飄評踉踉

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Fly me to the moon

2007-09-14 18:48:28 | 映画
予定通り、今日『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』を見てきました。私にとっては充分満足できる作品だったので、『エヴァ』の持つ「語らせちゃう磁場」(byチャーリー)に素直に従って色々書いてみようと思います。

本作はTV版の第1話~第6話をまとめただけではあるのですが、TV版よりは落ち着いて描かれているとの印象を受けました。とりわけ、シンジ君の心情描写が丁寧になされていたのは好印象でした。
私にとって、旧作のシンジ君はその病的ともいえる内向性のために理解しにくい存在でした。しかし、本作でのシンジ君は悩んでも最終的には運命にきちんと立ち向かう少年として描かれていたので、本作を見て初めて、私は彼の思考過程が理解できたような気がしました。この辺には樋口真嗣を媒介とした福井晴敏テイストの注入が感じられます(そういえば、碇シンジは樋口真嗣にちなんで名付けられている!)。
 この福井晴敏的な熱さというのは本作に広く感じられたところであり、トウジ・ケンスケとシンジの友情は旧作以上に熱く演出されていたし、ゲンドウに進言するミサトさんも熱かったです。もっとも、この福井晴敏テイストというのは、チャーリー風に言い換えれば、自己責任・自己決定の側面を強めるというものであり、それが本シリーズに果たしてプラスに働くのかというのはやはり未知数ではあります。
 
 さて、今後『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズがどこに向かうのかというのは大変興味深いところですが、私は『願い』がキーワードになってくるのだと思います。これは庵野監督の決意表明や宇多田ヒカルの主題歌にも出てくる言葉ですが、上記のミサト発言からするとそれは「皆で共有される『願い』」ということなのでしょう。
今回のミサト発言からは、自己決定したシンジをチームメイトとして扱うという姿勢が見て取れます。要するに、こうした「願い」を共有するもの同士で共同性を構築していくというのが今シリーズの目指す救済の形なのではないか、というのが私の読みです(この辺は『まなびストレート』的でもありますね)。
 何にせよ、次回作以降にも期待しています。


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