ」
「そうかあ。ここの社長はやさしいからね。まあAちゃんが性格いいからじゃないの?人徳、人徳。とにかく、元気になってよかったじゃん」
「ありがと。でもさあ」

ここで、彼女はまたしてもあたりをみまわし、注意深く、小声でささやきました。




ジャズダンスの悩み3

2016-12-22 | 日記
前回の続きです。

A子「そう! おかめ納豆のイラストにそっくりな顔したオヤジ!そのオヤジがさ、前にしゃしゃり出てくると、たいへんなのよ!
   ジャズダンスって、背筋をまっすぐ伸ばして前に出てくるような動きもあるわけ。
   でも、そのオヤジ、まっすぐ前に出てくればいいものを、
   タコみたいにへんなひねりを入れて、くねくねしながら前に出てくるの!」
B子「気持ち悪い……」

A子「そうすると、そのくねくねした動作で、腕がビシッとこっちの背中とか肩に当たったりするわけ」
B子「(嗚咽)おえっ……」

A子「鏡で全部、そのへんな動きが見えてるわけじゃん、だから気持ち悪いのよ。こっちのやる気が失せるというか」
B子「男の人って何人か、入ってるの?」

A子「おやじばっかりね。汗だくオヤジなんかもたいへんなの」
B子「汗びっしょりの人?」

A子「うん。どうしてあんなに汗かくんだろう、っていうくらい。ダンスでそのオヤジが回転するたびに、
   汗が飛び散って私たちのウエアとか腕とかに飛んでくるのよ!」
B子「(吐き気)うええ……」

A子「そこらじゅうにとびちったオヤジの汗で床はすべるし、気持ち悪いったらしょうがない」
B子「(寒気)ホラー映画だね」
A子「今週、行くのよそうかなあ。ジャズダンス……」

はじっこ吹きだまりおばさん、くねくねオヤジ、汗だくオヤジのみなさん、どうか、たまにはジャズダンスを休んでA子さんに安らぎの時間を与えてください。


                      The End



ジャズダンスの悩み2

2016-12-20 | 日記
前回の続きです。

B子「はじっこ吹きだまり、おばさん?」
A子「あのね、ジャズダンスの初心者でとくに高齢者は体が動かないわけ。だから、そういう人はみんなといっしょにやるのが恥ずかしくて、前の方に出てこられないの。だから、スタジオのはじっこにかたまっちゃうわけよ。それが何人か集まってふきだまりになってるから、はじっこ吹きだまりおばさん」

B子「おばさんが勝手に隅で吹きだまってるんなら、いいじゃないの。ジャマにならなくて」
A子「それがよくないの!」

A子が突然、声を荒げました。

A子「ダンスによってはさ、大きく動くこともあるのよ。そうすると、その吹きだまりにこっちが突進していかなきゃいけないことになっちゃうのよ!」
B子「ああ、ぶつかるのね!」

A子「はじっこ吹きだまりおばさん集団は動きも遅いから、もう腕とか足とかバシバシ当たるの!もう、痛っ!痛っ!痛っ!よ」
B子「うわあ……」

青ざめるB子。

A子「それにね、おばさんたちがはじっこにいくと、まんなかが空くじゃない? そうすると、ここぞとばかりに前にしゃしゃり出てくる、くねくねオヤジがいるのよ!」
B子「くねくねオヤジ?」

出たーっ!彼女が語る、新たに登場したフィットネスクラブの魔物、「くねくねオヤジ」の正体とは!?また次回~!



ジャズダンスの悩み1

2016-12-13 | 日記
世田谷区内、世田谷通り沿いのある喫茶店で19:00。
会社が終わったばかりとおぼしき、30代後半の独身女性2人がけだるい話をしています。

A子「会社の人とお酒なんか、そんなに飲まないじゃない。つまらないし」
B子「そーよね」

A子「割り勘にされたって、こっちはろくに飲めないんだし」
B子「そうそう。私、めったにいかないもん」

A子「あの人たちはときどき会社の帰りに女の子誘って、食べてお茶飲めばいいのよ」
B子「うん」

A子「でも、家に帰ってお湯沸かして、ひとりでわざわざお茶飲むのもめんどくさくてさ~」
B子「あ~あるよね」

面倒くさいというよりは「わびしい気持ちがする」というニュアンスに聞こえた気がしましたが、まあいいでしょう。
こっちも盗み聞きしてる立場でもあるし。よけいなツッコミをしないでもう少し聞き耳を立ててみましょう。

B子「ところで、ジム行ってるの?」
A子「行ってるよ。ジャズダンス続けてるから。でもさ~あれもいろいろあってね~」

A子、複雑な顔をして、ため息などついています。

A子「憂鬱なのよねえ……今週行くの、よそうかなあ……」
B子「なに、どうしたのよ?」

A子「いろんな人がいてさあ……『はじっこ吹きだまりおばさん』みたいなのが」
B子「はじっこ吹きだまり、おばさん?」