次男のシャアは2003年11月23日に我が家にやってきました。
その前日、朝から「ニャー
ニャーーー
」という子猫の声が、近所中に響きわたっていました。
当時住んでいたマンションの斜め向かいに、野良ちゃんが沢山集まるアパートがあり、私はきっとお母さん猫がそのうち迎えに来るだろうと思っていました。
ところが、次の日になっても子猫の声はやみません。
「よし、様子だけ、見に行ってみよう。」 と、声がするほうに行ってみました。
1階だった我が家のベランダの下を覗くと、一番奥に、小さい白い子猫がうずくまっていました。
目ヤニが沢山ついていて体も汚れていて、とっても弱々しい感じです。
「うーん、どうしよう・・・ お母さん、来てくれないのかな・・・
」
その日はまだ11月とはいえ、とっても寒い日でした。
子猫の声は少しずつ小さくなっているような気がしました。
「よし!とりあえず、病院に連れて行こう!」 と決め、一旦部屋に戻りました。
ジーンズに着替えて、皮の手袋をしてその上から軍手を重ね、
ビールの空き箱(これしか無かった
)と、猫缶を持って、いざ出陣

手を伸ばすと、子猫は「シャーーーーーーッ!」と激しく威嚇しながらベランダの下を右に左に、逃げ回ります。
子猫も必死ですから、それはもう激しい威嚇でした。
それにベランダの下は結構深く、子猫がいる一番奥までは手が届きません。
しかたなく道路に腹這いになって、まず子猫を隅に追い込みました。
そしてビールの空き箱の口を子猫に向けて置いて逃げ道をふさぎ、
箱の口の手前に猫缶を置いて、
道路に腹這いになったままじっと子猫が動くのを待ちました。
道行く人達がジロジロ見ていますが、そんな事は気にしていられません。
子猫はよほどお腹が空いていたのか、威嚇しながらも少しずつ猫缶に近づいてきました。
ついに子猫が食べ始め、「今だっ
」と箱を閉めようとしました。
でも、箱が小さくて閉めにくいし私は腹ばいで動きにくいしで、
何度やっても、子猫はサッと逃げてしまいます。
どうしよ~と思っていたら、お向かいのおじさんが出てきて、「何してるの?」と声をかけてくれました。
私が状況を説明すると、おじさんは家から私が用意した箱より大きいダンボール箱を持ってきてくれました。
「ありがとうございますっ
」 と言うと、「頑張ってね
」とおじさんは家の中に。
あれ、手伝ってくれるんじゃないのか
とちょっとガッカリしながらも、有り難く箱を頂戴し、再度チャレンジ 
ベランダの下を覗くと、「やれやれ、いなくなった
」とばかりに、子猫は一心不乱に猫缶を食べていました。
私はまた腹這いになり、そぉ~っとダンボール箱を子猫の背後に近づけました。
「おりゃっ 
」
ダンボール箱で子猫をビールの箱に押し込み、猫缶もろともビールの箱ごとダンボールの中に納めることに成功

かなり手荒な手段でした。
ゴメンネ、おばちゃんも必死だったの。
箱を押さえてベランダの下から這い出し、その状態のまま、
いつもチョビがお世話になっている病院に走りました。
病院に着くと受付のカウンターに箱ごとドカッと乗せ、
「子猫を拾ったんです。手を離すと飛び出してくる可能性があるので、このままお渡ししていいですか?とりあえず怪我や病気がないかどうか調べてください。かなり気が立っていて、威嚇がスゴイですから気をつけてください
」
とそのまま看護婦さんに子猫を託しました。
そして待つことしばし。
診察室に呼ばれて入ってみると、目ヤニをキレイに拭いてもらい、蚤取り粉をまぶされた子猫がいました。
相変わらず警戒態勢のままですが、だいぶ落ち着いた様子です。
診察の結果、かなりヒドイ肺炎にかかっていました。 
吸入器に入り、注射をしてお薬をもらい、やっと帰宅。
まず家中で一番大きい箱を探して中身を出し、とりあえずのお部屋を作りました。
こんなに小さい子猫でした 
ペットシーツを敷き、タオルでくるみ、ご飯とお水、ティッシュの箱で作った簡易トイレを置きました。
肺炎が悪化したら大変と、チョビのホットカーペットを敷いて暖かくしました。
「とりあえず、これでよし!
」
一段落した私は、知人にお願いしてボランティアさんに電話してもらいました。
子猫の里親さんを探してもらおうと思ったのです。
そして、1週間後の日曜日に、引き取りに来ていただくことになりました
1週間だけど、名前があったほうがいいな
と思い、『シャア』に決めました。
シャーシャーと威嚇がすごかったので、音は「シャー」。
「シャーと言えば、シャア=アズナブル(赤い彗星
)でしょ」ってことで、
字は 『 シャア 』 にしました。
その夜はますます寒くなって、少しみぞれが混じった雨が降りました。
次の日も病院に行って、吸入。
先生に「昨日保護しなかったら死んでいたかもしれないね」と言われました。
思い切って捕まえて、本当に良かった 
シャアは、次の日にはシャーシャー言わなくなりました。
せっかく考えた名前の意味が・・・
箱を覗くとクークーと寝息を立てて寝ていました。 
私が覗いていることに気付くとゴロゴロいいました
ご飯をあげ、薬を飲ませ、目ヤニを拭き、そして3日後。
知人に連絡し、シャアの引取りをお願いしていたボランティアさんに再び電話をお願いしました。
「 うちで飼うことにします。お騒がせしてすみませんでした
」
既に情がわきまくり、手離すことなんてとても出来ませんでした。
こうして、シャアはうちの次男になりました。 
チョビはしばらくビビッていました
こんな小さい子猫に近づけず、いつも遠巻きに物陰から様子を伺っていました。
でもシャアがちょこちょこ付いて回り、すぐに仲良くなりました。

今ではいつも2匹でくっつき、本当の兄弟のように仲良しです。

あの日、シャアを捕まえようと、寒空の下で頑張った時間は4時間。
でも 「 うちのベランダを選んでくれてアリガトね
」 といつも思います。
神様がくれた
、とっても素敵な私の宝物です 