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課題克服できず ジーコ独演会 厳しい表情で会見に臨むジーコ監督

2006-06-27 20:00:00 | Weblog
課題克服できず ジーコ独演会
厳しい表情で会見に臨むジーコ監督

 日本代表のジーコ監督(53)は26日、東京・本郷の日本サッカー協会で退任会見を行った。W杯ドイツ大会1次リーグ敗退の原因について言及。日本人の体格、コンタクトプレーに対する弱さ、負傷に弱い体質などを挙げて、分かっていたはずの課題を克服できなかったことを認めた。ジーコ監督は今週中に日本を出発、ブラジルへと帰国する。
 5月15日に約400人の報道陣とフラッシュの中でW杯メンバー23人を発表した時の華やかさはない。約160人を前に話す姿は無念に満ちていた。重苦しい空気の中でジーコ監督は約1時間20分という長い時間をかけて4年間を総括した。

 ジーコ監督「いくつかのタイトルを獲りW杯に出場できた。すべてを尽くしてチームを導いた。悔いも恥もない」

 W杯での自身の采配についても胸を張った。

 ジーコ監督「反省は全くない。私は自分の采配で結果が出なくても選手の責任にしたり言い訳をしたことはない。“お前が悪かった”と言われれば甘んじて受ける」

 そして日本への警鐘として問題点を並べ始めた。ただし内容は分かり切ったものばかりだった。まずはオーストラリア戦で露呈した身長差だ。

 ジーコ監督「(相手が)上背があるのは当然分かっていた。そのために不必要なファウルをしないことを言ってきた。残念ながら体格差で踏みつぶすサッカーはこれからも続く。体格差を克服することが必要だ」

 体格差から来るコンタクトプレーに対する身体的な弱さにも言及した。

 ジーコ監督「90分を通して体格の良い選手の攻撃に耐えうるベース。腰を中心とした下半身、上半身、この辺を鍛えないといけない。各クラブや代表で補強することを心掛けたが、思うようにいかなかった」

 会見後に「自分は53歳で大きくないが中沢や宮本に(ボールを)取られない自信がある」と付け加えた。負傷に対する弱さも指摘した。大会中23人全員で練習できたのは1回だけだっただけに言わずにいられなかった。

 ジーコ監督「宿舎に戻る時、アイシングは日常茶飯事だった。他のチームには見られなかった。どういう治療をしているのか予防、ケアはどうなっているか」

 02年7月の就任会見では「攻撃的なサッカー、喜びが伝わるサッカーをやっていきたい」と所信表明した。昨年W杯出場を決めた後には「世界を驚かせる」と豪語。日本選手の技術を信じ「自由」を掲げて選手の自主性を育てた。アジア杯を制覇。欧州の強豪も倒したが、最後は世界の現実の前に打ちのめされた。

 ジーコ監督「技術があっても技術だけじゃ勝てなかった。ボール扱いでかなわないとなると相手が放り込んできて、それを打ち破れなかった。次の監督にもメッセージとして残したい」

 10年大会予選からはオーストラリアもアジアに参戦する。「脅威だし、緊急の課題になる」。体格差という、恐らく解決できない懸案事項を残したまま指揮官は去っていく。

 ≪ジーコに聞く≫ 

 ――オーストラリア戦の采配については。

 「相手がロングボールを多用した中で中盤の後ろにスペースがあった。小野を投入することで中田を前にも出せる。小野は技術があって、パスを散らし、ボールを運んでいくこともできる。自分の判断は適正だったと考えている」

 ――体格差を敗因にしているが。

 「オーストラリアもアジアに入ってくるし、中国もW杯を狙って育成している。旧ソ連のアジア勢も日本よりも高さがあり脅威になるだろう」 

 ――今後については。

 「当面はリオに戻って仕事をする。チャンスがあればヨーロッパでもやりたい。将来は日本の監督として、また違う形でも日本に訪れることを願っている。選手にも伝えたが、自分が必要なら世界のどこにいても、その人のために何でも手伝う」
[ 2006年06月27日付 紙面記事 ]