考える葦のブログ

さわやかに さりげなく

年金と介護 ~社会保険の未来~

2007-06-07 23:23:49 | 徒然なるままに

公的年金の納付記録漏れ問題に続き、
介護のコムスンの不正、事実上の業務廃止通告・・・
日本の社会保険が揺れている。

まずボクが気になるのは、
年金では責められ、介護では責める厚生労働省。
そこには同じ監督責任があるとボクには思えますけど、民間企業だと責め易いのか。
社会保険庁の解体・非公務員化を急ぐ理由の一端をそこから感じてしまうのはボクだけでしょうか?

それにしても、コムスンの手口は汚い。
大きく分けると罪は3つ。
まず、事業所の指定の際には雇用する職員数の基準があるようですけど、その人数を水増しして、不正に事業所の指定を受けたこと。
そして、介護報酬を水増しして不正に請求したこと。
極めつけは、「指定取り消し」処分となる予定だったものを、先手をうって廃業届を出して、処分を逃れたこと。
法的な問題はともかく、やはり許されない罪だとボクは思います。

でも、ここで考えなくてはいけないのは、罪は誰が負うのかということ。
「会社は誰のものか?」に通じる難題ではありますけど・・・
サービスを受ける顧客や真面目に働いている従業員がいることを分かっていながら、事実上の「会社の業務廃止」として処分をしなければいけないのか?
個人的には、国を欺いた経営者と実務者を詐欺罪で刑事告訴し、会社自体は顧客を欺いた民間保険会社と同様に適切な勧告等による対応に留めるべきだったような気がします。

実はこの問題は奥が深い。
たしかにコムスンが行過ぎていたことは間違いないと思いますけど、ニチイ学館やジャパンケアサービスでも、少なくとも介護報酬の不正請求は行われていたわけですし、同様の不正だけでなく、虐待なども含めて介護サービス会社の悪いニュースは跡を絶ちません。
実はその根っこにあるのは、介護の分野の人材不足・・・
今回のコムスンの問題の解説でも、「実際には勤務していないヘルパーを常勤として届け出るなどして、介護事業所の指定を東京都から不正に受けていた」とか、「常勤ヘルパーの人数が介護保険法の基準以下なのに介護報酬を水増し請求する」とか出てきますけど、この人数のごまかしは利益偏重の不正ではなく、本来は人数をそろえたかったのに、そろえることが出来なかったという同情すべき要素も実はあるんです。
もちろん、そのような状況でもキチンと地に足をつけた経営が出来なかったという、経営者の質的な人材不足という面もありますけど。

今回の問題の報道(世論)では、
利益偏重の会社は福祉の仕事をする資格がないなどと責める論調もよく耳(目)にしますけど、ボクはそうは思いません。
たしかに過度な利益偏重は福祉に限らず、ボクは同意しませんけど、日本の社会として必要とされる機能は、公務員が実施する場合を除き、民間企業が利益を上げることでサービスの質を上げ、費用を下げる努力が欠かせないと思うからです。
ボランティア的(いわゆる福祉的)な発想では、3Kとも言われる介護の仕事を長期に継続することは難しいですし、そして確実に増えていく老人を支えるだけのサービス従事者を賄うことは不可能だとボクは思っています。現に若者の多くは数年で介護の仕事から離れる人が多いと聞きますし、今回の問題で表面化していますけど、介護の会社の人手不足は深刻です。

そういう意味では、「介護ビジネス」として大きな成功をどこかが上げない限りは日本の介護は先行きが暗いとボクは感じています。

みなさん、ハローです。ホディです。

奇しくも同時期に大問題が発覚した年金と介護・・・
国(厚生労働省)の監督・指導力が機能しなかったことが、ボクには大問題に思えます。どちらも小手先の改正を繰り返している点では、現場を混乱させている責任は国が負うしかないと思うんですよね。

それにしても、社会保険の問題を考えるたびに、日本の将来はどうなるんだ?
と不安を感じます。
ボクの不安は、「払った分は返せ!」とか、「出来るだけ負担を減らせ!」ということではなく、年金にしても介護にしても、「社会保険化」の名の下に「老後の世話」を国が一手に引き受けてしまったこと、ここにあります。
つまり、以前は当然であったはずの「親の老後の面倒」を、国の責任として「家族」から分離して、子が親の老後の世話をすることが特別なこととなり始めている気がしています。
そういう時代なんだと思うしかないんでしょうか。

少子高齢化が進む中、国にも民間企業にも「家族のような善意」の期待は出来ないでしょう。
それでも、ボクらは信じて、保険料を支払っていくしかないわけですけど。
年金、医療、介護、
社会保険の未来はどうなるんでしょう?

少なくとも今は健全な年金の、しかもその一部の納付記録でもめていますけど、
その先の議論は先延ばしで本当に良いのでしょうか?
ボクには優先順位の認識が間違っている気がしてなりません。社会保険は長期的な約束であると言う点で、税よりも国の将来を左右すると言っても過言ではないでしょう。

国会議員も、報道機関も、国家公務員も、目先の処理・処分だけでなく、もっと先を見て議論して欲しい。


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