岸 例えばですけど、家の近所で夜中、
ヤンキーが騒いでいたら小川さんはどうします?
小川 とりあえず一升瓶を持って行って
「本当に眠いんだよね。お土産にこれあげるからさ」と言いますね(笑)。
岸 授業で同じ質問をすると、99%は警察を呼ぶと言うんです。
小川 ええっ!
岸 ぼくも実際に家の近所でそういうことが何回かあって、
でもぼくも直接言いにいくんです。
「ちょっと静かにしてくれへんかな」と言うと、ほとんどの場合は悪気がないから
「ごめんごめん」と帰っていきます。
でもその時に、そこへ行って話して、どいて貰える人ってけっこう少ないんですよね。
「話せばわかる」という生き方が出来る人って、特に日本だとかなり少数派だと思うんです。
岸政彦・小川さやか「調査する人生」より(『図書』2020年9月号所収)