考える葦のブログ

さわやかに さりげなく

官と公務員(3)

2005-05-28 23:56:03 | 21世紀ビジョン
今週火曜日(2005/5/24)の日経新聞の一面は「国家公務員 昇給、能力や実績で差」という見出しでした。
その日に書こうと書き始めたものが、ボクの非日常生活で完成されぬまま残っていましたので、今日仕上げてみますね。

せっかく習慣化されたブログも、一度非日常生活になってしまうと、元に戻すのは大変ですね~
なかなか新しい話を書こうとしても書けない自分がいます・・・
今日もリハビリです・・・

みなさん、ハローです。ホディです。

いよいよ(ようやく?)国家公務員の給与構造の改革に取り組むことになるんでしょうね。
ただ、新聞でも指摘されていますが、「公務員制度改革をめぐる全体の論議が進まない中で、給与面での改革を先行実施する狙いがある」ということですが、小手先の給与改革ではなく本来の公務員のあり方まで議論を進めて欲しいですね。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20050524AT1E2300Z23052005.html


5/24の日経のトップ記事には冒頭で書いたように人事院の給与構造改革案が載っていましたが、以前少し紹介したように日経新聞の朝刊の『経済教室』で「公務員改革」について3回シリーズで書かれていました。
片山知事の話は前に書きましたが、残りの2回を紹介しないままにしていましたので、せっかくなので今日は公務員についての話をもう少ししたいと思います。
第一回が鳥取県の片山善博知事、第二回が名古屋大学の太田聰一教授、

そして最後の第三回がなんと! ! !

出井伸之氏、言わずと知れたソニーのCEO(すでに退任が決まっていますが・・・)
日本経団連の副会長として寄稿されていました。
この話題で出てくるとは全く予想をしていませんでしたので、ビックリしました・・・

まずは、第二回が名古屋大学の太田聰一教授の話から。
「地域に準じた待遇に」「高すぎる水準是正」という見出しで、基本的に地方公務員の給与水準の問題を指摘されていました。太田教授の指摘されるポイントは「都市部では、民間給与との格差はそれほど大きくはないが、地方に行くほど格差は拡大して公務員の賃金は割高になる」という点です。

なぜこのような状況になるのかについて、少し要約すると以下の2点を問題視されています。

①地方公務員の給与の比較対象に問題がある。
・民間の企業と比較しないで、むしろ国家公務員の給与水準をにらんできた傾向がある。
・本来であれば、民間準拠とすべきところが、“「国家公務員給与に準ずる」ことで民間準拠している”と考えられてきた。

②公務員給与の基礎となる調査:職種別民間給与実態調査に問題がある。
・人事院と各人事委員会が共同で行う「職種別民間給与実態調査」の対象となるのは、事業所規模50人以上かつ企業規模100人以上で、公務と類似の職種である民間企業の管理、事務、技術労働で、その中でも正規社員が対象となっている。
・上記により結果的に民間労働者の中でも比較的賃金が高い労働者と比較している。

また、地域の平均的な給与水準からみて高すぎる給与水準による問題点を3点ほど指摘されています。

①地方財政を圧迫し、他の用途に振り向けることのできる資金を枯渇させてしまう。

②地域の優秀な人材が公務員に集中し、民間との人材バランスを失う。

③公務員が自分たちはエリート層であるとの特権意識を与えかねない。

そのような現状と問題点を踏まえて、「職種別民間給与実態調査の改革」「地方公務員法の見直し」をすべきだと提言されています。
最後に「今後の地方分権へ向けての道筋を確かなものにしていくためには、地域の行政活動に対する住民の理解と協力が必要であり、公務員給与についても地域住民の理解が得られるものにしていかねばならない」と書いて締められています。
片山知事の話でも感じましたが、やはり「地域住民の理解と協力」が今後のキーワードですね!


そして、第三回、日本経団連の出井伸之副会長の話です。

なぜ、出井副会長が寄稿されているの???と思いましたが、「日本経団連は先月、行政改革に関する提言を取りまとめた」そうですね。
インターネットで検索すると、『日本経団連のホームページ』に掲載されていました。あまり気にしていませんでしたが、「郵政民営化(中略)に関する会長のコメント」とか、「若手社員の育成に関する提言」とか、経団連もいろいろ情報を出されているんですね~

日本経団連タイムス No.2764 (2005年4月21日) : http://www.keidanren.or.jp/japanese/journal/times/2005/0421/01.html

出井副会長の話を少し要約しますと、

今回の経団連の提言は、行政を支える人事システムそのものに、行政の構造的問題が内在していると考え、国家公務員制度の改革に焦点を当てた。
抜本的改革にとって重要な視点は以下の3点と整理した。
①官民間のイコールフッティングの実現
②縦割り行政の弊害排除
③公務への競争原理の導入による公的部門の活性化

具体的な改革施策の例としては、
(1)身分保障の見直し
・行政の効率化を目指すためには、時代の要請により政府に求められる課題も変わるので、府省の枠を越えて優先度の高い分野に迅速に配置転換を行うことが必要
(2)処遇面における官民格差の是正
・民間に比べて優遇されている共済年金と厚生年金との一元化
・特に地方で格差が目立つ給与や手当て、賃金以外の経済的便益の見直し
※このような改革ために、総合的な人事評価制度の確立が必要であり、年功序列や入省時の採用区分、セカンドチャンスの少ない硬直的な制度などを改める必要がある
(3)縦割り行政の改革
※組織的な省益の追求は採用から再就職までを各省別に行う人事管理が、過度な自分の所属する省への忠誠心を醸成している現状
・まずは幹部社員を内閣で一元管理
・幹部候補生として採用するⅠ種職員を内閣で一括採用
・再就職管理ではすべての求職、求人情報をマッチングさせる透明な仕組み作り

というようなことが書かれてあり、最後は「抜本的な改革に向けた国民的議論が高まることを期待したい。」と結ばれています。

また、大阪市の給与の不正支給の問題も、昨日(2005/5/27)の日経朝刊に「スーツ代を返還へ」と掲載されていましたが、みなさんの興味も薄れ始めていますかね?
大阪市も改革の方針をいろいろ出されているようですので、機会があれば読んでみたいと思います。
http://www.city.osaka.jp/keieikikakushitsu/fukuri/index.html

ただ、公務員の給与の問題は大阪や鳥取だけではないでしょうし、市民として国民として逆にボクらもキチンと監視する社会的責任があるんでしょうね!
出井副会長の話の中にも書かれていましたが、公務員制度は戦後60年も抜本的に見直しされることがなかったものであり、公務員の労働法規や労働基本権なども同時に見直す必要もあるでしょうが、基本的には公務員のあり方は憲法にも定めがあります。

第15条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。

公の人はどうしても批判を受けやすい立場だと思いますが、国を、国民を支える役割ですので、この機に公務員のあり方や公の業務範囲まで議論・整理できると良いですね。

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